Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのアートデート

ユージーン・スタジオのアート展では素直に「共生」したくなる☀東京都現代美術館へGO!

和やかな2022年の幕開けに !
「人間たちの未来も捨てたもんじゃないぞ」 と思える展覧会からスタートしてみては?その第一候補として挙げたいのは、ユージーン・スタジオ名義で活動する現代美術作家、寒川裕人さん(Eugene Kangawa、1989年アメリカ生まれ)の展覧会。
東京都現代美術館にて、もう始まっています✨ 2月23日まで!

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ユージーン・スタジオの寒川裕人さん@東京都現代美術館

吹き抜けのスペースにいきなり「海底」 が現れたり、 エレガントなお部屋が灰燼に帰した 状態で展示されていたりと、 意表を突かれまくるのだけど、 心はどんどん穏やかになっていきます。

なぜなら 寒川裕人さんが、 あらゆる作品に「共生」 の主題を仕込んでいるからです。
一見ではわからないのですが、 よくよく作品を見たりキャプションを読んだりして作品の成り立ちが分かってくると、あらゆる 「共生」の表現が立ち上がってきます。

異質な人同士の「共生」、 人と自然との「共生」、 異なる概念同士の「共生」、見えないもの同士の「共生」 など様々ですが、 その「共生」 が生み出す自由な想像 や様々な在り方を まるごと 受け入れることから想像される穏やかな世界が作品の端々に息づいています。
そしてそれが説教臭くないのが寒川さんのアートマジックの魅力♪
素直に自分自身も「共生」したくなるのです!

いくつかご紹介しますと 

①《海庭》
美術館内にいきなり海底が現れてびっくり!
乳白色の海にうっすら霧がかかったような幻想風景に、 私がなぜか カスピ海を思いました。 それからネス湖(海じゃない。。。)、そして難民たちが渡った海。
天井からさす光が移り変わるたびに 海の表情も変わるので、 その印象は、 足を踏み入れた瞬間次第でいろいろです。
「共生」を感じたのは、 対岸に佇むたくさんの人々に紛れて 佇む自分を発見した時。

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展示風景より、ユージーン・スタジオ 《海庭》(2021)

鏡に囲まれているからなのですが、とても広いので、 遠い異国の対岸にいるように感じる自分も、 ここにいる自分も、 いろいろな人たちとこの海を共有している。どの存在も、 誰の感想も否定されることなくこうやって 一緒に佇める時間に「共生」の本質がありそうな。

②《善悪の荒野》
まずは、在りし日の 美しさが無残に 焼き付くされてしまった後の光景に唖然。でも完全に灰になっているのに、ベッドや鏡や絵画などの細部が 美しくて目が離せない。
こちらは2017年に発表された作品ですのでご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、 2022年の異なる文脈で眺めるとまた新鮮なのではないでしょうか。

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展示風景より、ユージーン・スタジオ《善悪の荒野》(2017)
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展示風景より、ユージーン・スタジオ《善悪の荒野》(2017)

「スタンリー・キューブリック監督の映画『2001年宇宙の旅』(1968)に触発されて制作されたという本作は、映画の終盤に現れる部屋を原寸大で再現し、破壊・消失させたオブジェで構成したインスタレーション。」(ウェブ版美術手帖より引用)

この作品に感じた「共生」 は、 ユートピア(理想郷)とディストピア(暗黒郷)の「共生」。ユートピアが一旦破壊されてディストピアとなるのですが、 実はユートピアと思われていた世界もそんなにハッピーじゃなかったかもしれないので一度破壊されて新しい未来に向かう リセット状態という意味で、 悪くない状況にある二つのコンセプトの「共生」かな?

〈レインボーペインティング〉シリーズ
寒川さんの「共生」への意識 が色濃く表れているのが新作の〈レインボーペインティング〉シリーズ かなと感じました。

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展示風景より〈レインボーペインティング〉シリーズ

最初は、 なんでこんな真っ白くて大きいキャンバス いくつも展示してあるのかなと思ったのですが、 近づいてみると、 淡い色彩を用いた無数の手によって描かれたグラデーションで成り立っている絵画です。

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展示風景より〈レインボーペインティング〉シリーズ

寒川さんは 個々の点を「人影」 と呼んでいるそうで

「 人影はキャンバスの中でせめぎあうように密接しつつも個々に独立し微妙な色差がある。個と集団、存在の際と類似などへ思考を巡らせる契機を与えてくれる」(美術手帖より引用)

海外での滞在制作経験も豊かな寒川さんならではの「共生」の表現!と 感動。無限に存在する異質な考えや価値観に囲まれながら、 個々に違いながらも お互いを必要として、「共生」しながらそれぞれの輝きも 保てる状況を表現したのかしら?!

とにかく、 みなさん是非 訪ねて行って、 思いっきり体感してみてくださいね。
私としては、「 『不確実性が増す世の中に不安を 感じる』とかなんとか言ってる 暇があったらまずは「共生」だ!」と 実行に移したい気分になりました。

【展覧会基本情報】
ユージーン・スタジオ 新しい海 EUGENE STUDIO After the rainbow

会期:2021年11月20日〜2022年2月23日
会場:東京都現代美術館 企画展示室地下2階
住所:東京都江東区三好4-1-1
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00〜18:00 ※展示室への入場は閉館30分前まで
休館日:月(1月10日、2月21日は開館)、年末年始(12月28日〜1月1日)1月11日
料金:一般 1,300円 / 大学生・専門学校生・65歳以上 900円 / 中高生 500円 / 小学生以下無料

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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