Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

魅力ある紳士達の出会い

第1回「はじめまして、南美希子です」

 

世間で話題を呼んだ宮藤官九郎さん作の人気ドラマ「不適切にもほどがある」。

昭和のダメおやじが令和にタイムスリップする物語で、主演の阿部サダオさんが「早く昭和に帰って『トゥナイト』見た~い」と叫ぶシーンがあり、深夜番組「トゥナイト」が一時脚光を浴びた。

1980年(昭和55年)106日から1994(平成6)331日までテレビ朝日系列局で放送されたテレビ朝日制作のワイドショー)

テレビ朝日のアナウンサーとして昭和最後の9年間を過ごした私にとって、ピンチヒッターではあったが司会に参画した「トゥナイト」をはじめ、多くかかわった昭和の番組の数々はとりわけ印象深い。

コンプライアンスなるものも緩めで、娘楽の王者でもあったテレビには比較的潤沢な製作費が当てられ、現在とは比べ物にならないくらい自由な空気の中で番組が制作されたものだ。

例えばレポーターとして何本か出演した、作優の川口治さんが探検隊長を務めていた「水曜スペシャル」。

インドネシアのカリマンタンやフィリピンのパラワン島など、観光ではまず行くことのない東南アジアの奥地にも何度か出向いた。

例えば、ある時の番組のタイトルは「密林の奥に黄金のヘビを見つけた!」

レポーターである私自身も期待に胸をふくらませて出かけるのだが、蓋を開けてみれば何ということはない。現地の人に捕獲してもらった小ぶりのヘビをスタッフが鉄ばさみのようなもので挟んで日本から持参した金色スプレーをヘビにまんべんなくに吹きかけるのだ。

吹きかけ終わると森の中に放ち、ディレクターが大声で叫ぶ。

「皮膚呼吸が出来ずに死んでしまうかもしれない。一刻も早くレポートをしてくれ!」と。

密林に生息する奇跡の黄金蛇の正体はこんなものなのである。

しかし、新聞の番組欄に派手に謳い上げられた宣伝文句につられ、視職者は陶躍らせて黄金蛇の登場を待ち望むのである。

 

 

韓国の最南端・麗水のロケでは海が真っ二つに割れ、そこに神の恵みの豪華な海産物が姿を現すという設定だった。

舞台裏を知ってしまうと、今度はどんな仕掛けなんだろうとそちらの方に興味が向いてしまう。

こちらも何のことはない。スタッフが魚屋さんで魚介をバケツー杯買ってきて、実況直前に潮の引いた干潟のようなところにそれを撒くのである。

が、残念ながら昭和の韓国の田舎町には、イセエビやアワビは売っておらず、食卓に上がるような小さなありきたりの魚しか手に入らない。

それをいかに羊頭狗肉的にレポートするかがアナウンサーの腕の見せ所だった。

暗黙の了解のような「やらせ」を承知の上で作る方も観る側も共犯者的に楽しむのが昭和のテレビの良さだったのかもしれない。

初期のトゥナイトなども、コンプラが確立されていなかったので、今では到底放映出来ないような過激な映像も多くあった。

1986年、私はテレビ朝日から独立しフリーの道を歩む。

まだ女子アナの独立が珍しく、引きも切らず仕事が舞い込み、おまけにバブル時代の真っ只中。円も強かったので、休暇を取ってヨーロッパや香港でのブランド買いに「んだものである。

この頃担当していたのが、作家の田中康夫さんと司会を務めた「OH!エルくらぶ」。

1986年の雇用機会均等法の年に始まり、女性がこれまで以上に社会活躍することになるエポックメイキングな年に始まった番組だった。

毎週100名もの上場企業のOL達をスタジオに呼び、恋愛・メーク・ファッション・アートなどをテーマにした生放送で多くのOL達に支持された。

司会の私も OLの教祖的な存在になったものである。

 

 

その後はバブル時代のトレンドを扱った「EX テレビ」の司会を三宅裕司さんと務めた。

世に出回り始めた携帯電話やクリスマスイブには1年前から予約が入り満室になる都心のホテルなどの特集が反響を呼んだ。

若者はどんなブランドに身をくるみ、どんな車で彼女を迎えに行き、どんなレストランを予約するのか、そんなテーマが歓迎された時代だった。

その後私自身は39歳で結婚、40歳で出産。以降、仕事と育児を両立させるためにテレビのコメンテーターの仕事がメインになり、2年前に終了した坂上忍さん司会の「バイキング」のコメンテーターに至るまで、ほぼ間断なく30年近くコメンテーターの仕事を続けた。

テレビ・ラジオの出演、エッセイの執筆、講演、シンポジウムの司会、話し方講座の講師などが現在も続く私の主な仕事である。

伝説化されている昭和後期、男も女も競うように着飾り消費に血道をあげたバブルの時代の生き証人として、その時代も振り返りつつ、紳士の魅力とは何か、紳士のたしなみとは何かを綴っていきたいと思う。

 

南 美希子 Mikiko Minami

(元テレビ朝日アナウンサー・エッセイスト・司会者・コメンテーター)

東京生まれ

東京女学館から聖心女子大学国語国文学科へ

大学3年生の時にテレビ朝日アナウンサー試験に合格。

3年終了後、1977年テレビ朝日アナウンス部に入社。

198612月に独立。

以降テレビ・ラジオ・執筆・講演・司会などで活躍中。

日本抗加齢協会公認のアンチエイジングアンバサダー。

美容・抗加齢に関しての知識も豊富。

東京理科大学オープンカレッジで話し方の講座を持つ。

https://mikikominami.net

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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