紳士のための焼酎入門
第5回「お湯割りの黄金比率?ロクヨンとは」
健康診断で見事、肝機能障害との結果を叩きつけられた担当の山口です。
道理で最近めっきり酔いやすくなってしまったなぁと感じるわけです。
「フォアグラ状態ですよ」だって!?
う、うまそうじゃないですか…。
それはさておき今回も焼酎のお湯割りについて少し考えていきましょう。
お湯割りで飲む理由というのは前回書いていった通りなんですが、今回はお湯と焼酎の比率についてつれづれと書いていきます。
タイトルにもある通り、焼酎のお湯割りの黄金比率は焼酎6に対しお湯4であると言われています。
なんか少し焼酎がきついような、また贅沢すぎるような気がしてしまうんですが…。
とにかくこれが九州の焼酎飲みが俗にいうロクヨンという言葉の意味なんです。
さてでは一体どういう根拠でそうなっているのでしょうか。
25度の焼酎をロクヨンで割ったとしましょう。
その時のアルコール度数は約15度。
このアルコール濃度はわれわれ日本人にとってどんな感覚なんでしょう。
それは日本酒の燗酒とほぼ同じなんです。
昔からの経験則として味・香り・旨みを最大限に感じられるとされてきた濃度にピタリと合ってくるんですね。
また温度についてはどうでしょう。
焼酎のお湯割りに適したお湯の温度は85度とされています。
それは結論からの逆算かもしれませんが、とにかく先に進んでいきましょう。
ちなみに85度という温度は、お湯を沸かしている途中で表面に小さな泡が多くなってくる頃の温度です。
コーヒーを作る際にも有効ですので覚えておいてもいいですよね。
さてその85度のお湯を器にそそぐと温度は約70度まで下がります。
思ったよりも下がってしまうんですね。
そこで常温の焼酎と混ざることも計算に入れると40~45度ができあがりの温度です。
日本酒の燗酒でも共通とされる理想の温度が42度と考えると、なるほどベストの温度になってくるんですね。
結局、焼酎のロクヨンという比率は、焼酎飲みが焼酎を飲む中で見つけてきた法則なんでしょうが、つまるところ検証してみてもやはりそれがベストの比率であったというのが結論です。
酒飲みの皆さんの、旨さへの探求心はすごいものですよね。
さてここまで今回は焼酎のロクヨンのお湯割りついてお話してきました。
今回のネタもまたどこかで飲み会の席や合コンの席ででも話題にしていただければ幸いです。
それでは今回もいつものようにおすすめの焼酎を紹介しておきましょう。
今回は少し地方色を出してみましたよ。
* 今回のおすすめ焼酎 *
「六条の雫」
麦焼酎・25度・兵庫県・明石酒類醸造
兵庫県の東播磨地区産の六条大麦を使用した限定焼酎です。
JA兵庫南との共同開発で生まれた、かろやかな香りの飲みやすい麦焼酎です。
山口 昌宏
焼酎・梅酒が日本一、GEN & MATERIALを経営。酒全般マニアの元バーテンダー。
株式会社GENコーポレーション社長。
バーテンダーをしている中で、2000年に焼酎と出会いマニアに。
焼酎ブームの火付け役ともされるEN-ICHIで修業後、独立。
現在、東京・渋谷に数店舗を持ち、大阪にプロデュース店有。
昨年、兵庫・高砂に焼酎日本一の店舗「セイエイカン」を開店。
紳士のための焼酎入門 その他の記事
- 山口 昌宏
- 第1回「焼酎とは一体何者か?」
- 第2回「焼酎の甲類と乙類って?」
- 第3回「焼酎はなぜ25度なのか?」
- 第4回「焼酎をお湯割りで飲む理由」
- 第6回「焼酎造りに必須の“麹”とは何か」
- 第7回「泡盛って一体何なのか?」
- 第8回「11月1日は焼酎の日!」
- 第9回「焼酎は日持ちするのか?」
- 第10回「お神酒と焼酎」
- 第11回「芋焼酎になるのはどんな芋?」
- 第12回「芋焼酎をより楽しむ為のさつまいも講座」
- 第13回「焼酎にオリが出てますけど飲めますか?」
- 第14回「どんなものから焼酎が造られるのか?」
- 第15回「焼酎の銘柄と九州の方言」
- 第16回「かすとり焼酎とは何なのか?」
- 第17回「焼酎と健康について考える」
- 第18回「続・焼酎と健康について考える」
- 第19回「焼酎とみりんの意外な関係」
- 第20回「芋焼酎にもヌーボーがありますっ!」
- 第21回「黒糖焼酎は他の焼酎とはいろいろ違うのだっ」
- 第22回「焼酎を飲む時の器あれこれ」
- 第23回「焼酎を選ぶ時のラベルの見方」
- 第24回「そば焼酎についていろいろ掘り下げてみよう」
- 第25回「焼酎をなにかしらで割って飲む楽しみ」
- 第26回「すだち酎は焼酎じゃない?!」
- 第27回「ビンの焼酎、紙パックの焼酎、ペットボトルの焼酎、それぞれの理由(わけ)~ビン編~」
- 第28回「ビンの焼酎、紙パックの焼酎、ペットボトルの焼酎、それぞれの理由(わけ)~紙パック編~」
- 第29回「ビンの焼酎、紙パックの焼酎、ペットボトルの焼酎、それぞれの理由(わけ)~ペットボトル編~」
- 第30回「痛風でも焼酎なら飲んでいいって本当?」
- 第31回「焼酎に音楽を聴かせるということ」
- 第32回「焼酎で渋柿の渋みが抜けるって本当?」
- 第33回「沖縄県民と泡盛 ~泡盛の真実と現状~」
- 第34回「竹焼酎とはどういうものなのか」
- 第35回「焼酎の味を決めている成分とは?」
- 第36回「焼酎と水について考える」
- 第37回「焼酎を造っていない都道府県はあるのか?」
- 第38回「焼酎をロックで飲むということ」
- 第39回「変わった原料というより、ちょっと面白い原料からできている焼酎を知ろう」
- 第40回「焼酎をベースとして使う飲み物各種」
- 第41回「実際に焼酎を作る人、杜氏とは」