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紳士のたしなみ

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紳士のためのアートデート

紳士のためのアートニュース☆サラリーマンコレクターのコレクションが美術館の収蔵品に!佐藤美術館にて『新収蔵品展~山本冬彦氏からの寄贈を受けて~』開催中☆開催期間: 2月25日(日)まで

 サラリーマンコレクター、またはアートのソムリエ山本冬彦氏の名前をニュースや雑誌で目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。 
  普通に会社勤めをしながら、主に週末にギャラリー巡りをして約40年、アート作品の蒐集を続けてきた山本氏のコレクションは、今や1800点にものぼります。
 29歳の時に自宅に飾る絵を1点購入したことをきっかけに、最初の10年は、ひたすらギャラリーを巡って気に入った作品を購入するという個人的な蒐集活動をしていた山本氏。30年ほど前にある画廊からの声掛けによりそれまで集めてきた作品での個人コレクション展を実施してから、自身のコレクションを広く一般の方々向けに展示したり、若い作家を育てるコレクターを増やすという視点も持つようになり、コレクションを続けてきました。
 
その山本氏のアートコレクションの中から50点がこの度佐藤美術館(新宿区)に収蔵されました。まとまった個人コレクションが美術館に収蔵されることはめったにあることではありません。
 
収蔵記念として、『新収蔵品展~山本冬彦氏からの寄贈を受けて~』が佐藤美術館にて開催されていますので、展覧会の見どころと、山本氏のコレクションストーリーをご紹介いたします。
山本冬彦氏と今展の見どころの1つである日本画家小嶋悠司による作品《群像》
 
山本氏が趣味の個人コレクターの領域を超えるきっかけとなったのが、1991年に銀座の画廊宮坂にて開催したご自身のコレクション展である「小嶋悠司によるY氏コレクションの軌跡」展。
 小嶋悠司は1973年に日本画の芥川賞とも言える山種美術館展で優秀賞を受賞。岩彩を膠で溶いた日本画技法に西洋の画材である卵テンペラを併用した独自技法で一世を風靡していましたが、大型で難解な作品も多かったとのこと。その中で、山本氏は、家にも飾れるような小型の作品で人物や動物など比較的メッセージが伝わりやすい作品を蒐集していました。
 佐藤美術館学芸部長の立島惠氏は、「今回山本氏の寄贈により新収蔵した作品の19点は小嶋悠司のもの。数限られた小嶋悠司による小型の優品がまとまっていて、なかなか見られない貴重なコレクションです。16年前に練馬区美術館の個展で展示されて以来のチャンスですので、この機会に是非ご覧ください」と語ります。

山本冬彦氏が最初に手に入れた小嶋悠司の作品。山本氏と小嶋氏は同年代。

小嶋悠司の作品の中でも、人物と動物など親しみやすいモティーフの名品を蒐集しているところに山本氏らしさがある。
  
画廊宮坂での「小嶋悠司によるY氏コレクションの軌跡」展以降、アートのソムリエと称してアートを買う人の拡大と蒐集の楽しさを普及する活動を始めた山本氏。特に若いコレクター達には、「自分と同年代のアーティストの作品を、応援する意味も含めて購入してみては」と勧めてきました。サラリーマンコレクターとして数万円から10万円台の作品をメインに購入することで、他のサラリーマンコレクター達の身近なお手本にもなりました。
 それにしても、40年で1800点!週に1作品のペースで購入しつづけてきたことになります!

 2010年には、佐藤美術館で「サラリーマンコレクター30年の軌跡」というコレクション展を開催し、時を同じくして、ちくま新書から「週末はギャラリーめぐり」という画廊めぐりの入門書を出版したことで、画廊巡りや蒐集を始める人が格段に増えました。
 今回の新収蔵品も2010年の「サラリーマンコレクター30年の軌跡」にて展示した作品が中核となっています。
 
佐藤美術館が、個人からのまとまった寄贈作品を収蔵するのは今回が初めて。山本氏の寄贈品が収蔵に至ったポイントとして、佐藤国際文化育英財団の奨学生の優品が山本氏のコレクションに多い事もあげられます。立島氏によると、「佐藤美術館の過去の奨学生で現在活躍中の方々の秀作が多いので展示する機会も設けられます。やはり、収蔵するからには展示できる作品を選びます。」とのこと。
 
コレクションにおける山本氏の鑑識眼と先見の明が感じられます!

岩田俊彦の《マツ》。漆という伝統的な素材を使いながら、松の表現はコンテンポラリー。


予約も先々まで入り、描いた作品はすぐに売れてしまうほど人気の岩田壮平の作品。2010年に手に入れているところがさすがの山本氏。


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点とも河嶋淳司の作品。1988年の作品(左)から1993年の作品(右)へと変化を見られるのも楽しい。

川端健生の《四歳の四季(夏)》。息子さんの4歳の誕生日記念に購入したとのこと。若い作家を育てるという使命感だけではなく、家族のための作品も揃えているところに山本氏の優しさが!

  山本冬彦氏からアート紳士のみなさん、またこれからアート作品を購入してみたいと考えているみなさんへのメッセージは次の通り。
 
「好きな作品を楽しく集めて自分を表現してみてはいかがでしょうか。ブランド品や、評価の定まった高価なものはお金を出せばだれでも買えます。でもそれだと皆と同じになってしまう。制作ができない私は、アート作品のコレクションを編集だと考えています。個性を表すとても良い方法だと思うのです。」

猫が描かれた屏風・北田克己の《銀の暗々》の隣で微笑む山本氏
 
 
まずは、佐藤美術館にて山本氏のコレクションを観てから最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。出品作品リストや図録もありますので、どのようなアーティストが活躍しているのかを知る参考にもなりますよ。

【展覧会概要】
展覧会名:「新収蔵品展~山本冬彦氏からの寄贈を受けて~」
会期:2018年1月12日(金)~2月25日(日)
入場料:一般600円 学生400円 中学生以下無料
休館日:月曜日*但し、2月12日(月・振休)は開館、翌2月13日(火)は休館
開館時間:午前10:00~午後5:00(金曜のみ~午後7:00まで)
出品作品:日本画37点、油画版画立体13点 計50点
*その他、特別展示として、コレクターK氏より寄託の日本画大作3点を展示
▼会期中のイベント
(1)対談「コレクターと画家」
1月28日(日) 出席者:日本画家岩田壮平氏・山本冬彦氏
午後2時~3時 予約不要
(2)鼎談「コレクターとしての自負」
2月3日(土) 出席者:木村悦雄氏・原田俊一氏・山本冬彦氏
午後2時~3時 予約不要
*イベントは全て無料。但し展覧会の入場料が必要です。

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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