Challenge of the gentleman

紳士のチャレンジ

紳士のチャレンジでは、男が紳士になるために経験すべきテーマについて、
編集長、山之上友が体当たりでチャレンジしていきます。

オーダースーツにチャレンジ

<前編>タキシード オーダー「生地選び・採寸」〜番外編〜

(本章は、男子專科本誌 編集部員がチャレンジした、その番外編)

カインドウェア01

訪れたのは千代田区東神田の本社ビル1Fにある「カインドウェア」。広々とした店内は落ち着いた雰囲気で、足を踏み入れただけで男振りがグレードアップしたような気分に。
ここでオーダーメイドスーツを作れると思うだけで気持ちが高ぶります。

カインドウェア02
応対してくれたのは西原英司さん。男子専科Mrダンディアワード2015でグランプリを受賞した方です。スーツのすべてを知り尽くしたプロ中のプロ。

カインドウェア03
今回は、タキシードを作ってもらうことに。フォーマルスーツのオーダーメイドの予算は、生地選びなどによって差はあるものの大体22万円前後から。

カインドウェア04
まずは生地選び。生地は「上を見ればキリがない」らしいが、糸の太さや編み方で違いが出てくるので、サンプルを指で触って確かめつつ、西原さんのアドバイスを参考にしながら選んでいきます。
型崩れしない品質の良さを求めるならイギリス製、着心地の柔らかさを求めるならイタリア製とのこと。
悩んだ結果、英国生地のBATEMANを選ぶ。
納得がいくまで説明を聞き、あれこれ悩んでいると1時間や2時間はあっという間です。

カインドウェア05
生地が決まったら、ジャケット、パンツのスタイルを細かく決めていきます。スタンダードなシングル1釦1掛に衿はピーク。
胸板の厚い体型なので、バランスの良さでA5を選択。
タキシードは燕尾服を原型として作られているため、ヨーロッパではピークドラベル(剣衿)が基本だといいます。
ベンツ、腰ポケット、パンツのタック、ポケット、など次々と選び、徐々にイメージが膨らんできました。

カインドウェア06
シャツや小物もすべてオーダー。ステッチを決め、衿はウイングカラー、背タックは6本プリーツを入れることに。これで肩まわりが動きやすくなります。
生地はタキシードと相性が良いきめ細かなブロード。そしてボウタイは思い切って手結びを選んでみました。
バンド型、クリップ型がほとんどで、手結びのボウタイを扱っているところはほとんどありません。慣れないと結ぶのが難しいのですが、やはり形の美しさが全然違うのです。
白のポケットチーフは丸めて入れれば花ができる優れもの。
釦は内側に付けるタイプの「おがみボタン」を選択。
はめたときに正対象に見えてキレイなのです。他にスタッズ、カマーバンドなども選んで、気分はすっかり社交界。

カインドウェア07
次は採寸。背丈、バスト、肩幅、ウエスト、そでetc。西原さんは慣れた手つきで次々と測っていきます。

カインドウェア08
袖丈は左右ともに必ず採寸します。両腕が同じサイズという人はほとんどいないのだそうです。また、手首は腕時計が入るように若干大きめに採るのが一般的。

カインドウェア09
採寸だけではイメージが湧かないため、見本のジャケットを着て、体型に合わせて細かい部分を微調整。丈はお尻のラインより少し上。
体型だけでなく、反身、屈身の体勢でも美しく見えるように、ゆとりを持ってサイズを補正していきます。
ウエストもかなり大きめ。タキシードの場合はサスペンダー着用が基本なので、窮屈じゃないほうがラインも美しくなるそうです。

カインドウェア010
採寸をすべて終え、工房に渡すための採寸表を細かくチェック。
本人の希望を聞きながら微調整を加え、いよいよ「設計図」が完成していきます。
ネームの字体も決め、間違いがないように本人が直接記入。
仕上がりまでには約1か月かかるそう。
配達も可能ですが、やはり来店して着心地をチェックするのが万全でしょう。
初めてのタキシード、出来上がりが待ち遠しくてたまりません。

カインドウェア

東京都千代田区東神田2-2-5

ショップのご紹介

カインドウェアの創業は1894年。古着商からスタートし、1世紀以上に渡って日本の紳士服業界をリードしてきた老舗中の老舗です。戦後の貧しい時代、日本の礼節を重んじる風土に着眼し「略礼服」を発案し定着させるなど、変わりゆく時代のニーズに合わせ、高品質な商品を提供し続けてきました。まさに日本のダンディズムの歴史とともに歩んできたトップランナーと言えます。現在もなお礼服のトップメーカーとして高い信頼を得ており、紳士フォーマルウェアの業界シェアは毎年堂々の1位。基幹ブランドである「ソシアル」「カインドウェア」などの最高級スーツを生み出す栃木県内の自社工房は、独自のシステムを構築した技術を持ち、国内屈指の縫製工場としての地位を確立、そのクオリティの高さには定評があります。

http://kindware.co.jp/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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