Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のための恋する日本酒

Issue No.8 お米の違いで味は変わるの?

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■日本酒を作るお米と食べるお米は違う

日本酒の原料となるお米だが、日本酒を作るのに適したお米のことを酒造好適米と呼ぶ。
この酒造好適米と、私たちがいつも炊飯器で炊いて食べているお米とは、ちょっとした違いがある。
普段食べているコシヒカリやササニシキと、一体何が違うのかというと

・サイズが大きい
・中心部の白い部分(心白)がある
・水をよく吸う
・蒸し上がった時に外側が硬く、内側が柔らかい

日本酒作りに使われるのは、お米が適していると言われている。
食べる時のお米は粘り気があって、シャキシャキしているのがいいのに対して、酒造好適米は大きくて粘り気なし!
雑味を取り除くため精米をして、麹と酒母を加えて日本酒を作る際、割れにくく麹菌が中心まで入り込みやすくなるので、糖化しやすくなるのだ。
これが普通のお米だと、サイズ感も小さくて実がしっかりしすぎているので、麹菌が入り込みずらく、十分な仕上がりになりにくい。

実際、山田錦を通常のご飯のように炊いて食べてみると、一目瞭然。
大きくて粘り気がなく、食べるとイマイチ。。
最近では、地元の食べる用のお米を使って日本酒作りにチャレンジしている蔵も出てきていて、新たな日本酒のジャンルができつつもある。

■意外に難しいお米の味の違い

酒造好適米には様々な種類がある。
山田錦、五百万石、雄町、美山錦などラベルにも使っているお米を表記してある。
しかし、お米の味の違いって難しいものなのだ。

例えば目を閉じて、ササニシキとコシヒカリの味の違いが分かるだろうか?
かなり難しい違いだと思うけれど、それがマスカットと巨峰なら分かるはず。
ブドウの味の違いは分かりやすいけど、お米の味は分かりにくいもの。
だからワインっていうのは〜地方の〜ブドウっていう、明確な味の違いと共に、その地元のブドウで作ることが必須であり、極端に言うと日本酒より醸造工程は非常にシンプル。
ブドウもともと糖質を持っている分、後から添加する必要がないから。

その意味では日本酒の旨さというのは、作り手の技術がかなり影響するのだけれど、「新潟は米どころだから、酒も旨い!」という考え方は間違いなのだ。
つまり、新潟の旨い日本酒が新潟で作られているとは限らないっていうこと。
山田錦など、貴重な酒造好適米は全国の蔵が名産地から購入して、酒を作っている。
そのため米の味の個性が、その土地の特徴を表すわけではない。

米の味、仕込み水、酵母の種類など作り手のセンスと技術が化学反応し合って、美味しい日本酒が出来上がるのだ。
それでも最近では、地元の米を使って酒作りをする蔵も登場してきて、それぞれの個性がひしめき合っている時代に突入した。

お米の味の違いを感じる事が出来たら、だいぶ日本酒上級者かも?
お酒を選ぶなら、原料米も一つの基準になるかも。
お好みのお米を見つけて、酵母や仕込み水との組み合わせで飲み比べてみるのもオススメ。
ぜひお試しあれ!

~名前だけでも覚えておくと日本酒ツウになれる酒造好適米トップ5~

①山田錦(やまだにしき)
主な生産地:兵庫県
酒造好適米の中でも全国の9割以上が兵庫県で生産されていて、非常に香味がある。
大会に出品する日本酒なども山田錦を使っているものが多く、最近だと「獺祭」などが有名。

②五百万石(ごひゃくまんごく)
主な生産地:新潟県
山田錦と並ぶ酒造好適米トップ2。
淡麗で爽やかな味わい。

③雄町(おまち)
主な生産地:岡山県
酒造好適米としては最古の種類で、山田錦より芳醇な味わい。
栽培が難しい。

④美山錦(みやまにしき)
主な生産地:長野県
昭和53年 長野県農事試験場にて突然変異によって登場した。
五百万石のようにスッキリとした味わい。

⑤出羽燦々(でわさんさん)
主な生産地:山形県
吟醸の地、山形にふさわしく切れ味の良いサラリとした口当たり。
山形オリジナル。

 

野口 万紀子 /  Makiko Noguchi
株式会社  5 TOKYO 代表取締役
クリエイティブディレクター


【取得資格】
SSI認定 唎酒師                   (認定番号 No.042210)
SSI認定 日本酒ナビゲーター             (認定番号 No.9338 )
WSET LEVEL1 AWARD IN SAKE (認定番号 No.313766 )
日本野菜ソムリエ協会認定 パーティースタイリスト
食品衛生責任者


【プロフィール】
東京都目黒区生まれ。女子美術短期大学卒業。モデル、芸能活動後、外資系アパレルブランド、融資コンサル会社等での経験を経て、株式会社 5TOKYOを設立。『日本酒 × ファッション・アート』をテーマに、5感で感じる日本酒の楽しみ方を提案。ソーシャルメディア「SAKE美人」「HANA美人」キュレーター。「和酒フェス公認」 和酒アンバサダー。

【URL】
 5TOKYO
 http://5-tokyo.com
 SAKE美人
 http://sakebijin.com/author/bijin30/
 HANA美人
 http://hanabijin.flowers/archives/author/hana20


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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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