紳士のための焼酎入門
第12回「芋焼酎をより楽しむ為のさつまいも講座」
年度末の3月です。
気温の上下が激しいですよね、この時期。
おかげで体調絶不調のワタクシです…。
…というわけで今回3日も遅くなってしまいました。
なんとかみなさんのお役にたてる内容を書いていきますよ~。
今回は「講座」などとたいそうなことを銘打って書き始めてしまいました。
私自身も改めてお勉強しましたので、頑張って解説していきます。
さつまいものいろんな種類と系譜について手書きの図も使ってやっていきますよ。
難しいところもあると思いますが、なるだけやさしめに一緒に学んでいきましょう。
改めてさつまいもについて少し基礎知識。
さつまいもは中南米が原産とされています。
そこから東南アジア・中国を経て日本の宮古島へ入ってきました。
だから今でも九州では、昔の中国の王朝の名前「唐」から「唐芋(からいも)」とも呼んでいます。
また国内では最初の伝来地、鹿児島県での生産が40%というシェアを誇っています。
最大の国内生産地から、日本では鹿児島の旧国名「薩摩」から「薩摩芋」と呼ぶようになりました。
以下、生産量で行くと茨城・千葉・宮崎・熊本・徳島と続きます。
比較的気温の高いところがやはり栽培に適しているということがわかりますね。
東関東は意外に思われるかもしれませんが、歴史的背景があって江戸時代から栽培が盛んになっています。
その辺りについては、いつかの機会にまた解説したいと思います。
それではさつまいもの品種について詳しく触れていこうと思います。
先程もお話しした通り、さつまいもの原産地は海外です。
しかし日本国内で独自の自然進化を遂げた品種、それを在来種と呼びます。
それには次のような品種があります。
吉田、元気(別称で源氏)、七福、潮州、紅皮、太白、おいらん、山川紫、紅赤などなど。
特徴的で変わった名前が多いですよね。
芋焼酎でいうと山川紫や紅赤を原料とした焼酎が何種類か発売されていますね。
ストレートな甘さが強くて、香り豊かな焼酎が多いです。
続いて国内で交配などを繰り返し、品種改良によって生まれた品種を紹介しましょう。
特に様々な用途によって進化を変えているので、焼酎の原料になる芋も多く含まれます。
上の図を参考にして下さい。
図の左下中央あたりに前回解説した「コガネセンガン」がいらっしゃいます。
そしてその右斜め下辺りに食卓で見ることの多い「ベニアズマ」。
相関性はこういう感じなんですよね~。
芋焼酎的な観点で見ると、カタカナ表記をされているものはたいてい原料とされています。
基本的には図の右側にある方がより特徴的な味わいを醸し出しています。
芋焼酎を選ぶ時、少しばかり参考にしてみるのもいいと思います。
また、仕上がった芋焼酎に関して系統でも違いが出てくることも知っておいて損はないですね。
図の中央辺りに固まっている「金時」系は、独特の甘みと野性味のある香りが強く出てきますし、
図の中央上部の「ムラサキ」系は、広がりのある甘みとほくほくとした味わいが特長となります。
あとはいろいろこれを知った上で、皆さん自身の舌で是非味わっていただきたいですね。
そして今まで以上に焼酎を飲む時の楽しみが広がっていってもらえたら幸いです。
今回はどっちかというと図を描くのに実はかなりの時間を割いてしまいました…。
少しでも芋焼酎に使われているさつまいもについて、理解を広げていただけたかと思います。
季節の変わり目ではありますが、健康管理もしっかりして次回も焼酎について考えていきたいと思います。
皆さんも寒い日には、これから紹介するような焼酎をお湯割りにして是非体の芯から温まってください。
* 今回のおすすめ焼酎 *
「明月 華帥 金箔入」
芋焼酎・25度・宮崎県・明石酒造
南九州産の黄金千貫だけを使った、風味豊かな限定焼酎です。
金箔入りなのでお祝いに贈るも良し、自分で飲んで贅沢気分に浸るのも良しです。
山口 昌宏
焼酎・梅酒が日本一、GEN & MATERIALを経営。酒全般マニアの元バーテンダー。
株式会社GENコーポレーション社長。
バーテンダーをしている中で、2000年に焼酎と出会いマニアに。
焼酎ブームの火付け役ともされるEN-ICHIで修業後、独立。
現在、東京・渋谷に数店舗を持ち、大阪にプロデュース店有。
昨年、兵庫・高砂に焼酎日本一の店舗「セイエイカン」を開店。
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