Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のための焼酎入門

第33回「沖縄県民と泡盛 ~泡盛の真実と現状~」

人事異動の挨拶に来られる方が増えてきました。

この時期ならではですよね~。

去る方がいて、また新たに配属になった方がいて。

なんか寂しさ半分、期待半分って感じです。

それにしてもこの季節、引っ越し代もバカにならないのに大変ですよね~。

頑張れ!日本のお父さん!

 

さて先日お客様から聞いた言葉です。

「やっぱり沖縄の人は泡盛を飲んでるから、お酒強いんだろうね~。」

どうやら泡盛はアルコールが強いものという認識が、かなりの人に浸透しているようです

でも実は泡盛は基本が30度で、焼酎とたいして変わりません。

しかも沖縄の県民の方々は水割りで飲むのが一般的なんです。

ワタクシも沖縄で現地の方々と飲む機会がちょくちょくありました。

今回はそんな経験談を含めつつ、沖縄の人の泡盛の飲み方について語ってみようと思います。

 

「泡盛って40度とかあるんでしょ~、飲めない~。」

実際よく聞くフレーズです。

先程も触れましたが、実は大半が30度。

なんなら最近の新しい泡盛は若者向けに25度が多くを占めるようになってきています。

確かに40度や60度なんて泡盛も存在はするんですが、それは焼酎でも同じこと。

ではなぜ泡盛だけイメージ的に強い酒という印象になってしまうんでしょう。

 

地元に行くと気付くことがあります。

お土産を買おうと思って泡盛を選んでいると、古酒、古酒、古酒がズラリ。

しかも古酒は基本的に飲み口がやわらかくなる為、度数は高めに設定されているんです。

なるほど、これを見てるとイメージは強い酒になりますよね。

しかし現地では古酒は普段使いにはしません。

お祝いや来客などの特別な時にしか古酒を口にすることはないようです。

そして我々が言った際には、古酒を頂くことが多いです(お客様ということで)。

しかし沖縄の人たちが飲むのは、あくまで透明の600mlビンに入った30度の新酒なんです。

 

また沖縄の人の酒豪イメージはその飲み会からもよく言われています。

「オトーリ」というのがそれです。

元々は祭事ごとのひとつだったようですが、今は飲み会の形です。

簡単にいうと「泡盛の回し飲み」といった体裁のものです。

まず親を決めて、親が口上を述べた後、カップに泡盛を注ぎ、参加者に渡し、飲み干す。

それを次の参加者、その次の参加者、と繰り返す宴です。

こうすることで皆が均等に飲めるようになるという工夫だそうです。

 

ただしこの時の泡盛は水割りです。

しかも九州の焼酎の時のように6:4とかの割合ではありません。

泡盛3に水7が基本のようです。

つまり10%前後のアルコールになるわけです。

今ではオトーリ用の8%程度の泡盛なども発売されています。

ストロングのチューハイとほぼ同等のアルコールとなっているんです。

朝まで飲むことが多いとはいえ、それなら特別「大酒飲み」というわけではありませんね。

 

私たちの中ではそれでもまだ泡盛を水割りでという習慣は根付いていません。

泡盛をロックで飲むスタイルが、あたかも正統派かのように思いがちです。

なんなら本来の味を味わいたいならストレートで、と考えてしまいます。

でもこういった感覚は、どうやら本格焼酎のブームの時に東京で作られたもののようです。

実際問題、その頃ワタクシも都内で焼酎バーに勤務していましたが、主流はロックでした。

だから、泡盛を飲む=ロックで、と無意識に想像してしまうんでしょうね。

 

そんなこんなの条件が重なっていって「沖縄の人は酒が強い」説が形成されていったと考えられます。

お酒を全く飲めない、いわゆる下戸は確かに他地方と比べて少ないようです。

しかし一方では、現在の沖縄の若者の実に65%が泡盛を飲まないというデータも存在します。

時代の流れに従って、ビールやチューハイを飲む人が増えているそうです。

泡盛に関しては、独特の黒麹が「きつい」や「くさい」といった意見が多くなっています。

この黒麹もまた、泡盛をきつい酒と感じさせる一因となっているようです。

そして泡盛自体の生産量も年々減少傾向にあるんです。

これからの泡盛にはますますの創意工夫が必要となってきそうですね。

 

さて今回はタイトル自体はちょっとかたいタイトルで書かせて頂きました。

つまるところ、伝えたかったのは1点。

沖縄の人が特別にお酒が強いわけではないということでした。

ちなみに沖縄の人は本州の酒類をほとんど知らないです(まあ当然と言えば当然)。

ワタクシの部下は、日本酒を普通にロックで飲むものだと思っていたそうです。

日本酒の注文を受けて、一生懸命ロックグラスに氷を作っておりました!

 

それでは今回もオススメ焼酎でしめましょう。

福岡県の搾りたての牛乳を使った、ちょっと高価な一本です。

なかなか手に入らないものですが、出会ったら是非味見してみてほしい焼酎です。

今回もなんとかワタクシの店にも入荷しておりますので、皆様ぜひお試しください(東京、兵庫両店舗)。

 

* 今回のおすすめ焼酎 *

「伊都物語」

牛乳焼酎・25度・熊本県・大和一酒造元

低温殺菌牛乳「伊都物語」を原料とした、とても珍しい焼酎。

フルーティーな味わいとほのかに香るミルクの香りに癒される上品な一本。

 

山口 昌宏
焼酎・梅酒が日本一、GEN & MATERIALを経営。酒全般マニアの元バーテンダー。

株式会社GENコーポレーション社長。
バーテンダーをしている中で、2000年に焼酎と出会いマニアに。
焼酎ブームの火付け役ともされるEN-ICHIで修業後、独立。
現在、東京・渋谷に数店舗を持ち、大阪にプロデュース店有。
昨年、兵庫・高砂に焼酎日本一の店舗「セイエイカン」を開店。

東京 焼酎&梅酒Bar GEN&MATERIAL

和歌山おでんと焼酎専門店セイエイカン

和歌山おでんと焼酎専門店セイエイカン インスタグラム

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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