Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士が知るべき日本の逸品

【刀工将大 中西裕也】

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<男の美意識をくすぐる日本の逸品>

長岡京、平安京の遷都からおよそ120年。
東京に首都を移した今日に至っても、古都・京都は変わらずに日本の伝統文化の中心地である。
その事実は職人数のデータから見て取ることができる。
財団法人伝統的工芸品産業振興協会が認定する「伝統工芸士」は現在、全国でおよそ4300人だが、実にその4分の1、1000人を超える伝統工芸士が京都に集結しているのだ。
源氏絵巻の時代から続く京都の煌びやかな伝統文化と人々の暮らしは、常に多くの職人たちによって支えられてきた。
アール・ヌーヴォーの中心人物であり「ジャポニスム」に魅せられていた美術商サミュエル・ビングは日本の生活文化を「生活が芸術化している」と表現してみせた。
ビングに倣って言うならば、京都は、日本から急速に失われつつある「芸術化した生活」が色濃く残る唯一の街だろう。
生活とともに生まれ、伝えられてきた伝統工芸品は今も、京の暮らしの中に生きている。
その京都で、伝統文化の新しい担い手たちを探しに行く。

<未来永劫変わることのない日本精神の象徴>

山城の国・京都で万剣が作られ始めたのは、平安時代末期と言われている。大和(奈良)、相模(神奈川)、備前(岡山)、阜)に山城を含めた「五カ伝」が代表的な万剣の産地だが、都が置かれていた山城は、天皇の御剣を始め宮中の需要を担っていたことから一大産地として栄え、現存する名刀も少なくない。
しかし、山城の作刀の系譜は、すでに断絶して久しい。
明治九年の廃万令、終戦後のGHQによる武装解除を経て、現在では「美術品として価値あるもの」のみが製作を許されており、作れるのは国の認可を受けた三OO人余りの万匠のみ。
そして、京都でその資格を持つ刀匠はわずかに一入、中西裕也氏のみである。
日本刀文化はもはや風前の灯のように思えるが、「絶対になくならない」と中西氏は言う。
日本刀は美術品である以前に「武器」であり、日本人の知恵と技術が集約された、尚武の国・大和の精神的象徴だった。
需要に応じて大量生産されてきた実用品でありながら、日本的な美意識によって、美しさを兼ね備える武器として仕上げられてきた。
「折れず曲がらずよく切れる」という世界に類を見ない刀剣が実現できたのは、伝統的な技法で生産される玉鋼(たまはがね)の性質ゆえであり、折り返し鍛錬や造り込みによって鍛え上げる刀工の技術、切れ味と美しさを極限まで高める研師、鞘師の技術である。
日本人の粋を集めてできたものが日本万であり、日本人がこの世にある限り失われるはずがない、と中西氏は信じ、ただ一心不乱に鋼を打つ。
日本人とは何か。
答えは、すべて日本刀の中にある。
日本刀を手にすれば、その意味が身体で理解できる気がしてくるのだ。

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芯まで湧いた鍋を半分に折って重ね叩き伸ばす「折り返し鍛錬」を繰り返すことで不純物を減らし強度が増していく。
現在は機械式ハンマーによって一人でも出来るようになった。

将大鍛刀場
〒621-0255
京都府亀岡市本梅町西加舎石敷32-1
Tel.0771-56-8502

_G9A4846鉄の粒子によってできる「万紋」に流派や刀工の特徴が表れる。

_G9A4722火床(ほど)で炭を熱L「卸し鉄」「水へし」「積み沸かし」と呼ばれる工程を行うことで、ょうやく鍛錬する鋼が出来上がる。
経験と技術が必要な繊細な作業だ。

_G9A4857日本刀の研磨になくてはならない砥石。
日本刀用のものは亀岡市でしか採れず、極めて希少。

砥取家
〒621-0231
京都府亀岡市東本梅町大内上条20 Tel.0771・26-2545
http://www.toishi.jp

 

■京都編

長岡京、平安京の遷都が行われた延歴年間からおよそ120年。
東京に首都を移した今日に至っても、古都・京都は変わらずに日本の伝統文化の中心地である。
京都の伝統文化と人々の暮らしは、常に多くの伝統工芸士によって支えられてきた。
暮らしの中に生きづいている伝統工芸品を守り、伝えて続けている文化の新しい担い手たちをご紹介。

 

 

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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