Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのアートデート

ピピロッティの映像作品はジェンダー表現も心地よく自然体☀

待ちに待った「ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island-あなたの眼はわたしの島-」が、京都国立近代美術館から水戸芸術館現代美術ギャラリーに巡回してきました。

ということで、記者として、勇んでプレス向け内覧会に行きました。
ところが、折しも日本ではちょうど新型コロナウイルスデルタ株が猛威を振るい、「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が次々と発令されたタイミング。

「ピピロッティ・リスト」展はプレス向けの内覧会は開催したものの、初日から臨時休館となってしまいました。。。ので、お手数ですがこの展覧会に関する最新情報は、ホームページ・SNSなどをご確認くださいませ。
再開の暁に、多少なりともご参考になりますよう、ささやかなレポートをお届けします🎤

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京都国立近代美術館での個展の評判や、SNSにアップされているめくるめく画像や映像を見て楽しみにしていたのですが、反面、「身体、ジェンダー、自然、エコロジーを主題とした作品で構成」という展覧会説明にちょっと身構えてもいた私。

実験的な映像表現を探究するアーティストとして、1980年代からスイスを拠点に世界各地の美術館や芸術祭で作品を発表してきたというピピロッティさんが、ハードコアにジェンダーモティーフを表現してるとしたら、激しそうだな~なんて。。。

でも、展覧会に足を踏み入れた途端にそんな「身構え」は吹き飛びました!
この空間は、色も映像もBGMも、何もかも「奇抜」なのに、「心地よい」のです(^^♪

水中に浮遊するなまめかしい女性の身体や、有機的な物体など、いろいろ大画面に映されるのですが、ゆっくりとして優しい♪ すーっと吸い込まれるように歩いていくと、「これはステキなダイニング!」

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《愛撫する円卓》(2017)

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《愛撫する円卓》(2017)

赤いお部屋に青白く光る妖しい円卓なのですが、「おいで」と言ってくれてると感じる。座っても良い作品なのです。円卓やお部屋の床・壁・天井、壁にかかった絵画すらも、常に変化する映像が美しい。
めまぐるしく変化するのに疲れないのは、ピピロッティさんの抜群の色彩バランス感覚と音楽のセンスのおかげなのでしょう。※彼女はバンドでベースやヴォーカルとして活動していたことも!

そして、間髪入れずに現れた次の部屋もこんなに凄い👀

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《箱根の静けさ》 2020-21 

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《箱根の静けさ》 2020-21 

部屋の中なのに、溶岩の岩のようなものが付きだしていて、マグマのような映像や、水中の清々しい映像など、またあらゆる地球上のものが投影されている! 裸のキューピーなど不思議なオブジェも壁にたくさんかかっているのだけど、全体的に超快適。もはや、映像と部屋は境界線なく溶け合っています。
思わず(座っていい)ソファーでゆったりくつろぐ。
ああ、カクテルでも飲みながらずっとここにいたい!
実は、映像が投影された自分自身も、ピピロッティさんの映像インスタレーションに既に溶け込んで作品の一部になっているのです。

さて、このように心地よく体ごと包まれるピピロッティさんの展覧会全体を、体験した感覚そのままにお伝えしてきましたが、表現の中には、確かに、「身体、ジェンダー、自然、エコロジー」のテーマがたくさん織り込まれています。

でも、心と体は、難しく固まるのではなく、やわらく開放されていく!!
それはなぜか?

まず、彼女はジェンダーやエコロジーを「社会問題」として声高に唱えるつもりは、あまりないのではないかな?

それよりは、子供のような好奇心で、自分の身体や自然の不思議さや面白さ、それを変な風にアレンジしたらどんな風になるかというのを、遊びながら撮影して、アーティスティックな色彩と音楽を添えて皆と共有している。そんな感じがします。

だから、どれもウェルカムで、明るく、いたずらっぽくて楽しい。

だから、老若男女、それからどんなジェンダーでも心地よく過ごせる。
だけど同時に、それぞれの感性で「身体、ジェンダー、自然、エコロジー」について感じたり考えたりするきっかけにもなる。

それも、自然体で!!!
きわめつけは、ベッドに寝っ転がって、天井の世界と音楽のシャワーを浴びる作品。

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《4階から穏やかさへ向かって》(2016)

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《4階から穏やかさへ向かって》(2016)

「色彩に満ちた世界をユーモアたっぷりに切り取ってみせる映像と、心地よい音楽や空間設計によるリストのヴィデオ・インスタレーションは、国を越えて幅広い世代の観客を魅了してきました。」という水戸芸術館現代美術ギャラリーホームページの文言に深く納得。

実は、帰りの特急でもステキな体験。
ピピロッティさんのチラシをみながら友人とひとしきり話していると、おもむろに立ち上がってこちらへ向かってくる20代くらいの女性が!

「静かにしてください!」

と怒られるのかと思いきや「それ、ピピロッティですか?」との言葉。

「そうですよ」と返すと、

「私、ドイツで彼女の個展を見たんです。それ以来、ずっと好きで、この展覧会も絶対行こうと思ってました」

とのこと!私は、すかざす、「よかったらどうぞ」とパンフレットを差し上げました。
そのあと、ずーっと熱心に読んでくれていた!

日本の一角で、こんな出会いをもたらしてくれるピピロッティパワー。すごい!

ピピロッティさんは、日本が大好きで、箱根に別荘もお持ちとのこと。
ということは、お会いするチャンスがある!
近い将来、お会いしてお話してみたいな。

【開催情報】
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
開催日:2021年9月1日(水)~10月17日(日)【会期変更】(8月6日更新)

#アート #展覧会情報 #ピピロッティリスト   #水戸芸術館現代美術ギャラリー #pipilottirist

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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