Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のための恋する日本酒

Issue No.6 酒呑み必見!本当に効く二日酔い対策

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■古くから伝わる二日酔い対策

この季節、お花見や新人歓迎会など飲み会が続く季節。
皆さまの肝臓は、悲鳴をあげてはいないだろうか?
二日酔いの辛さは、なった人にしか分からない苦しみ。
ひどい時は、もう二度とお酒なんか飲まない!と思ってしまうほどの断末魔の苦しみ。
二日酔いに効果があると言われているものは色々耳にするけれど、いかんせん曖昧な俗説も多く、本当に効くものがわからない。
そんな人のために、オススメの二日酔い対策のお話をしようと思う。

古来から伝わる説の中、かなり効果が期待出来るのが「柿」!より効果倍増なのが「熟柿」
俗説どころか、しっかりと栄養学的根拠があって、果糖が多い分新陳代謝が早く、その早さがアルコールの分解を促進してくれる。
また、アルコール濃度を抑えるタンニンやペクチンが特に多いから、昔の人も経験の中で二日酔いに効くことを見出したのだ。
昔は果糖の多い果物が少なかったため、甘さが強い柿が良しとされてきたのだが、現在だったらスイカなんかも可。

そしてもう一つ日本の「一汁一菜」の形を作り上げた、鎌倉武士に習う二日酔い対策。
それは「梅昆布茶」
もともと僧侶の点心に用いられたものだが、やがて武士も着目するようになり、『世俗立要集』の中に「武家の肴のすえよう」として、梅干し、アワビ、クラゲの三品が出されている記述がある。
優れたアルカリ性の食品であるため、血液が酸性化して、お酒を飲んだ後の疲れが出にくくなるのだ。
平安時代の村上天皇が、病気を梅干しと昆布入りの熱茶で治したという話は非常に有名で、私は二日酔いだけでなく具合が悪い日の飲み物は、梅昆布茶と決めている。

その他にもお酒好きのあなたのために、二日酔いに効果的なものと、実はNGな物をご紹介しようと思う。

                                                                                                                      
◎【 OK

・はちみつ
希少な果糖の一種が含まれているので、体内のアルコール度数を下げる。
ホットミルクに混ぜると、ブドウ糖がアミノ酸を吸収しやすくするので更に効果的。

・味噌汁
しじみ汁はアルコールを代謝する酵素の働きを高めるので、二日酔いに効果的なのは有名な話だが、しじみでなくても、味噌汁であれば何でもタンパク質、ミネラル、水分が多く具材からも栄養を摂取できるのでオススメ。

・トマトジュース
二日酔いは、肝臓でアルコールが分解される際に、アセトアルデヒドが発生することが原因。
トマトジュースに含まれるリコピンは、その作用を抑制し、解毒作用の高いグルタチオンや、利尿作用の高いカリウムが多く含まれる。

 

×【 NG

・お風呂
熱いお風呂に入って汗をかいて、気分すっきり!
しかしこれは一番NG!
前日飲んだアルコールでただでさえ体内の水分量が激減しているところに、追い打ちをかけるように汗をかくことで脱水症状に。
心拍数も上がり心臓への負担も高くなるので、さっとシャワーを浴びる程度が正解。
運動も同じ理由でNG。

・エスプレッソコーヒーや玉露
通常のインスタントコーヒーの倍以上カフェインが含まれている、エスプレッソコーヒー。
その苦味たっぷりの味わいで、ぼーっとした二日酔いの頭をすっきり目覚めさせてくれるようなイメージだが、利尿作用があるカフェインは体の水分も一緒に排出してしまう。
渋さがアルコールを分解してくれそうな玉露も同じく、コーヒーよりもカフェインが多く利尿作用が高いので、二日酔いの日は避けるべき。

■アンチ悪酔いの肴、納豆

お酒を呑まない人にとっては、なぜこんな具合悪くしてまで呑むのかさっぱり分かんない。。
きっとそう思ってるに違いない。
おっしゃる通りです。その通り。
だけど人生において、お酒ほど楽しいものはない!
そう思っている人も多いのも事実。
やっぱり私はそっち派であることは否定できないのだけど。。(笑)
お酒は直に胃腸から肝臓に吸収されるため、肝臓がキャパオーバーになると悪酔いをおこす原因に。
空きっ腹の被害は肝臓だけでなく胃腸にも及び、下手したら胃潰瘍にまでなり兼ねない。
こんな事態を避けるためにも肴は非常に重要で、酒の肴にはタンパク質の多いものが最適なのだ。
理由は、胃に壁を作ってくれて、肝臓のアルコール分解能力を高めるから。
江戸時代のことわざにも

