Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士が知るべき日本の逸品

歴史を刻む宿【常磐ホテル】

常磐ホテル01
まるで額縁で切り取ったような、東屋から離れを望む一角。樹齢60年余の欅を中心に広がる庭園は季節もさることながら、立つ場所でさまざまな表情見せる。自分好みの庭園の楽しみ方が見つけられそうだ。

 

<美しい庭園に息づく日本の美意識>
山梨県下で格式の高さを誇る湯村温泉の常磐ホテル。長年、天皇家をはじめとする皇族方の御宿泊や御休憩の宿として名を馳せ、「甲府の迎賓館」と呼ばれている。

昭和4年の創業当時は周りが田んぼだったというが、現在は甲府駅から10分ほどという利便性ながら、一歩宿に踏み入れば、都会の喧騒とかけ離れた非日常の空間が広がる。

玄関を入た途端に目に飛び込んでくる庭園は、アメリカで発行されている日本の庭園雑誌『Sukiya Living』が企画する、日本の庭園全国ランキングで2012年、2013年と2年連続で総合3位、旅館部門では1位に選ばれた国内外に知られる名園。

京都大学出身の二代目が遊学中に見て触れた、日本の美意識を随所に盛り込んだ、こだわりの一つが庭園だ。

開けた芝生の庭とは対称的に、建物に近い部分は純日本的な池や木々が風情豊かに配されている。常宿とした文豪などの縁を散策できる「庭園お散歩マプ」も用意されており、歩くそばから見え方が変わる庭は、実に趣が深い。

滝や池から流れる小川、季節の花や彩りが変わる木々の間を通り抜ける風も爽やかに、緩やかな時間が流れていく。普段とは違うのんびりとした足取りで深呼吸してみるのもいい。

連泊中、敷地から一歩も出ずひねもす庭を眺め、帰路に着くという常連客もいるほど。素に戻れる宿とも言えそうだ。

 

<名湯とくつろぎの離れ>
「武田信玄公の隠し湯」の別称を持つ湯村温泉は、1200年の歴史ある名湯。癖のないさらりとした湯の優しさもまた訪れたくなる所以だろう。

宿自慢の離れは7棟11室。9室にそれぞれ趣が異なる源泉掛け流しの露天風呂がついている。泉質はナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩泉。入るほどにキメが整う女性にも嬉しい温泉だ。

天皇の御宿泊をはじめ、山口瞳や井伏鱒二、松本清張ら名だたる文人達が訪れ、将棋の竜王戦や茶事で使われることも多い離れは、京風建築に乗取た数寄屋造り。粋な佇まいが心を解きほぐす。

日本の心のもてなしは、食事にも表れている。四季折々の食材や地の物がふんだんに使われ、目にも舌にも味わい深い。

甲州のワインや地酒等も豊富に取り揃えられ、月に1回地元ワイナリーを紹介するイベントも行われている。

 

常磐ホテル02
ぐるりと巡る回廊が、離れをつなぐ。文人墨客に愛された宿だけに、レアな初版本や作品も探してみたい。

 

常磐ホテル03 常磐ホテル04
(左)溶岩石で焼いて食べる甲州牛や、甘く上質な脂が特徴のワイン豚、山梨特産の鮑の煮貝、忍野の豆腐等が並ぶ夏の献立。好みの酒とのコラボレーションを楽しみたい。

(右)本格的な数寄屋造りが自慢の、3間からなる離れ「八雲」。京間畳が使われ、広々とした寛ぎが心地良い。簾(すだれ)や御簾(みす)障子といった夏の設えも涼やかだ。

 

常磐ホテル
〒400-0073 山梨県甲府市湯村2-5-21 
Tel 055-254-3111
http://www.tokiwa-hotel.co.jp

 

■山梨編
世界文化遺産に登録された富士山をはじめ、全国的にも知られる八ヶ岳や南アルプスといった山々に囲まれ、県土の80%近くを森林が占める山梨県では、四季折々の大自然を満喫することができる。フルーツ王国としても有名だ。
「2014年ふるさと暮らし希望地域ランキング」では1位になった。
水に恵まれ、鉱物や石材等の原産地でもあるという土地柄を背景に、伝統工芸品も数多くあり、匠の技が伝承されている。伝統を守りながら、日々研鑽する男たちの逸品をご紹介。

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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