紳士のための焼酎入門
第24回「そば焼酎についていろいろ掘り下げてみよう」
3月、少しずつ暖かくなってきました。
しかし花粉が飛び始めたようですね。
ワタクシの周りでも症状が出始めた方がチラホラいますよ。
実は泡盛に花粉症に効果があるとされるものがあります。
「請福ファンシー」というのがそれです。
うちの店でも効いてる、効いてると人気になっていました。
試したことのない方は是非!
さて今回はそんな話をしつつも、そば焼酎について考えていきましょう。
実は焼酎の生産量で行くと芋焼酎、麦焼酎、米焼酎に次いで4番目です。
意外ですよね。
そば屋さんなんかに行くと、そば焼酎のそば湯割りなんて素敵な飲み物もありますよね。
豊かな香りがとても魅力的です。
考えるだけでもよだれものですね。
それではまず歴史からみてみましょう。
そば焼酎は比較的歴史の浅い焼酎です。
宮崎県五ヶ瀬町の雲海酒造が地元特産のそばを使用して造ったのが最初とされています。
1973年の10月に発売された、その名も「雲海」というそば焼酎がそれです
当時のそば焼酎は軽くあっさりした飲み口とやさしい香りが特徴でした。
最近になると長野や北海道でもそば焼酎が造られるようになりました。
そばの産地として有名な地域なので、やっぱり同様に地域活性化の一環として造り始めたようです。
そばの風味を生かすような焼酎が増えています。
芋焼酎よりも香りが強いという人もいるくらいです。
製法も少しずつ変化しています。
もともとは麹に米を使ったものが主流でした。
それが麦麹を併用したり、麦麹だけをしようしたりとどんどん広がりをみせていきます。
現在では従来は難しいとされていたそば麹というものも登場しています。
また、かの雲海酒造もそば麹100%の「そば麹焼酎」を新たに開発しました。
ちなみに原料に使われるそばは通常「韃靼(だったん)そば」であることが多いです。
煎って使うことも多いですが、その時には更に芳醇な香りが生まれます。
この「韃靼そば」は中国では苦そばとも呼ばれていて、強い苦みが特徴です。
日本で昔から食されているそばは、逆に甘そばと呼ばれ別物とされています。
またこの「韃靼そば」にはルチンという栄養成分が非常に多く含まれています。
ルチンは血圧を下げる効果で近年注目を集めている栄養素です。
その効果は絶大で、血管の弾力性を上げたり毛細血管を補強する効果が言われています。
またインスリンの分泌を促進することで、糖尿病の予防にも効果が認められています。
とても頼りになる成分ですよね。
さて今回はざっくりとそば焼酎について解説してきました。
最初の方にも書いた通り、さっぱりから芋焼酎以上のがっつりまでいろいろ味わいにも幅があるので、
飲んだことない方は是非一度試して頂きたいですね。
そば湯割りやそば茶割りもとても美味しいですよ。
それでは今回もオススメを紹介しておきましょう。
蔵元の新しい挑戦物のシリーズの第3弾となる最新作です。
販売本数1500本の限定品なので、是非今のうちに手に入れて試してみて下さい。
ワタクシのお店にも入荷しましたが早い者勝ちっ!
* 今回のおすすめ焼酎 *
「粋の艶(すいのつや)」
米焼酎・25度・鹿児島県・田苑酒造
田苑酒造の35周年を記念して造られた、オーク樽10年熟成の黄金色の米焼酎です。
独自の技術である音楽仕込みの効果で、米の旨みと樽の香りが絶妙にマッチしています。
山口 昌宏
焼酎・梅酒が日本一、GEN & MATERIALを経営。酒全般マニアの元バーテンダー。
株式会社GENコーポレーション社長。
バーテンダーをしている中で、2000年に焼酎と出会いマニアに。
焼酎ブームの火付け役ともされるEN-ICHIで修業後、独立。
現在、東京・渋谷に数店舗を持ち、大阪にプロデュース店有。
昨年、兵庫・高砂に焼酎日本一の店舗「セイエイカン」を開店。
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