紳士のための焼酎入門
第18回「続・焼酎と健康について考える」
リオ・オリンピックが終わり、夏ももう終わりが見えてきました。
それにしても暑い夏でしたね~。
そしてリオ・パラリンピックが始まりました。
またテレビの前で熱い声援をみんなで送りましょう!
それはさておき今回のこのコラムでは、前回の続編としていろいろお話ししていきますよ。
それでは早速、焼酎と健康のお話を綴っていきましょう。
まずは前回のおさらいです。
焼酎の特性について、低カロリーでプリン体が少ないということをお話ししました。
「エンプティ―カロリー」とダイエット効果についても触れましたね。
改めて興味のある方はぜひ前回のお話を読んでみてくださいね。
次に予告していた焼酎と血栓についてお話ししましょう。
まずは血栓について少し知っておいてほしいことからです。
読んで字のごとく、血の栓となり得る血の塊が血栓です。
なぜ血が固まるかというと、それにはそれなりの理由があります。
細い毛細血管を通る時、血中の赤血球は血管の壁と擦れ合いながら流れていきます。
そうすると自然と血管が消耗し、最終的に破れて出血してしまいます。
体の内側で起きるので内出血ですね。
それを防ぐ意味で、血は固まるようになっているんです。
また他方で、血が固まり血栓を作ることで体に悪い影響を及ぼすこともあります。
心筋梗塞や脳梗塞がそれです。
怖い名前が出てきましたね。
血管に血栓ができることで血の流れをせき止めてしまい、虚血状態を生んでしまうんです。
そしてそれぞれの組織の細胞が最悪壊死してしまうというのが前出の病気です。
いや~なんだか書きながら気分が落ちてきました…。
でも大丈夫!
そこで登場するのが、主役の焼酎さんですっ。
さまざまな研究から、焼酎には血栓を溶かす効果があるとされているんです。
そもそもアルコール自体が血の流れを良くするので、酒類は全般に血栓予防に効果があります。
その中でも焼酎は群を抜いて血栓の生成を抑制してくれるんです。
一体なぜ?
それはどうやら焼酎に含まれるごく微量の香り成分の効果だとされています。
その香りが血栓を溶かす酵素を活性化させるということが大学での研究で解明されているんです。
特に芋焼酎や泡盛が効果が高いということが明らかにされています。
それらの香りを嗅ぐだけで、極端な話ではありますが血栓が溶かされていくということです。
まさに焼酎の底力ですね。
ただし焼酎の飲酒量には気を付けてほしいところです。
最初の方にも書きましたが、血が固まるのにはきちんと理由があります。
だから適度な摂取量でなければ、血管を守ることができなくなってしまうんです。
また過度なアルコールは利尿作用を引き起こし、脱水状態を生み出します。
体全体の脱水症状はなくても、かえって血液がドロドロになってしまうんです。
では適量とは?
それは1日あたり120ml程度とされています。
焼酎で言うと1~2杯ですね。
「え?たったそれだけ?」なんて声が聞こえてきそうですね。
でもアルコールは適量が大事ということです。
飲み過ぎにはくれぐれも注意して焼酎を楽しむようにしたいですね。
今回は焼酎のすばらしさをまた1つ伝えられたかと思います。
まださらに現在期待されている健康効果もいくつかあります。
善玉コレステロールを増やすという効果も言われるようになりました。
また糖質ゼロということも売り文句のひとつとしてよく使われていますよね。
コンビネーションで言うと、納豆をおつまみにすることで健康効果アップも期待されるようです。
未来的な健康飲料としてまだまだ焼酎は捨てたもんじゃないですよね。
それでは今回もおすすめの焼酎を紹介しておきましょう。
焼酎好きに人気の麦焼酎の限定品です。
* 今回のおすすめ焼酎 *
「麦汁 超にごり」
麦焼酎・25度・大分県・豊永酒造
麦の香ばしい香りの強い焼酎の季節限定品。
麦焼酎本来の旨味を最大限引き出すために無濾過で仕上げています。
山口 昌宏
焼酎・梅酒が日本一、GEN & MATERIALを経営。酒全般マニアの元バーテンダー。
株式会社GENコーポレーション社長。
バーテンダーをしている中で、2000年に焼酎と出会いマニアに。
焼酎ブームの火付け役ともされるEN-ICHIで修業後、独立。
現在、東京・渋谷に数店舗を持ち、大阪にプロデュース店有。
昨年、兵庫・高砂に焼酎日本一の店舗「セイエイカン」を開店。
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- 山口 昌宏
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