紳士のための焼酎入門
第1回「焼酎とは一体何者か?」
はじめまして。今回から焼酎をテーマに連載をさせていただくことになりました、株式会社GENコーポレーション代表取締役の山口昌宏と申します。今後とも是非よろしくお願いします。
さて記念すべき初回のテーマは「焼酎とは一体何者か?」ということですが、「それを語るお前こそ何者だ」と思われる方もいらっしゃるかと思います。ワタクシの事も少しだけお話しさせてください。
現在、東京・渋谷にて小さな焼酎Barをやっておりまして、そこは焼酎5000種と梅酒1000種を揃えるとってもマニアなお店です。
日本一の品揃えを誇っておりますので、このコーナーを見ていただいて興味が沸きましたら是非のぞいてみてください。
壁が焼酎のラベルに埋め尽くされています。すべて違うラベルです。そんな焼酎バカです。
では焼酎とは一体何なのか、さっそく本題に入りましょう。
お酒というものを全体像で考えると、まず製造方法から3つの種類に分けることができます。
1つは発酵で生まれたアルコール飲料である日本酒・ワイン・ビールなどの『醸造酒』。
2つ目はその醸造酒を蒸留という方法でアルコール濃度を高めたブランデーやウイスキーなどの『蒸留酒』。最後の3つ目は醸造酒や蒸留酒にさらに何かを加えたリキュールや梅酒などの『混成酒』。
すべてのお酒はこの3つに分類されます。
では焼酎は?・・・はい、答えは蒸留酒です。
ではその蒸留酒の中ではどう分類されていくのか。
案外このあたりからはなかなかうまく説明できない方も出てこられると思います。
この機会に人前でも話せるようにしっかり覚えてしまいましょう。
蒸留酒は基本的には原料と生産地の違いで名前が変わります。
例えば原料がさとうきびなら一般的にはラムが知られていますが、ブラジルだとピンガという名前になります。当然生産地によって製造方法も違ってきますので、味も全く別物になります。
それでは焼酎は? あれ? 焼酎の原料っていろいろあるけど?
そうなんです。そこが焼酎の特殊性です。
日本ではまず蒸留酒をすべて焼酎とするところから話が始まります。
え! 雑!・・・そうですよね。
日本のお酒の区分はすべて酒税法という税金の為の法律の中で定められています。
他の国のようにそのお酒を定義付けする為のルールではないのです。
だからとてもざっくりしています。
ではではブランデーやウイスキーも日本では焼酎になるの?
ごもっともな疑問です。
だからその酒税法ではこうなっています。
ウイスキー類、スピリッツ類に該当しないもの・・・。
なんじゃそりゃ。でもそういうことなのです。
もう少し細かい規定はありますが、あれこれある世界中の蒸留酒とは違う、それ以外の蒸留酒というのが焼酎の基本的な概念なのです。
だから基本的には規定上の例外に当てはまらなければ、どんな原料でも焼酎は作れるということになりますね。
これが焼酎にいろいろな原料がある理由です。
ただまだこの話には続きがありますが、それは次回「焼酎の甲類と乙類って?」の中でお話しできればと思います。
最後にこれから毎回ワタクシのおすすめ焼酎を紹介していこうと思います。焼酎を誰かにプレゼントしたい時や今夜の晩酌に悩んだ時など参考にしていただければと思います。
* 今回のおすすめ焼酎 *
「克 特別瓶熟3年貯蔵」
芋焼酎・25度・鹿児島県・東酒造
「魔王」の杜氏として有名な前村貞夫氏が本当の古酒としてこだわって作った超限定焼酎です。
出来たての芋焼酎をビンに入れて密封し、3年寝かせた正真正銘の古酒です。
山口 昌宏
焼酎・梅酒が日本一、GEN & MATERIALを経営。酒全般マニアの元バーテンダー。
株式会社GENコーポレーション社長。
バーテンダーをしている中で、2000年に焼酎と出会いマニアに。
焼酎ブームの火付け役ともされるEN-ICHIで修業後、独立。
現在、東京・渋谷に数店舗を持ち、大阪にプロデュース店有。
昨年、兵庫・高砂に焼酎日本一の店舗「セイエイカン」を開店。
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