Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

五感を研ぎ澄ます紳士

第1回「ファッションデザイナー髙田賢三との出会い」

 

この頃の日本の四季は、温暖化の影響によって春や秋の季節が短くなり、

南国の様に、日本でもスコールのような雨の降り方が増えて

昔ほど四季を感じられなくなっているのはとても残念だ。

日本ならではの、季節の移ろいそして行事や風習にちなんだ旧暦において使用されてい

た和風月名は、五感で感じられる言葉が使われている。

昔から日本の季節毎の習わしは、日本人として次世代にも継承しなければならない大切

な習慣だと思う。

実は、私の名前は、父が和風月名よりつけた三月(やよい)だ。

私の父は厳格な人。日本人としての作法やマナーを私は父から叩き込まれてきた。

その父が高校卒業後私にいきなり「フランスへ留学しろ」と言う。

大学進学を考えていた私は大変驚いた事を覚えている。

父に理由を聞くと、これからは国際的な視野を見据えなければならない。

その為に海外に行き「語学」を学ぶことが重要だと。

何故?フランスですか?と恐る恐る聞くと、英語は皆勉強している。

日本ではフランス語はまだまだ話す人が少ないので、学ぶならフランス語というのだ。

私は出来れば、英語を学びたいという気持ちがあったが、父には口答えは出来ないし、

そんな事が言えるはずがない。

そして18歳に渡仏。本当はDIJONというパリから南に下がったマスタードで有名な

小さな街で寮生活をしながら勉強するはずだったが、DIJONの寮が閉鎖されパリでの

寮生活となったのだ。

 

 

エッフェル塔に沈む夕日

 

パリは芸術の街。DIJONよりも私的には嬉しかったが、父は「パリは都会」とイメー

ジしていたので、フランスへ行きなさいと言ったものの、急に心配になった様だ。

厳格ではあるが、優しいところも持ち合わせていた。

 

 

当時の寮(サンジェルマン プレ地区)

 

父は、国際交流が出来る人間になりなさい。と言いつつ、実は留学から帰って来たら、

勤めにはいかないで結婚の為のお稽古ごとをしなさいという父であった。

ただ人生不思議なもので、留学から戻り私の周りで色々な事が変化しフランス語を活か

した仕事に就いたことで私自身の人生観が変わった。

フランスのプレタポルテ連盟(いわゆるパリ・ファッション・ウィーク=パリコレとい

われている)の日本事務所に勤めた。ボスはフランス人で、ビジネス用語など全く分か

らない私だったが、ビジネスフランス語を働きながら学ばせてくれた。今は亡き素敵な

紳士Pierre Baudry氏に感謝だ。この仕事が、私をファッション関連の仕事へと導いて

くれた。

その後、アパレルメーカーに勤め広報室に勤務した。そして、そこで私の生涯忘れら

れない方との出会いがあった。

私はブランド「KENZO」のPR担当となった。

KENZO」とは、

デザイナー髙田賢三が創設者としてパリで立ち上げたフランスのブランドである。

そして、この時の髙田賢三氏との出会いが私の運命を変えた。

私は30歳になった時、自身で会社を立ち上げた。

それは自分自身への挑戦みたいなものだった。

立ち上げた会社は、Attaché de presse(アタッシェドゥプレス)。

日本ではまだまだ存在していなかったアウトソーシングのPR会社である。

 

 

イベント会場でのメディア対応風景

 

そして、驚く事があった。

それは、髙田賢三氏本人からのオファーだった。

「僕のブランドKENZOの日本事務所での広報担当として働いて欲しい」と!

