Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士が知るべき日本の逸品

【越前おろしそば】手挽きにこだわる谷川の心意気

越前おろしそば03
大根おろしとカツオ節のかかったそばに麺つゆをぶっかける「おろしそば」。
これからの季節、さっぱりとした大根おろしが食欲をそそる。

越前おろしそば01ゆっくり押し付け、石の重みで潰れるくらいの加減で少しずつ、毎朝、石臼を挽く谷川氏。回す「音が大事」という職人の感覚が冴え渡る作業だ。

********

約20年前、脱サラで始めた谷川氏。
福井県はすべての製粉会社が石臼で挽くそば所だが、「そば蔵 谷川」は県内で初めて一日分ずつを毎日、自家製粉したパイオニアだ。

福井県従来種の玄そばは実が詰まり、香り高く、風味豊か。
谷川では鮮度を保つために収穫された玄そばを1年分仕入れると、すぐに低温で貯蔵する。

手挽きにすると殻の黒色、甘皮の緑色、芯の粉の白色が不均等のつぶとなって混ざり合う。太打ちでつなぎを使わないそば切りは、手挽き同様、繊細な作業だ。

挽きたて、打ちたて、茹でたての3拍子揃ったそばは格別。
福井では昔から、玄そばは栄養価が高く、毛細血管の弾力性や柔軟性にも一役買い、脳出血を抑えると言われるポリフェノールのルチンや、肝臓を保護するコリンが多く含まれることから「五臓六腑のアカをとる」と言われ、長寿食として親しまれてきた。
おろしそばはルチンの働きを活性化する、ビタミンC豊富な大根おろしとの相乗効果もあり一石二鳥。

最後に供される、そば湯も見逃せない。
滋養に富むそば湯だが、玄そば&手挽きの濃さは味にも香りにも現れている。
素材の魅力を十二分に引き出す男気溢れる  “ 手間 ”  の成せる業だ。
営業は昼時の約2時間半だが、朝から石臼を挽き、大根を3種育てる等、一日がそば作りに費やされる。
蔵を改築した店で、備前焼の器でふるまわれる究極のそば。
真剣勝負の味をじっくり味わいたい。

そば蔵 谷川
〒915-0815 福井県越前市深草2-9-28
☎ 0778-23-5001

■福井編
神に供え天皇に捧げる食物  〝 御贄(みにえ)“  を供する  “ 御食國(みけつくに)”  であったのをはじめ、江戸から明治にかけて活躍した北前船の寄港地(三国湊と敦賀港)があるなど、奈良京都に近い要衝であり、多くの文化や歴史を積み重ねてきた福井。
現在は幸福度N0.1の県として知られ、日本の原風景が残る当地では風土や歴史、人々が育んできた数々の逸品がある。
代々受け継がれてきた匠の技。職人気質が物語るこだわり。

伝統を守りながら、日々研鑽する男たちの逸品をご紹介。

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

おすすめのたしなみ