Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のための焼酎入門

第31回「焼酎に音楽を聴かせるということ」

とても寒い毎日が続いております。

皆さん平成30年がやってまいりましたが、どんなお正月を過ごされましたでしょうか。

酒を飲んで寝正月もいいですけど、初詣でワイワイやるのもいいですね~。

あとはTVで正月ならではの番組。

ワタクシは毎年、箱根駅伝を見るためにわざわざ予定を空けております。

今年も我が母校が優勝できましたので、感無量です。

 

さて今回のテーマですが、焼酎と音楽についてお話ししていきたいと思います。

一見つながりのない2つのカテゴリーなんですが、実は近年密接な関係を持ちはじめています。

それは音響熟成という熟成方法なんです。

初めて耳にする方も多いと思いますが、要は焼酎に音楽を聴かせるということなんです。

ん?

一体どういう効果があるというんでしょうか?

 

実はこの試みが始まったのは、とある酒造メーカーの発見からなんです。

焼酎を造る蔵の中で、ただただ単純にBGMとして音楽を流していたところ、蔵人がある事に気づきます。

スピーカーに近いタンクの仕込みが、他よりわずかに早く進んでいたというのです。

毎日毎日細心の注意を払う酒造りだからこそ見つけることができたちょっとした異変。

それが「音楽が醗酵を促進する」という大きな発見につながりました。

 

それから研究とさまざまな試行錯誤を繰り返し、音の振動が影響を与えていることがわかりました。

そこで音を振動として伝えるトランデューサーを作成し、それを熟成中の焼酎に響かせることにしました。

実際には焼酎の貯蔵タンクの外側に数十個のトランデューサーを設置しています。

それで焼酎にまんべんなく振動が伝わっていくという仕組みです。

常に焼酎がゆらゆらと微妙な速度で揺られているということになります。

 

内部ではいったいどのようなことが起きているのでしょうか。

実はできたての焼酎は分子レベルで考えると、うまく混ざり合っていません。

だからなんとなくまとまりのない複雑な味の液体になっているんです。

通常はそれを一定期間寝かせることによって、味のまとまりをもたせてまろやかな酒質を生んでいます。

それが振動を加えることによってさらに促進されるというのが今回の音響熟成の効果です。

 

それでは音楽の内容も熟成具合に関係してくるのかというのが気になりますよね。

どうやら音楽のジャンルが熟成に影響を与えるということのようです。

音の上げ下げの変化が激しく、またテンポはゆるやかな方がむいているようです。

それに当てはまるのがクラシック音楽です。

クラシックが焼酎の子守歌としては最適ということですね。

 

実際どのような音楽が焼酎に聴かされているのでしょうか?

ベートーベンやビバルディ、バッハ、シューベルト、ワーグナーなど著名な作曲家がずらり並びます。

そんな中でも特に注目されるのがモーツァルトです。

この取り組みが始まったのが1990年代なんですが、ちょうど彼の没後200年にあたったわけです。

そのこともあり、当初は「モーツァルトが酵母を活性化させる」と謳われたほどです。

確かにモーツァルトの楽曲の構成は科学的にも他より若干効果が高いようです。

歌手の平原綾香さんがカバーした「ジュピター」なども効果的だと言われています。

 

さて少し余談にもなりますが、最近では焼酎だけが音響熟成されているわけではないようです。

ワインや日本酒、ビールなどの蔵元でも応用されています。

それにとどまらず味噌や醤油などの発酵食品も音楽を聴かされていたりするようです。

また家庭用にトランデューサーのついたボトル台やミニ樽も発売されています。

気軽にお手持ちのお酒を熟成させることができるようになってきているんです。

 

さて今回は焼酎と音楽について、その熟成効果について考えてきました。

まだまだこの「音響熟成」というジャンルはスタート地点に立ったばかりの技術です。

今後は付加価値のためだけではなく、応用によってさまざまなところで活躍が期待されるものだと思います。

微弱な振動の効果が生理的に与える影響についても現在も研究が進められています。

 

それでは今回もオススメ焼酎をお出ししておきます。

今回のテーマに沿った音響熟成の焼酎です。

飲み比べができるように5種類の詰め合わせになっています。

是非、自身の舌でも確認していただきたいですね。

例によってワタクシの店にも入荷しておりますので、皆様ぜひお試しください。

 

* 今回のおすすめ焼酎 *

「OTOYOI」

芋焼酎&麦焼酎&米焼酎・25度・鹿児島県・田苑酒造

酵母とそれに聴かせる楽曲にこだわって生み出された、飲み比べ焼酎。

フルーティーかつ香り豊かで、それぞれの個性を生かした味わいが楽しめる本格派の5本セット。

 

山口 昌宏
焼酎・梅酒が日本一、GEN & MATERIALを経営。酒全般マニアの元バーテンダー。

株式会社GENコーポレーション社長。
バーテンダーをしている中で、2000年に焼酎と出会いマニアに。
焼酎ブームの火付け役ともされるEN-ICHIで修業後、独立。
現在、東京・渋谷に数店舗を持ち、大阪にプロデュース店有。
昨年、兵庫・高砂に焼酎日本一の店舗「セイエイカン」を開店。

東京 焼酎&梅酒Bar GEN&MATERIAL

和歌山おでんと焼酎専門店セイエイカン

和歌山おでんと焼酎専門店セイエイカン インスタグラム

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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