髙田賢三氏は、既に世界的なデザイナーとして活躍していた。

彼自身のプライベートマネージャーとしての仕事も依頼され、賢三氏とともに過ごし

た月日は37年間という長い年月となった。

しかし残念な事に、202010月賢三氏が、コロナウイルスに感染し、まさかという

時間軸の中でご逝去された。

訳もわからないままその状況を受け止めるしかなかった

 

 

パリ・ファッションウィーク(パリコレ会場にて賢三氏と) 

©Richard Haughton

 

高田賢三氏と一緒にいた長い時間は私の財産でもある。彼から学んだたくさんの事、

それは、仕事を通し学んだこと、プライベートでともに笑ったこと、

彼と過ごしたすべての時間や、その中で感銘を受けた事など、何よりも彼の感性を傍で

感じていた事を私自身の人生の糧として大切したい。

この連載では、高田賢三氏から学んだ研ぎ澄まされた五感をさまざまな視点から、

私が理想とする「素敵な紳士像」を綴っていきたい。

鈴木 三月 Yayoi Suzuki

東京都出身。 
パリソルボンヌ大学、Institute Catholique大学短期留学後、
パリプレタポルテ・オートクチュール協会日本事務所入社。
その後(株)エルカ入社KENZOのレディースPR担当として働く。
1991年 日本におけるアタッシェ・ドゥ・プレスの先駆けとして(株)パザパを設立。
ヨーロッパのファッションブランド
のPRを主に手掛けるとともに、髙田賢三氏本人からの依頼によりKENZO PARISの日本におけるブランドPR及び髙田賢三氏本人のパーソナルマネージメントをスタート。
又、その後㈱パザパの業務は、ファッションに留まらず、美容・レストラン等衣食住を中心とした業務へと活動の幅を広げる。 
2000年 髙田賢三氏の共同経営者として(株)KENZO TAKADAを日本に設立。 
2011年(株)パザパを、(株)セ・シュエットに社名変更(パザパはPR事業部として存続)。
2013年 調理師免許取得後、フードアドバイザーの仕事をスタート。
各種イベントにおけるケータリング等開始。
2014年よりWEB SITE 『Minimalize+plus』でレシピを公開。
2020年10月、SHOP CHANNELにて自身のウィメンズのブランド・ミニマライズ+プラスをスタート
2023年2月 「髙田賢三と私」を出版。                                                著書を出版後、髙田賢三氏のご功績とお人柄を多くの方に伝える為、又次世代を担う若者及びアーティストの方々に向けて講演活動やラジオ出演をスタート。
WEB SITE Minimalize+Plus https://minimalize-plus.tokyo/
著書『髙田賢三と私』  https://bookpub.jiji.com/smp/book/b621530.html
Minimalize+plus/SHOP CHANNEL https://onl.bz/QeNN3vR
Instagram https://www.instagram.com/yayoi_suzuki_/?hl=ja
FB https://www.facebook.com/yayoi.suzuki.146
X https://x.com/yayoisuzuki
【講演会】
姫路市主催・姫路城世界遺産登録30周年記念事業/公益財団法人神戸ファッション協会主催ファッションスペシャルステージ/名古屋音楽大学ヴォーカルアカデミー2024/たまがわLOOP世界に誇る日本人デザイナー髙田賢三/文化服装学院 世界に誇る日本人デザイナー髙田賢三の偉業/アクリエひめじマダムバタフライ・衣裳に秘めた想い 髙田賢三/
【ラジオ出演】
渋谷のラジオにゲストに2回出演 https://note.com/shiburadi/n/n7e237019e8be https://note.com/shiburadi/n/n7e237019e8be
渋谷ラジオ“ウラハラプロジェクト”第23回”賛同人トーク“』にゲスト出演 https://qr.paps.jp/SDO3M
オンラインラジオ 「渡辺喜子(YoshikoLee)の風」
【前編】ファッション界に与えた影響https://stand.fm/episodes/67a5a103cc7911f191c5ec7c
【後編】プライベートについてhttps://stand.fm/episodes/67a5b229b882aa4964b92efe
【特別版】みんなが知らない裏話https://stand.fm/episodes/67aac24d0ecf095805085de0ゲスト出演

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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