魅力ある紳士達の出会い
第8回 「いい顔の作り方」
「20歳の顔は自然からの贈り物、
30歳の顔はあなたの人生、
でも、50歳の顔はあなたの功績」
ココ・シャネルの遺した言葉だ。
評論家の大宅壮一氏の言葉にもよく知られた
「男の顔は履歴書」という名言がある。
この言葉は、昭和のヤクザ史に名を刻んだ
伝説のヤクザ安藤昇氏を初めて見た時、
大宅氏の口をついて出た言葉だと言われている。
そしてそのまま安藤氏主演のヤクザ映画のタイトルになった。
「男は40歳にもなったら自分の顔に責任を持たなければだめで、
男の顔は履歴書のようなものだ」とも大宅氏は述べている。
秀でた先人たちの言葉にもあるとおり、
生き様は間違いなくその人の顔に出る。
しかも年を重ねるにつれ、それはその人のこれまでの足跡として
しっかりと顔に刻まれる。
男女ともに若い頃は明眸皓歯、眉目秀麗と形容される
目鼻立ちの整った華やかな顔がもてはやされる。
最近は整形手術の技術向上や一般化により
芸能人でなくとも美容整形の恩恵に浴する人が多くなった。
むしろ何らかの美容的処置を全く受けていない人の方が
珍しい時代なのかもしれない。
先日やむを得ない用事で、新宿歌舞伎町のホスト街を
通り抜ける必要性にかられた。
日中の事だったが、私にとっては生まれて足を踏み入れた場所で
物珍しさでいっぱいだった。
ふと、あるホスト店に掲げられた電光掲示板が目にとまり、
思わず足を止めて見入ってしまった。
その店のホストの顔と名前と売り上げが1位から10位まで
ランキング形式で表示されているのだ。
間違いなく10人の青年たちの顔立ちは好みの差こそあれ、
判で押したような美形だった。
ものの見事なイケメン揃いだ。
No1は一日の売り上げが100万だったろうか、信じがたい額が
表示されていた。
稼ぎのためだったら顔立ちを手術によって整えることぐらい
朝飯前のことなのだろう。
近年は整った顔の希少性が随分薄れてきたなあと思う。
若いうちは整った顔で一稼ぎできるかもしれないが、
整っただけの顔が通用しなくなるのが、先人たちも指摘するとおり後年の人生だ。
知性も品性も良識も纏っていない、整っただけの男の顔は
むしろ貧相で薄ら寒い。
ある年齢を超えると、目が細かろうが、唇が厚かろうが、
鼻が座っていようが、しかるべき教養と品性と優しさを身につけ、
自分なりの人生を歩んできた男の顔の方に軍配があがる。
不思議なものだ。
具体的にいえば、男女の別なく自分の正しいと思う道を
迷わず突き進んできた人の顔には信念が刻まれ
自ずと惹きつけられる何かがある。
意に沿わないが、妥協をしたり、やってはいけないことと
分かっていながら悪に手を染めた人の顔には
それがものの見事に刻印されるのである。
底意地の悪さや僻みといったネガティブな感情も
どんなに取り繕っても表出するものである。
他人に対しては元より、
自分に決して嘘をついてはならない。
そして、それは間違いなく顔に出る。
もう一度言おう。
男の顔は履歴書である。
南 美希子 Mikiko Minami
(元テレビ朝日アナウンサー・エッセイスト・司会者・コメンテーター)
東京生まれ
東京女学館から聖心女子大学国語国文学科へ
大学3年生の時にテレビ朝日アナウンサー試験に合格。
3年終了後、1977年テレビ朝日アナウンス部に入社。
1986年12月に独立。
以降テレビ・ラジオ・執筆・講演・司会などで活躍中。
日本抗加齢協会公認のアンチエイジングアンバサダー。
美容・抗加齢に関しての知識も豊富。
東京理科大学オープンカレッジで話し方の講座を持つ。
https://mikikominami.net















