魅力ある紳士達の出会い
第16回「有事で分かるオトコの真価」
オトコの真価は有事の際に発揮されるものだ。
では有事とは何だろう?
そもそも人生には予測不能な様々な事態が発生する。
勿論思いがけない幸運も訪れるが、
むしろピンチの方が多いのではないだろうか。
人間関係、仕事、お金、健康、恋愛。
これらにまつわるありとあらゆる不幸がどんな人の身にも降りかかる。
それをどう対処し、どう乗り越えていくか。
その乗り切り方でその人の真価が分かるものだ。
それが冒頭の言葉の意味である。
例えば何か過ちを冒してしまった場合、素直にまず謝罪をするのが
人としてあるべき姿だと思うが、それをせずにまず弁解に終始する、
さらに悪いことに誰か人のせいにする人。
平素は、敬愛すべきリーダーだと思っていたのに、
何か起きた時にがっかりさせられた例はごまんとある。
こんなふうに、有事でオトコを下げる例は枚挙にいとまがないのである。
しかし、逆に有事でオトコをあげる人もいる。
具体例をあげてみよう。
長期休暇が取れ、彼女と海外でのバカンスを楽しむ計画を立てていた。
ところが、前日になって彼女からの電話。
「父親が突然倒れて、今ICUに入っているの。
ごめんなさい。旅行どころではなくなったわ。」
電話口の声は涙声だ。
さあ、この有事にあなたならどう対処するか。
「それは大変だ。心配だね。
でもこの旅行は半年前からの計画だったよね。
しかもやっと念願のバリのアマンダリが取れたんだぜ。
キャンセル料も半端ないことになる。
病院に入って治療を受けているわけだろ?
おふくろさんもついていることだし、君がいたところで何かできるわけではない。
とにかく行こうよ。またとないチャンスなんだから」
気持ちはよく分かる。
しかし、彼女の身になってみたらどうだろう。
たった一人のかけがえのない父親が生命の危機に瀕している。
最悪の場合はもう会えなくなるかもしれない。
そんな時に旅行をしたいなんて気になるだろうか。
最愛の人の気持ちを慮ることなく、自分の都合でしか物事を考えられないオトコは
果たして有事に強いオトコと言えるだろうか。
彼女の思いに心を巡らせることができるオトコなら、こういう言葉をかけるはずだ。
「それは大変だ。
旅行どころではないよ。
すべての事は心配無用。
旅行のことは全く心配しなくていいよ。
僕が全部やっておく。
まずお父さんが元気になられることを祈ろう。
そして回復されたら再度計画をしよう。
別にアマンダリにこだわることはないよ。
君の旅なら僕は場所なんて関係ない。」
後者のような言葉をかけられたら彼女はどんなに
心が安らぎ嬉しいことだろう。
ただでさえ肉親の病気で動転している最中だ。
最愛の人からこんなふうに言われたら罪悪感を抱くことなく安心して
父親の看病に専念することができるだろう。
そして、改めて自分の惚れたオトコが懐の深い包み込むような優しさの
持ち主であるを知り、惚れ直すだろう。
人間誰しもエゴがある。
しかし、有事の時こそエゴを一旦脇に追いやるべきだ。
そして事態を俯瞰でみて冷静な判断を下すべきだ。
他者を思いやる気持ちはどんなときにも忘れてはならない。
平時はどうふるまうのがベストであるか分かっていても、
アクシデントが発生すると、自分を見失い判断を誤ることが多いものだ。
さらにいけないのは有事の際、卑怯な手を使うことだ。
経済的な有事だった場合、人をだます・不正を働くなど。
有事の時こそ正しい道を行くべきだと思う。
そう、どんな時も王道を堂々と歩める男性でありたいものだ。
何か災いが降りかかった時。
まず慌てない。
全体を俯瞰し冷静な判断をするように努める。
切り抜けるために他者をだましたり、傷つけたりしない。
全ての責任を一心に背負う覚悟を持つ。
一時は損をしたと思うこともあるかもしれない。
しかし見ている人はちゃんと評価してくれる。
結局はそのことにより他人から敬服され、
さらなる道が開けることになるのだと思う。
人間の器というのは有事に遭遇して大きくなっていくのかもしれない。
南 美希子 Mikiko Minami
(元テレビ朝日アナウンサー・エッセイスト・司会者・コメンテーター)
東京生まれ
東京女学館から聖心女子大学国語国文学科へ
大学3年生の時にテレビ朝日アナウンサー試験に合格。
3年終了後、1977年テレビ朝日アナウンス部に入社。
1986年12月に独立。
以降テレビ・ラジオ・執筆・講演・司会などで活躍中。
日本抗加齢協会公認のアンチエイジングアンバサダー。
美容・抗加齢に関しての知識も豊富。
東京理科大学オープンカレッジで話し方の講座を持つ。
https://mikikominami.net














