Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のための焼酎入門

第32回「焼酎で渋柿の渋みが抜けるって本当?」

まだまだ寒い日が続いております。

早く春が来ないかと待ち遠しくなります。

桜が咲いたら花見で酒!

私たちの国はどの季節でもお酒がおいしく飲めるようにできてますよね~。

この国に生まれて、よかった~。

 

さて今回は焼酎と柿について考えていこうと思います。

柿と言えば秋の味覚の代表格ですが、今一つ人気が伸びない理由の一つが渋柿の存在です

みなさんは渋柿を口にしたことがあるでしょうか?

柿の渋みはシブオールというタンニンが原因とされています。

それを味として感じる時に、あの何とも言えない顔になってしまうのです。

一度でも経験のある方なら「あ~あ~あれね~」ってな感じでわかると思います。

あれです。

 

しかしよくよく考えてみると、ちょっとした矛盾点に気づきます。

他の果実はたいてい甘みが強いですよね。

あれは鳥などの動物が食べたときに、美味しいと感じるようにできているんです。

そうするとその果実をまた食べるようになり、その中の種が遠い場所に運んでもらえるという理屈です。

なるほどですよね。

ではますます柿が渋いというのはおかしな話になってきますね。

 

しかし柿というやつは、さらに上を行く賢い果実なんです。

実は種というのは芽を出すのにかなりのパワーを必要とします。

その発芽の為の力を得るのに準備期間が必要となってきます。

柿の種はその果実の中でじっくりと力を溜めこんでいくんです。

あ、「柿の種」といってもアレではないですからね、念の為。

 

とにかくそうして成熟して、そのうちいつでも芽を出せる状態になります。

それまでは動物なんぞに実をついばまれたくないわけです。

だからあのように若い柿はあえて渋みが強くなっているわけです。

そしてその後、種自身からアセトアルデヒドという物質が分泌されて、タンニンが中和されます。

タンニンの渋みが感じなくなるというしくみです。

いつでも食べて美味しい、甘い、の状態になるわけです。

 

ここで出てくるアセトアルデヒドですが、皆さんの中にも聞いたことのある方がいると思います。

実は二日酔いの原因となる物質なんです。

これはアルコールが酸化することで変化したものです。

人間の体の中だと、肝臓の酵素の働きで生成されます。

柿の渋みを取る際には、焼酎が空気に触れて酸化することでアセトアルデヒドに変化します。

だから焼酎にどっぷり漬け込んでしまうよりも、ヘタの周りに数滴垂らすというのが効果的です。

 

ちなみにタンニンの渋みはなくなるわけではありません。

あくまでも感じなくなるということです。

動物の味覚は水に溶けるタイプ、いわゆる水溶性の物質しか感じ取れないんです。

だからその水溶性の性質を打ち消して、溶けなくすればいいというわけです。

それが今回の焼酎を使う方法ですが、そういう意味では他にもやり方があります。

 

1、ドライアイスと一緒に密封

柿が酸素呼吸できなくなり、その過程でできるビルビン酸がアセトアルデヒドを生み出す。

2、リンゴと一緒に密封

リンゴから出るエチレンという物質が、単純に果実の成熟を早める。

3、干し柿にする

皮をむいて吊るすことで、表面に新たな皮膜が形成されて、1の例と同様に酸素呼吸ができなくなる。

 

どれも原理は同じです。

柿という果物を理解すれば、なるほどなっとくというやつですね。

また余談ですが、焼酎の代わりにブランデーを使うという手法もあります。

柿にほんのり香りがついて、一気に大人のデザートに変化しますよ。

子供が食べてもアルコール分はほぼ分解されるので大丈夫だそうです。

 

さて今回は焼酎と柿について、ちょっと難しい話になってしまいました。

できるだけわかりやすく解説させて頂いたつもりなんですが…。

あと焼酎のコラムなのに、どちらかというと柿の話になっているのはご愛嬌。

これからも焼酎に関係する話題をどんどんやっていきますよ。

 

それでは今回のオススメ焼酎です。

吟醸酒の酒粕のみを使った、贅沢な一本です。

上品な味わいの焼酎なので、本来日本酒と食すべき酒の肴にもベストマッチ。。

今回もワタクシの店にも入荷しておりますので、皆様ぜひお試しください。

 

* 今回のおすすめ焼酎 *

「おんつぁ 黒ラベル&白ラベル」

粕取焼酎・25度・福島県・ほまれ酒造

吟醸粕のみで仕込んだ粕取焼酎で、黒ラベルは甕にて熟成をかけたタイプ。(そして白ラベルは終売品!)

上品な香りが際立ち、まろやかな味わいを持つ、これぞ日本の酒と言わんばかりの吟醸焼酎。

 

山口 昌宏
焼酎・梅酒が日本一、GEN & MATERIALを経営。酒全般マニアの元バーテンダー。

株式会社GENコーポレーション社長。
バーテンダーをしている中で、2000年に焼酎と出会いマニアに。
焼酎ブームの火付け役ともされるEN-ICHIで修業後、独立。
現在、東京・渋谷に数店舗を持ち、大阪にプロデュース店有。
昨年、兵庫・高砂に焼酎日本一の店舗「セイエイカン」を開店。

東京 焼酎&梅酒Bar GEN&MATERIAL

和歌山おでんと焼酎専門店セイエイカン

和歌山おでんと焼酎専門店セイエイカン インスタグラム

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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