Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士が知るべき日本の逸品

【ふじやま織】高密度で表情を際立たせるジャガード織

ふじやま織01
ふっくらとした織り上がりが上品な、“男” を上げる「TORAW」
のネクタイ。一見、単色に見えるところも色が混じり合い、複雑
だがキメの細かい柄が浮かび上がる。仕事だけでなく、女性との
時間にも楽しみたい。

 

江戸時代に一大織物産地として名をとどろかせ、明治維新後は薄くて軽く、優美な高級絹織物「甲斐絹(かいき)」で人気を博した富士吉田市。現在は、伝統技術を今に甦らせる 〝ふじやま織″ の産地。細番手の先染め糸を使い、高密度に織り上げる、さまざまな種類の布と多品種のアイテムが、市内各所で作られている。

正絹ネクタイ生地専門の織物工場、渡小織物もその一つ。長年名だたるブランドのOEMを数多く手掛けてきた実績と経験を生かし、三代目の渡辺太郎氏が4年前に満を持して、ファクトリーブランド「TORAW(トラウ)」を立ち上げた。

織機で織り上げるとは言え、ジャガード織を構成する糸選びから、仕上がりの柄を計算した糸掛け、柄を作るテンションの調整等、人の技術や経験、目配り、感性なくしては始まらない。

先染めした、髪の毛より細いものもある極細糸を使うことで、プリントとは一線を画する、キメの細かい柄がくっきりと現れる。使われている糸の本数や密な織り、高級シルクのテクスチャーが重厚感を際立たせるが、使われている糸が極細のため、しなやかだ。

ネクタイは締めては緩める動作を繰り返す。しっかり織られた組織は、ホールド感のある締め心地をもたらし、さらに薄い芯を組み合わせることで、型崩れしにくくなる。ダンディズムを極めるなら、色や柄の好みの前に、まずは生地のよさと芯地とのバランスを確認したい。

渡小はシルク糸の品質にも色にも妥協を許さない。先染めのシルク糸で織られたネクタイは、艶やかな光沢と深みのある色をたたえ、しっとりとした風合いに仕上がる。紳士の胸元には欠かせない1本だ。

 

ふじやま織02
30年以上経つ織機は、それぞれに癖がある。「アンティーク
のクルマを巧みに操る運転手のように、癖に合わせて、いかに
ハイグレードのモノを作るか」と話す渡辺氏。工場の背後には、
壮大な富士山が構えている。

 

渡小織物
〒 403-0004 山梨県富士吉田市下吉田5826 
Tel 0555-22-1885
http://www.watasho-orimono.com

■山梨編
世界文化遺産に登録された富士山をはじめ、全国的にも知られる八ヶ岳や南アルプスといった山々に囲まれ、県土の80%近くを森林が占める山梨県では、四季折々の大自然を満喫することができる。フルーツ王国としても有名だ。
「2014年ふるさと暮らし希望地域ランキング」では1位になった。
水に恵まれ、鉱物や石材等の原産地でもあるという土地柄を背景に、伝統工芸品も数多くあり、匠の技が伝承されている。伝統を守りながら、日々研鑽する男たちの逸品をご紹介。

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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