Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

第20回「教養としてのパートナーシップ」

恋人との付き合いが深く長くなるにつれ、

自然とお互いの人間関係をシェアするような状況になってくると思う。

互いの友達や、それぞれの家族を紹介し合うようになる。

そうなると彼女の友人と親しくなったり、彼女のご両親と連絡を取り合うようなこともあるだろう。

しかし、まずはそれぞれの家族を紹介し合うという段取りを乗り越えなくてはならない。

彼女のご両親だったり、兄弟であったりというわけだが、

最大の関門はやはり彼女のご両親だろう。

当然ながら、いかに好印象を持って受け入れられるかが大きな課題だ。

娘の彼氏を初めて紹介される親御さんの方にとっても、緊張の瞬間であることは間違いない。

親としても、もしかしたら将来娘の伴侶になるかもしれないオトコがどんな人物なのか、気懸りで仕方ないはずだ。

厳しい眼で見られることも当然覚悟しておかなければならない。

勿論先方の家柄や、家風によってチェックポイントは異なるかもしれない。

ただ、相手側がどんなご家庭であっても、

最も大切なのは自分を必要以上に大きく見せようとしない事だ。

博識であったり、金持ちであったり、いい人であったり、

彼女の親御さんを前にして自分をよりよく見せたい、

プラスの要素を誇張しようとするのが人間の常だ。

しかし、無理や誇張をすればいずれボロがでる。

ポイントはどんなシチュエーションでも、

いかに自分らしくいられるかということなのである。

平素の自分を失わず、自然な振る舞いができるかという事が最も大事だ。

だから言うまでもなく、平素のふるまいが紳士的であるかどうかが問われるのだ。

礼儀作法であったり、人への気遣いであったり、

たとえ人目がなくても恥ずかしくない振る舞いができる。

それが紳士というものだ。

当たり前の社会的知識、教養も身につけておきたい。

あるお見合いの席に立ち会ったことがある。

彼女の父親が彼にごく一般的な世界情勢に関する質問をした。

企業面接の口頭試問ではないが、娘の婿になるのであれば、

父親としてはこのくらいの了見は身につけておいて欲しいと思って聞いたのだろう。

もう何年も昔の話になるので内容は忘れてしまったが、

今でいえば「トランプ大統領をどう思う?」という程度の質問だったと思う。

ごく当たり前に電子版でもいいから新聞に目を通し、

日々飛び込んでくるニュースに敏感であれば、

「世界中が彼に振り回されているようで心配です。」くらいの回答はできるだろう。

しかし、彼は下を向いて何分間も押し黙ってしまい結局一言も発することができなかった。

お父さんのほうも

「いや、面接試験ではないので軽く答えてくれればよかったのだが、もうこの話はやめよう。」

と切り上げざるを得なかった。

そこには何とも言えない気まずい空気が流れた。

その間の彼女の悲し気な表情を私は忘れられない。

社会人として当然心得ておくべきことに答えられないばかりか、

結局言葉を何も発することができなかったというのは情けない限りだ。

「申し訳ありません、勉強不足で答えられません。

今後はもっと世界情勢を勉強します。」でもいいのだ。

後日談だが、結局二人は結婚したものの、3年程で離婚をする羽目になった。

この話も日頃から恥ずかしくないように、

あらゆる方面にアンテナを張って生きていなければ、

いざという時に窮するという見本のような一例である。

靴を脱ぐときはきちんと扉の方につま先を向けて揃える、

「ありがとう」がちゃんと言える、席を立つときは椅子を入れる、

このあたりはマナーでもなんでもない、マナー以前のたしなみだ。

そして、彼女の家族だけでなく彼女の友人たちと過ごす場面にも遭遇する事だろう。

彼女が女友達たちと食事をする場に顔を出してくれと頼まれることもあるかもしれない。

べつに彼女はそこで目一杯の愛想を振りまいて欲しいわけではない。

ただ、そこに自分の彼氏に同席して欲しいのである。

ところが、かたくなに嫌がるオトコもいる。

知らない人々との付き合いが苦手で、内気な性格の男性もいると思う。

しかし、大切な彼女の為なら多く喋らずとも付き合ってあげるべきである。

むしろ多弁すぎて一人で喋りまくられても彼女としては辛いものがある。

女性同士の話に耳を貸しながら、静かにグラスを傾けニコニコと笑みをたたえる男性。

こういう彼氏像を女性は求めているのだ。

恋人が内向的過ぎると、

結局のところ女性は昔の友人たちとは疎遠になり人間関係が狭められていく。

一方、自分の人間関係の場にばかり彼女を連れ回そうとするオトコもいる。

彼女はホステスではないのだから、愛情があればこのあたりの配慮をするべきだ。

性格や振る舞いは生まれつきのもので変えられないが、彼女というbetterhalfを得て、

自分自身のふるまいをより洗練されたものに向上させ、

話題を蓄え、社交的な人間であろうとする。

恋人との間を深めていくという事は、

自分自身をステップアップさせるチャンスであるということを忘れてはならない。

プロフィール

南 美希子 MikikoMinami

(元テレビ朝日アナウンサー・エッセイスト・司会者・コメンテーター)

東京生まれ

東京女学館から聖心女子大学国語国文学科へ

大学3年生の時にテレビ朝日アナウンサー試験に合格。

3年終了後、1977年テレビ朝日アナウンス部に入社。

1986年12月に独立。

以降テレビ・ラジオ・執筆・講演・司会などで活躍中。

日本抗加齢協会公認のアンチエイジングアンバサダー。

美容・抗加齢に関しての知識も豊富。

東京理科大学オープンカレッジで話し方の講座を持つ。

https://mikikominami.net

 

南 美希子 Mikiko Minami

(元テレビ朝日アナウンサー・エッセイスト・司会者・コメンテーター)

東京生まれ

東京女学館から聖心女子大学国語国文学科へ

大学3年生の時にテレビ朝日アナウンサー試験に合格。

3年終了後、1977年テレビ朝日アナウンス部に入社。

198612月に独立。

以降テレビ・ラジオ・執筆・講演・司会などで活躍中。

日本抗加齢協会公認のアンチエイジングアンバサダー。

美容・抗加齢に関しての知識も豊富。

東京理科大学オープンカレッジで話し方の講座を持つ。

https://mikikominami.net

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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