Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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紳士のためのアートデート

Vol.27 史上最大級の大回顧展『没後50年 藤田嗣治展』がスタート@東京都美術館(上野)期間:2018年7月31日(火)~10月8日(月・祝)

 藤田嗣治と聞くと、乳白色の裸婦やネコ、おかっぱにちょび髭の自画像などを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。今年はその藤田嗣治がこの世を去って50年目。この節目に、「風景画」「肖像画」「裸婦」「宗教画」などのテーマを設けつつ最新の研究成果等も盛り込みながら、藤田芸術をとらえ直す充実の展覧会が開催されます。

《自画像》 1929年 油彩・カンヴァス 61.0×50.2cm 東京国立近代美術館蔵 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833
 パリでの絶頂期を迎えた1920年代半ばの藤田。おかっぱに丸眼鏡という印象的なスタイルは、画家像を演出するイメージ戦略とも言われている。自画像の中に、独自に生み出した乳白地を活かした女性像、人気モティーフのネコが入っているこの1枚は、本展監修者の林洋子氏曰く「見どころがいろいろ綺麗におさまった幕の内弁当のような一品。」 

 史上最大級の規模で、国内外の著名美術館などが所蔵する約120作品を集めた決定版と言える展示!藤田ファンも、(まだ)そうでない方も、まずはこちらの展覧会へ! 

【「乳白色の裸婦」が10点以上集結。】
 「乳白色の下地」の考案なくして今の藤田はあったでしょうか?初めて藤田の乳白色が登場したのは1920年代初頭。 「絵肌の表面は人肌のような、なめらかでほどよい光沢で、真っ白ではなく、わずかに透き通ったおだやかで淡い象牙色である(『没後50年 藤田嗣治』展図録p95より)。今までに絵画で表現されたことがなかった、女性の透明感のあるマティエール(絵肌)が20年代のパリの諸サロンで発表されると、大きな評判と名声を得ました。
更に、面相筆で乳白色の下地の上に細い輪郭線を描く手法からも日本人藤田ならではの平面的なエキゾティシズムが感じられて話題となったのでではないでしょうか。
 「乳白色の下地」最盛期、1920年代の藤田の裸婦像をシャワーを浴びるように堪能できるこの機会。逃すわけにはいきませんね。

《タピスリーの裸婦》 1923年 油彩・カンヴァス 126.0×96.0cm 京都国立近代美術館蔵 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833
磁器のようになめらかな乳白色の裸婦が、装飾的な綿布(「ジュイ布」)との対比でより際立っています。裸婦とネコも良く出てくる組合せ。

 太平洋戦争期の作戦記録画のために批判を浴び、その後日本を出て人生の約半分をフランスで暮らした藤田。想像を絶する苦悩もあったと思いますが、当時フランスのアートシーンというインターナショナルな場での寵児となったからこそ歴史に名を刻んだとも言えるのではないでしょうか。
 本展監修者で美術史家の林洋子氏曰く「1910年代の油彩が出ているのが珍しい。その時期から乳白色を確立するまでの藤田も見られる。晩年カトリックの洗礼を受ける藤田ですが、1910年代にも宗教のテーマが見られます。」 また、「近年藤田作品がアジアマーケットでも人気が出ている。今回香港からも1点来日しています。オークションにもよく登場してきています。今展は、昭和のくびきから藤田を21世紀に解き放つ展覧会です」という林洋子氏による未来展望も興味深い!

《二人の少女》 1918年 油彩・カンヴァス81.0×65.0cm プティ・パレ美術館(スイス・ジュネーヴ)蔵 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833
珍しい1910年代の油彩。「背景はモティーフを描き込まず、色彩とマチエールを強調した筆触で埋められており、1920年代前半の「乳白色の下地」へと向かうプロセスを示している。」(『没後50年 藤田嗣治』展図録p62より)

《礼拝》 1962-63年 油彩・カンヴァス 114.0×143.0cm パリ市立近代美術館(フランス)蔵 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833
カトリックの洗礼を受けてからの藤田の作品。藤田は1959年に洗礼を受けている。
 『「乳白色の下地」を用いながらも、絵具層の色の鮮やかさとコントラストが印象的。晩年の代表作であり、藤田芸術の集大成といえる。』(『没後50年 藤田嗣治』展公式ホームページより)。

こちらは写真撮影コーナー。しりあがり寿さん作「フジタ画伯とねこ」と共にぜひ撮影を!
それでは、みなさん、good luck! アートと共に楽しいひとときを!

 【展覧会概要】
❖東京
名称: 没後50 年 藤田嗣治展
会期: 2018 年7 月31 日(火)~10 月8 日(月・祝)
会場: 東京都美術館(東京・上野公園)
開室時間: 9:30~17:30 ※会期中の金曜日は20:00 まで、8月10 日、17 日、24 日、31 日
は21:00 まで(入室は閉室の30 分前まで)
休室日: 月曜日、9 月18 日(火)、25 日(火) ※ただし、8 月13 日(月)、9 月17 日(月・祝)、
24 日(月・休)、 10 月1 日(月)、8 日(月・祝)は開室
❖京都
名称: 没後50 年 藤田嗣治展
会期: 2018 年10 月19 日(金)~12 月16 日(日)
会場: 京都国立近代美術館(岡崎公園内)
京都市左京区岡崎円勝寺町
開館時間: 9:30~17:00 ※金・土曜日は20:00 まで(入館は閉館の30 分前まで)
休館日: 月曜日 

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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