Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のための焼酎入門

第35回「焼酎の味を決めている成分とは?」

またゴールデンウィークが終わり、5月病の時期ですね、ちょうど。

…っていうか最近聞かなくなりましたね、5月病。

休み明けに心身の不調を訴えて、なぜかやる気や気力をそがれるのが5月病。

気になって調べてみたら、最近6月病なるものが増えているそう。

確かに梅雨もかぶるし、6月の方が単純にテンションも下がるかも…。

さあ負けずに乗り越えましょうぞ。

(…と言いながら、喉を痛めて極端なかすれ声のワタクシ…)。

 

今回のテーマは実に面白い、焼酎の「味」についてです。

焼酎は蒸留という工程を踏んでしまうので、味の成分は少なくなってしまいます。

元々蒸留は、できるだけ純粋なアルコールを抽出するというのが目的でした。

だからこそ我が国の第1次焼酎ブームは焼酎甲類(当時の呼び名)が中心だったんです。

連続式蒸留という方法で、いかに純粋アルコールであるエタノールを抽出するかの勝負だったわけです。

ではではやっぱり、その味とは一体?

 

さてその正体に迫っていきましょう。

ではまず焼酎の味を決めている成分は一体どのくらいの量含まれていると思いますか?

先程もお話ししました通り、蒸留酒はエタノールがメインの成分になります。

また焼酎はほとんどの場合、アルコール度数や酒質などの調整の為に割り水をしています。

実に99.8%の部分が水とエタノールであるというのが実態です。

「味」たるものを左右するのは、基本的には残りの0.2%に過ぎないのです。

まさに目からうろこ。

 

しかし驚くのはまだ早い!

蒸留という工程を経る以上、当然その0.2%とは揮発性の高い成分であるということが言えます。

そして少し難しくなりますが、人間は基本的に揮発性の物質は舌ではなく鼻で感じ取るそうなんです。

要するに簡単に言えば0.2%の成分は「味」ではなく「香り」であるというのが結論です。

私たちは焼酎を楽しむ時、実は0.2%しか含まれていない香り成分を楽しんでいるんです。

想像を超えてきたんじゃないですか?

 

そう言われてみれば、焼酎の試飲会などで試飲する際、香りだけで判別する方が割と多いです。

当然、すべてを飲み干していたら酔いが回りすぎてそれどころではなくなるというのも確かですが…。

ちなみにワタクシも無意識のうちに、経験的にそうするようになっていますね。

お客様との利き酒バトルなども開催したことがあるんですが、ほぼ口は付けませんでした。

一番多いのは口に含んで鼻から抜ける香りで判別するという方のようです。

ただワタクシの場合は口に含むことで改めて迷いを生じてしまっていましたので…。

 

さてそれでは話は戻って、この0.2%の成分。

具体的にはどんな内容になっているのでしょうか。

これは当然のことながら、原材料の違う各焼酎で違ってきます。

まずは芋焼酎から考察していきましょう。

できるだけ専門的な用語は少なくして、○○のような香りという言い方でまとめてみます。

 

芋焼酎の香りの中心となってくるのはモノテルペンアルコール類という物質のようです。

これは柑橘や花のような香りということです。

意外ですがアロマテラピーなどでもリラックス効果があるとされているこの香りがメインとなります。

その他に、バラのような香りやウッディで甘い香り、ふかし芋の香りなどが分析されています。

たった0.2%の中にこれだけの香り成分が閉じ込められているんですね。

そして私たち人間はそれを感じ取ることができる。

感動ですよね~。

 

次に特徴的である黒糖焼酎です。

こちらには果実や花のような甘く華やかな香りが含まれています。

特にリンゴの香り、パイナップルの香り、杏の香りなどが感じ取れるようです。

またほんの少し、すっぱい香りや焦げた香りも含まれるようです。

 

その他、米焼酎や麦焼酎などの特徴の落ち着いた焼酎についてもまとめてみます。

これらには共通してフローラルな果実の香りが認められています。

例えられるのはリンゴ、バナナ、イチゴ、パイナップルなどの香りです。

また原料や銘柄によって香りのバランスが変化したり、新たな微香成分が入ったりします。

それがまた個性となっているようです。

 

以上のように今回は焼酎の味を決める成分について考えてきました。

結果、味というより香りの話が中心になりましたね。

皆さんも今後は意識して味わってみてはいかがでしょうか。

ん?これはバラの香りが強いとか、パイナップルの香りが前面に出てるとか…。

また利き酒の機会があったら、是非香りを中心に比べてみていただきたいですね。

思ったよりも仕分けがスムーズにいきますよ~。

 

それでは今回もおすすめの焼酎を一本紹介しておきましょう。

香りでいうと吟醸香の強い、粕取焼酎の逸品です。

福岡の秀逸な焼酎蔵のシリーズもの、空シリーズの新作です。

今回もワタクシの店でも絶賛売出し中!

是非一度お試しください。

 

* 今回のおすすめ焼酎 *

「吟空」

粕取焼酎・25度・福岡県・喜多屋

山田錦などの酒米で仕込んだ吟醸酒粕と米、米麹で醸し、3年以上熟成させた吟醸焼酎。

華やかな吟醸香と上品でまろやかな口当たりが魅力の一本。

 

山口 昌宏
焼酎・梅酒が日本一、GEN & MATERIALを経営。酒全般マニアの元バーテンダー。

株式会社GENコーポレーション社長。
バーテンダーをしている中で、2000年に焼酎と出会いマニアに。
焼酎ブームの火付け役ともされるEN-ICHIで修業後、独立。
現在、東京・渋谷に数店舗を持ち、大阪にプロデュース店有。
昨年、兵庫・高砂に焼酎日本一の店舗「セイエイカン」を開店。

東京 焼酎&梅酒Bar GEN&MATERIAL

和歌山おでんと焼酎専門店セイエイカン

和歌山おでんと焼酎専門店セイエイカン インスタグラム

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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