紳士のための焼酎入門
第17回「焼酎と健康について考える」
リオ・オリンピック、始まりましたね!
毎日、お酒を飲みながら夜更かしです。
なんでこんなにメダル、メダルとこの時だけは盛り上がれるのか…。
ワタクシ自身でも不思議です。
さて日本を背負った選手たちも頑張ってるし、このコラムも頑張っていきましょ~。
今回はちょっとタイトルの趣も変えてみました。
「考える」みたいな感じで少し硬め?
まぁとにかく、焼酎の健康に対する効果についてお話ししていきたいと思います。
よく「焼酎は体に良い」とかって聞きますが、一体何が?ってよくわからないですよね。
その辺を今回はビシッとまとめてみたいと思います。
それでは焼酎の体に良い所をどんどん解説していきましょう。
まず最初は焼酎のカロリーについてです。
よく焼酎はカロリーゼロなんて聞いたりしませんか?
正確にはNOです。
確かに低カロリーではありますが、アルコール自体に栄養分があります。
本来伝えるべきなのは、糖質ゼロという部分でしょう。
その分だけカロリーが低めに抑えられているんです。
ではカロリーは実際どのくらいなのか?
ビール一杯が約200kcalとして比較していきましょう。
ロック一杯で考える時、甲類焼酎(ホワイトリカー)で約100kcal(ビールの約半分)。
これが乙類焼酎(本格焼酎)だと約70kcal(ビールの約1/3)まで抑えられます。
ビールと比べてかなり低カロリーですよね。
ちなみに酎ハイにしたとしても約130kcalくらいで収まります。
ここまで見てきましたけど、でも割と栄養価ありますよね。
なんかダイエットにもいいなんて聞いてたのに…と言う方もいらっしゃるのでは…。
そんな方々に朗報です!
キーワードは「エンプティカロリー」ですっ!
へ?なんじゃそりゃ?
それは体に残りにくいカロリーの事を言います。
焼酎には糖質や脂質由来のカロリーが含まれていないので、体内に蓄積されにくいんです。
消費の優先順位も高いので、飲酒後の火照りのエネルギーとなって消えていくんです。
熱エネルギーとして変換されてしまうことで、体を太らせないっ!
それがこの「エンプティカロリー」!
なんてすばらしいことでしょう。
と、少し興奮気味に来てしまいましたが、焼酎のダイエット効果はこれで納得?ですか?
1つ目を長く語ってしまいましたが、次にプリン体について考えてみたいと思います
プリン体は皆さんご存知の通り、痛風の原因となる厄介者です。
焼酎はよく痛風の人でも飲めるアルコールとして認識されています。
それはどういうことなんでしょうか?
それは焼酎のプリン体含有量がとても少ないということなんです。
ほぼゼロです。
ただし、だからと言って焼酎ならいくら飲んでも痛風にならないというのは違いますよ。
痛風の原因は、血中の尿酸値が高くなることです。
プリン体は尿酸の元となる物質です。
だからプリン体が多く含まれるもの、例えばビールなんかを多く摂取すると危険ということになります。
じゃあやっぱり焼酎は安心なんじゃないか?
実はプリン体がなくても、アルコール自体が尿酸を生み出すんです。
なので焼酎もたくさん飲むとやっぱり痛風になりかねないんですよ。
なんでも適量が大事ということですね。
ざっと焼酎と健康についてお話ししてきましたが、実はまだ焼酎と健康に関連することがあるんです。
それは「焼酎が血栓を溶かす」というすごく面白いテーマなんです。
…が、ちょっと次回に持ち越そうと思います。
だって長くなっちゃいそうだから~。
この話は次回「続・焼酎と健康について考える」で。
それでは今回もまたおすすめの焼酎を1本紹介して終わりにしたいと思います。
* 今回のおすすめ焼酎 *
「天隠焼酎」
粕取焼酎・35度・島根県・板倉酒造
天の岩戸の伝説から名付けられた、「てんおん」という酒名の出雲の焼酎。
昔ながらの手造りが、かすとり焼酎の良さを前面に醸し出している。
山口 昌宏
焼酎・梅酒が日本一、GEN & MATERIALを経営。酒全般マニアの元バーテンダー。
株式会社GENコーポレーション社長。
バーテンダーをしている中で、2000年に焼酎と出会いマニアに。
焼酎ブームの火付け役ともされるEN-ICHIで修業後、独立。
現在、東京・渋谷に数店舗を持ち、大阪にプロデュース店有。
昨年、兵庫・高砂に焼酎日本一の店舗「セイエイカン」を開店。
紳士のための焼酎入門 その他の記事
- 山口 昌宏
- 第1回「焼酎とは一体何者か?」
- 第2回「焼酎の甲類と乙類って?」
- 第3回「焼酎はなぜ25度なのか?」
- 第4回「焼酎をお湯割りで飲む理由」
- 第5回「お湯割りの黄金比率?ロクヨンとは」
- 第6回「焼酎造りに必須の“麹”とは何か」
- 第7回「泡盛って一体何なのか?」
- 第8回「11月1日は焼酎の日!」
- 第9回「焼酎は日持ちするのか?」
- 第10回「お神酒と焼酎」
- 第11回「芋焼酎になるのはどんな芋?」
- 第12回「芋焼酎をより楽しむ為のさつまいも講座」
- 第13回「焼酎にオリが出てますけど飲めますか?」
- 第14回「どんなものから焼酎が造られるのか?」
- 第15回「焼酎の銘柄と九州の方言」
- 第16回「かすとり焼酎とは何なのか?」
- 第18回「続・焼酎と健康について考える」
- 第19回「焼酎とみりんの意外な関係」
- 第20回「芋焼酎にもヌーボーがありますっ!」
- 第21回「黒糖焼酎は他の焼酎とはいろいろ違うのだっ」
- 第22回「焼酎を飲む時の器あれこれ」
- 第23回「焼酎を選ぶ時のラベルの見方」
- 第24回「そば焼酎についていろいろ掘り下げてみよう」
- 第25回「焼酎をなにかしらで割って飲む楽しみ」
- 第26回「すだち酎は焼酎じゃない?!」
- 第27回「ビンの焼酎、紙パックの焼酎、ペットボトルの焼酎、それぞれの理由(わけ)~ビン編~」
- 第28回「ビンの焼酎、紙パックの焼酎、ペットボトルの焼酎、それぞれの理由(わけ)~紙パック編~」
- 第29回「ビンの焼酎、紙パックの焼酎、ペットボトルの焼酎、それぞれの理由(わけ)~ペットボトル編~」
- 第30回「痛風でも焼酎なら飲んでいいって本当?」
- 第31回「焼酎に音楽を聴かせるということ」
- 第32回「焼酎で渋柿の渋みが抜けるって本当?」
- 第33回「沖縄県民と泡盛 ~泡盛の真実と現状~」
- 第34回「竹焼酎とはどういうものなのか」
- 第35回「焼酎の味を決めている成分とは?」
- 第36回「焼酎と水について考える」
- 第37回「焼酎を造っていない都道府県はあるのか?」
- 第38回「焼酎をロックで飲むということ」
- 第39回「変わった原料というより、ちょっと面白い原料からできている焼酎を知ろう」
- 第40回「焼酎をベースとして使う飲み物各種」
- 第41回「実際に焼酎を作る人、杜氏とは」