魅力ある紳士達の出会い
第13回「コンプライアンスを守るということ」
この半世紀で世の中は目覚ましく変わってきたが、その一つに「コンプライアンス」という考え方が、社会に根づいたことがあげられるのではないだろうか。
私がテレビ局にアナウンサーとして入社したのは1977年。
9年間在籍したが、当時私のいたテレビ業界にはコンプライアンスという概念もルールも存在しなかった。
そもそも企業の法令遵守(コンプライアンス)は60年代にアメリカで生まれ、1991年に法制化され、それが日本にも波及したようだ。
20世紀に入ってから企業は法令遵守に加え、一層の倫理観を持ったコンプライアンス経営が求められるようになり、そこに働く人が働きやすい環境を作ることが企業の大きな責務になってきた。
そういった流れの中で、セクハラ・パワハラ・マタハラなど上司や同僚によるいわゆるハラスメントの類いも、コンプライアンス違反としてペナルティを課せられるようになった。
最近「コンプラ違反」というと、芸能人の犯した規則違反のように思われているフシがあるが、正確には出入り業者である芸能人を使う企業(テレビ局・ラジオ局)が、自分の会社の法令に違反した行為を行った芸能人に対して出入りをやめてもらうということなるのである。
テレビ局に限らず、企業にコンプラ違反というルールがない時代に軽微とは言え卑猥な言葉や行動が飛び交うのはいわば日常茶飯事だった。
端的にいえば、「いいケツしてるじゃないか」「意外とおっぱい大きいね」「まだ結婚しないの?売れ残るよ!」などの品のない不躾な物言いである。
若くいたいけな女性だった当時の我々にとって、当然ながら不愉快ではあったが目上男性を一喝する度胸はなく、さりげなく無視する・かわすという方法で切り抜けるしか道はなかった。
振り返ってみると、こういう世の中を生き抜くための術を身につけるということがイコール社会を生き抜くことなのだということを、身を持って体験できたのは幸いだったのかもしれない。
あの時代に生きた我々は、とにかく自分の身は自分で守りぬくという強固な意志をもつことを身をもって体得させられたわけである。
誰それ構わずエッチな言葉を投げかける輩は、女性から内心バカにされ敬遠されていることを本人は気づかないものだ。
そして、こういう輩はモテない男に多い。
或いは、フランクに友達として付き合える女性も周囲にいないので、いかに女性にとって不愉快で迷惑であるか気がつかないのだ。
つまり女性心理に疎いのである。
逆に日頃モテる男性が飲み会などでふと下ネタなどを口にすると、「いやぁ~、○○さんまでそんなこと言う?」と、女性たちが半ば歓迎するような態度をとったりするから実に世の中とは不公平なものである。
また、モテオトコが女性の前で発する下ネタは嫌われない範囲に留めるといった綿密な計算がなされていることが多いのである。
男性諸氏に言いたいのは、まず自分が「コンプラ違反」に問われる世の中に生きていることを四六時中強く意識し身を引きしめるべきだということだ。
いわゆるオジサンと言われる年代の男性は、まだまだこの意識の持ち方が希薄な人が多い。
わかっているようで意外とわかっていないのである。
また女性は非常に複雑怪奇で読みにくい。
何が不快でなんだったら許容できるのか。
それは日頃から女性たちが何を考え何を求め何を嫌がるのか
彼女たちの生態から、しっかり学ぶべきである。
モテる男たちはこのあたりを熟知している。
だから地雷を踏みにくいのである。
全ての男性に一挙にモテオトコになれと言ってもそれは土台無理な話だ。
だったら、臆せず女たちの中に入ってみることである。
昨今はコーヒー1杯も高くなっているが、3~4人の若い女子たちのお茶に加わって潔くお茶代を引き受ける。
そういった機会に触れると、今どきの女子たちの考えていることが手に取るようにわかるものだ。
1対1だとこれまた問題だが、1対2以上だと問題になりにくい。
コンプラ違反が問われる今の時代、セクハラオヤジと言われないためにもこのくらいの投資は惜しんではならないのである。
南 美希子 Mikiko Minami
(元テレビ朝日アナウンサー・エッセイスト・司会者・コメンテーター)
東京生まれ
東京女学館から聖心女子大学国語国文学科へ
大学3年生の時にテレビ朝日アナウンサー試験に合格。
3年終了後、1977年テレビ朝日アナウンス部に入社。
1986年12月に独立。
以降テレビ・ラジオ・執筆・講演・司会などで活躍中。
日本抗加齢協会公認のアンチエイジングアンバサダー。
美容・抗加齢に関しての知識も豊富。
東京理科大学オープンカレッジで話し方の講座を持つ。
https://mikikominami.net















