Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士が知るべき日本の逸品

【甲州手彫印章】心魂を傾ける唯一無二の印

山梨県は全国一のシアを誇る印章の産地。中でも日本一のハンコの里と言われるのが六郷(現市川三郷町)だ。この町で印章彫刻業を営む三代目の望月煌雅(こうが)氏は、一級印章彫刻技能士であり、甲州手彫印章伝統工芸士でもある。

昔は分業制で、弟子入りすると荒彫り、仕上げの順で、字入れまではなかなか任されなかったというが、望月氏は全ての行程を一人で手作りする。

印面への字入れは当然の事ながら裏文字。ここでのバランスが仕上がりの要となる。デッサンで十分に文字のイメジを固めているというが、直接手書きする字入れは、高い技術力と感性の成せる技だ。決められたルールに従い、字の収まり具合を見て、十分過ぎるほどの納得がいってから彫りに入る。

荒彫りと仕上げの彫りの作業は真剣勝負。大胆かつ繊細に、迷いなく彫り進める姿は自信に満ち溢れている。

望月煌雅01
楔(くさび)を組み合わた印床(いんしょう)で印面を固定。
米粒より小さな字の一つひとつを巧みに彫っていく。

 

特に、ペンシル型の工作機械もいっさい使わない “ 純手彫り ” は100年以上受け継がれてきた技法。希少価値の高い逸品は伝統的工芸品に指定されている。

印章は持つ人の顔とも分身とも言えるアイテム。紙幣にも使われている昔ながらの書体、つまり篆書(てんしょ)を印章では印篆(いんてん)と言うが、云わば紋付き袴の正装に当たる文字。自分自身を投影するアイテムに相応しい字体にもこだわりたい。由緒正しい文字で手彫りされる印章は、見る人にも美しく、持つ人の
“ 格 ” を確実に上げる。

 

望月煌雅02
一本一本に時間をかけて向き合い、繊細な技術と技法で細部までこだわり、
二つとない印章が彫り上がる。刃を研ぎ、竹やたこ糸で巻き直して使う、
十本余りの印刀(いんとう)作りから始まる高等作業だ。

 

望月煌雅
〒409-3244 山梨県西八代郡市川三郷町岩間1134-1
Tel. 0556-32-3121
http://www.koga-m.com

■山梨編
世界文化遺産に登録された富士山をはじめ、全国的にも知られる八ヶ岳や南アルプスといった山々に囲まれ、県土の80%近くを森林が占める山梨県では、四季折々の大自然を満喫することができる。フルーツ王国としても有名だ。
「2014年ふるさと暮らし希望地域ランキング」では1位になった。
水に恵まれ、鉱物や石材等の原産地でもあるという土地柄を背景に、伝統工芸品も数多くあり、匠の技が伝承されている。伝統を守りながら、日々研鑽する男たちの逸品をご紹介。

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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