紳士のための焼酎入門
第20回「芋焼酎にもヌーボーがありますっ!」
もう11月になってしまいました。
急に寒くなってきましたよね。
でも焼酎にとってはまさに季節到来!なんです。
昨年もお話しましたが11月1日は焼酎の日。
今回はその際に触れた「焼酎ヌーボー」について解説していきたいと思います。
ちなみに11月の第3木曜日はワインのボジョレー・ヌーボーの解禁日として有名です。
そして同じこの時期に出るのが芋焼酎の新酒、芋焼酎ヌーボーです。
なぜこの時期かというと、ただ単純な便乗ではないんです。
それはさつまいもの収穫期に関係しています。
さつまいもは通常8月~12月が収穫期となります。
そしてその上、長期保存が難しい野菜でもあります。
だから収穫期に合わせて芋焼酎を造ることになります。
収穫から蒸留までの工程を経て、瓶詰となるのが早くて11月ぐらいなんです。
なので、11月に焼酎ヌーボーが発売されるという訳です。
通常は出来上がった焼酎は、味が落ち着くまで少し熟成させるんですが、新酒はそんなことはしません。
できたまんまを味わうというのが、あくまで新酒の醍醐味だからです。
なんなら濾過もしません。
中には本当に白濁したままの「にごり」の新酒もあるくらいです。
ではそうなると味わいはどう違うのでしょう。
焼酎を含む蒸留酒というのは、出来たては基本的には飲んで楽しむには適していません。
アルコールの刺激臭と成分由来のガス臭が強いためです。
なので通常は前述の通り、ある程度の熟成期間を経ることになります。
その結果、味も香りも丸みを帯び、安定感のある酒質となっていくんです。
では新酒であるヌーボーは?
出来たてなので、やはり飲みにくさがあります。
ただし芋焼酎は特にですが、個性的な香味が強いためにそれ以上の味わいを感じることができるんです。
同じ芋焼酎の通常のものと比べてみても、全くの別物と感じるほどにです。
言ってみればその焼酎本来の持ち味が際立たされているという感じです。
さてここまで焼酎ヌーボーの何たるかについてお話してきました。
それでは一体いつ頃から焼酎ヌーボーは飲まれるようになったのか?
存在を知っていた方でも、ここ数年で知るようになった方がほとんどかと思います。
なのでそこら辺を少し解説しておこうと思います。
実際、焼酎ヌーボーという名前で呼ばれるようになったのは10年ほど前からです。
鹿児島の酒問屋と地元の蔵元10蔵で商業的に企画されたのが最初とされています。
ちなみにワタクシ共の焼酎バーでもその当時、そこらの関係者と取引があったんですよ。
ですから当時の出始めの焼酎ヌーボーのボトルも大事に取ってあります。
興味のある方は是非。(宣伝か!)
話は逸れましたが、焼酎ヌーボー自体はそんな最近の歴史です。
ただし、焼酎の新酒を飲むという文化はその前からあったようです。
元々は日本酒の新酒と同じように、その年の出来を測るために蔵人たちが味見をしていたようです。
それが地元の人に振る舞われるようになっていった。
そして今では大きい蔵などで新酒祭りなるイベントも開催されています。
それらがSNSなどを通じて公表され、遠くからもお客さんが集まっているということです。
時代ですね~。
まあそれが焼酎の新酒の現状です。
さて今回は時期的なものもあって、焼酎ヌーボーについて解説してきました。
好きな銘柄の焼酎が決まっている方は、その焼酎に新酒があるかどうかをチェックしてみて下さい。
そしてあったら是非試してみてほしいですね~。
その焼酎の本筋を味わえるのはまさにこの時期だけであるとも言えるので。
年に一回のお楽しみとして、また焼酎への愛情を深めていただけたら幸いです。
ではでは今回もおすすめの焼酎を紹介しておきましょう。
テーマに掲げた新酒ではないんですが、季節限定の人気商品です。
* 今回のおすすめ焼酎 *
「赤霧島」
芋焼酎・25度・宮崎県・霧島酒造
大手の蔵元が12年ほど前に、満を持して世に送り出した紫芋焼酎の秀作です。
ポリフェノールを多く含むムラサキマサリの甘みがダイレクトに感じられます。
山口 昌宏
焼酎・梅酒が日本一、GEN & MATERIALを経営。酒全般マニアの元バーテンダー。
株式会社GENコーポレーション社長。
バーテンダーをしている中で、2000年に焼酎と出会いマニアに。
焼酎ブームの火付け役ともされるEN-ICHIで修業後、独立。
現在、東京・渋谷に数店舗を持ち、大阪にプロデュース店有。
昨年、兵庫・高砂に焼酎日本一の店舗「セイエイカン」を開店。
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