「酒は燗、肴は刺身、酌はたぼ(美人のこと)」

という言葉があるが、お刺身はタンパク質が多く含まれているため、昔から酒呑みの知恵が言わせた言葉。
しかし、お刺身よりもはるかに多いタンパク質が含まれているのが、納豆である。
「納豆を食べながら飲むと悪酔いしない説」は日本各所で古来から言い伝えられてきた言葉だけど、思い返してみると美味しい日本酒を出すお店で、納豆を出すところが多い事に気付いた。
納豆のネバネバには、ムチンという成分が含まれていてアミノ酸とフラクタンという多糖類で構成されている。
このムチンがとても柔軟で胃をカバーして、アルコールを吸収するのだ。
さらにビタミンB2も多いから、これもアルコールの分解をより高める。
タンパク質とムチンのダブル効果を発揮して、身体に必要な成分も、解毒成分も含んでいる納豆は、肝機能を向上させる無敵の肴なのだ。

■蟹や鹿の塩辛?

世界の中でも長寿民族である日本人のアンチエイジングの由来は、微生物の働きによって作られた「発酵食品」であると言えると思う。
各地方の風土、特色を生かした発酵食品には、醤油、味噌、漬物、納豆、カツオ節など、様々な土地の食品は酵素を作るパワーがアップして免疫力を高めてくれるのだ。
発酵食品の宝庫とも言える日本に生まれながら、これを活かさないわけがない。
その中でも日本酒にぴったりの肴が「塩辛」
塩辛は、肉だけでなく、内臓も原料となっているためタンパク質、ビタミンB、ミネラル、酵素などが非常に豊富である。

『万葉集』の中には「蟹のために痛みを述べて作る」とあり、蟹が塩辛にされて痛がっている様子が書かれている。
蟹をすり潰し、香辛料のニレの樹皮を加えて塩蔵したもので、現在もこれに非常に似たものが存在する。
佐賀県の有明海周辺で作られている『がん漬け』である。
『がん漬け』は「かに漬け」のなまった言い方で、蟹の塩辛のこと。
平安時代の日本酒は、どぶろくに近い様なとても甘みの強い飲み口だったため、塩辛くインパクトのある肴が非常に好まれたようだ。

同じく『万葉集』の中には、「蟹のために痛みを述べて作る」歌と並んで、鹿の塩辛があったことも記述されている。

____(前略)鹿待つと わがをる時に さ雄鹿の来立ち嘆かく たちまちに われは死ぬべし 大君にわれは仕えむ わが角は み笠のはやし わが耳は み墨のつぼ わが目らは 真澄の鏡 わが爪は み弓の弓弭 わが毛らは み筆はやし わが皮は み箱の皮に わが肉は み膾はやし わが肝も み膾はやし わがみげは み塩のはやし 老いたる奴 わが身ひとつに 七重花咲く 八重花咲くと白し賞さね 白し賞さね ____(三八八五)

歌の中の「みげ」は鹿の胃や腸のことで「み塩のはやし」が、鹿の内臓を材料にした塩辛のことを指している。
室町時代になると鹿やうさぎなど、動物の塩辛はなくなって、「なしもの」と呼ばれ魚介や鳥を原料にしたものだけになったようだ。

実はこのような歴史のある塩辛の薬餌成分には、スタミナ強化の特効薬と言えるアルギニンというアミノ酸がたっぷり含まれているそうで、強精効果も強いのだそう。
塩辛は昔から、酒好きの男性専科の肴だったのだ。

「酒呑みと二日酔い」という切っても切り離せない関係だけど、いつの時代も酒好きは二日酔いと戦ってきた模様。
それでも止めないお酒の魅力は、無限大なのだろう。
馬鹿だと思っても、もうお酒やめようと思っても、やっぱり手に取ってしまう底知れぬパワーに飲み込まれないように!(笑)
出来れば二日酔いになる前に、上手に身体を労わりながら楽しみましょ?

野口 万紀子 /  Makiko Noguchi
株式会社  5 TOKYO 代表取締役
クリエイティブディレクター


【取得資格】
SSI認定 唎酒師                   (認定番号 No.042210)
SSI認定 日本酒ナビゲーター             (認定番号 No.9338 )
WSET LEVEL1 AWARD IN SAKE (認定番号 No.313766 )
日本野菜ソムリエ協会認定 パーティースタイリスト
食品衛生責任者


【プロフィール】
東京都目黒区生まれ。女子美術短期大学卒業。モデル、芸能活動後、外資系アパレルブランド、融資コンサル会社等での経験を経て、株式会社 5TOKYOを設立。『日本酒 × ファッション・アート』をテーマに、5感で感じる日本酒の楽しみ方を提案。ソーシャルメディア「SAKE美人」「HANA美人」キュレーター。「和酒フェス公認」 和酒アンバサダー。

【URL】
 5TOKYO
 http://5-tokyo.com
 SAKE美人
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 HANA美人
 http://hanabijin.flowers/archives/author/hana20


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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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