Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のための焼酎入門

第26回「すだち酎は焼酎じゃない?!」

待ちに待ったゴールデンウィークが終わり、通常の生活に戻ってまいりました。

すっと元のサイクルに移ることはできましたか?

ワタクシと同じようにかえって連休中の方が忙しかったという方もおられるでしょうね。

季節の変わり目でもあるので、体調管理にはくれぐれも気を付けて。

じゃないと美味しいお酒も飲めなくなってしまいますからね~。

 

さて今回はファンの方も多い、徳島県の特産品すだちのお酒「すだち酎」について語ります。

柑橘系の爽やかな香りと酸味、そこにほんの少しの苦みがあって大人の味ですよね~。

ロックやソーダ割りでもいける、飲みやすい焼酎です…。

いやちょっと待った!

実はタイトルの通り、すだち酎は焼酎ではないのです!

え?焼酎の「酎」の字がついてるやん!

関西弁で軽く突っ込んでしまいましたが、どういうことなのか考察していきましょう。

 

まずはすだちについて少し触れておきましょうね。

すだちはよく、カボスや柚子と間違われることのある香酸柑橘類です。

乱暴な言い方をする人には、産地が徳島ならすだちで大分ならカボス、それ以外は柚子!とか言われます。

当然そんなわけありませんよ。

どれもミカン科の果実ですが、実の大きさも味も成分も全然違います。

その中でも特にすだちだけにエリオシトリンというポリフェノールの一種が含まれています。

強力な抗酸化作用を持つと言われていて、レモンやライムにも多く含まれている成分です。

 

では本題のすだち酎についてお話を進めていきましょう。

結論から言うと、すだち酎は焼酎ではなくリキュールに分類されるお酒です。

なので決してすだちを原料にして蒸留されたものではないということなんです。

どちらかというと梅酒に近いものだと考えるとわかりやすいかもしれません。

だから分類的には「すだち酒」とあえて呼んで差支えないでしょう。

そういうお酒です。

 

ではなぜ焼酎だと勘違いされてしまうのか?

それはやはり商品名ですよね~。

あくまでもすだち酎というのは、徳島県の酒造会社である日新酒類さんの商標なんです。

実は他の会社から出ているものは「すだち酒」となっています。

なるほど~ですよね。

しかも正式名称は「阿波の香り すだち酎」となっています。

そして使用されている焼酎は甲類の焼酎ということです。

 

少し製法についてもみてみましょう。

正確な製法については公表されてはいませんが、作り方の概要は以下の通りのようです。

1、旬のすだちを生で丸搾りする。

2、その果汁を急速冷凍することで香りを閉じ込める。

3、甲類の焼酎にそれとその他の副材料をブレンド。

というような感じです。

 

また、一般の方が作れるようなレシピが別に挙げられているので、そちらも紹介します。

家で作りたい方は以下の通り。

1、すだちを水洗いし、水分を丁寧に拭き取っておく。

2、2分割したすだちを容器に入れ、砂糖とホワイトリカーを注ぐ。

3、2週間ほど寝かせたら、すだちを取り除く。

4、3ヶ月ほどの熟成で完成。

このレシピを見る限り、やはり梅酒とおんなじ作り方で作れるものですね。

梅がすだちと入れ替わったものと考えることができそうですね。

れっきとしたリキュールであると言えます。

 

ついでにすだち酎の種類についても触れておきましょう。

今現在市場に出ているものは以下の通り。

・阿波の香り すだち酎 … 言わずと知れた人気の定番商品、20度

・スーパーすだち酎 … ウォッカベースのすだち酎、25度

・すだち酎エクセル … オリジナルのすだちスピリッツを使用、20度

・すだち酎 辛口 … 本格麦焼酎をブレンド、25度

・すだち酎 甘口 … はちみつをブレンドした低度数、10度

実はいろいろなものが出回っていることがわかりますね。

それぞれのニーズに合わせた工夫がなされているようです。

 

さて今回はよく焼酎だと勘違いされている「すだち酎」についていろいろ勉強してきました。

このコラムの執筆中にも何人かの方に「え?焼酎じゃないの?」と聞かれましたよ。

インターネット上では結構間違ったまんまに解説される方もいらっしゃるようですね。

それを見て「そうなんだ」と誤解されている方がいる。

悪循環ですよね。

防御策として、皆さんもなるだけ複数の解説を読んで頂くことをお勧めしておきます。

 

それでは今回もオススメを紹介しておきましょう。

焼酎ブームの頃にかなりの人気を博した蔵元の一本です。

今でも入手が難しい商品ですが、見つけたら買い!ですよ。

どこかの飲み屋さんででも見つけたら、是非お試しください。

当店の新店舗にも置きますよ~。

 

* 今回のおすすめ焼酎 *

「日向金の露」

芋焼酎・25度・宮崎県・川越酒造場

銘酒「川越」で有名な蔵元が造っている、地元のレギュラー酒。

芋焼酎独特の香りと骨太のしっかりとした味わいが魅力。

山口 昌宏
焼酎・梅酒が日本一、GEN & MATERIALを経営。酒全般マニアの元バーテンダー。

株式会社GENコーポレーション社長。
バーテンダーをしている中で、2000年に焼酎と出会いマニアに。
焼酎ブームの火付け役ともされるEN-ICHIで修業後、独立。
現在、東京・渋谷に数店舗を持ち、大阪にプロデュース店有。
昨年、兵庫・高砂に焼酎日本一の店舗「セイエイカン」を開店。

東京 焼酎&梅酒Bar GEN&MATERIAL

和歌山おでんと焼酎専門店セイエイカン

和歌山おでんと焼酎専門店セイエイカン インスタグラム

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

おすすめのたしなみ