Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのアートデート

Vol.15 熱海MOA美術館リニューアル記念 特別名品展+ 杉本博司「海景 – ATAMI」展開催期間:2017年3月14日☆まで

 熱海最大級の美術館であるMOA美術館が、約1年に及ぶ改修工事を経て、2017年2月5日にリニューアルオープンを迎えました。尾形光琳の代表作として名高い国宝「紅白梅図屏風」や、野々村仁清の手による国宝「色絵藤花文茶壺」など珠玉の名品を再度目にしたいと望む人々にとっては、待ちに待ったリニューアルオープン!また、展示スペースの設計は、世界的に活躍する現代美術作家・杉本博司氏と建築家・榊田倫之氏によって主宰される「新素材研究所」が手がけ、展示される作品の美を最大限に生かす展示空間が創出されたということでも期待と注目を集めていました。熱海の輝く海景を目の前にした、アートデートにぴったりの、話題の美術館をいち早くレポートします。


JR
熱海駅より車で約5分。ぐいぐい丘陵地を上っていくと、青空にくっきり映えるMOA美術館が!

 
美術館からの眺めは、広大な熱海の海!

展覧会概要❖
 リニューアル記念 特別名品展では、リニューアルオープンを記念し、創立者・岡田茂吉氏のコレクションの中から厳選した日本・中国美術の名品を展示しています。それと同時に、展示スペースを設計した美術家、杉本博司氏の代表作「海景」シリーズの中から、熱海の海を撮影した「海景-ATAMI」や映像作品「加速する仏」などを観られるというスペシャルな内容。 

❖尾形光琳筆 国宝「紅白梅図屏風」に出会う感動


国宝『紅白梅図屏風』 尾形光琳

「ついに観られた!」「やっと再会できた!」と、それぞれ感慨はあると思いますが、気品と華やかさが同居する光琳の『紅白梅図屏風』がスッと現れると感動で足が止まるのではないでしょうか。みなさまの記憶にある、または想像していた『紅白梅図屏風』と今眼前にある実物と比べてみるのも面白いと思います。筆者は、自分の記憶にあったこの作品よりも実物は結構落ち着いているのだなと感じました。折しも、極寒の中梅がほころび始める季節だったので、もっと梅の花が多い作品だったような気がしていたのですが、季節の梅の状態とちょうどシンクロしました。

 
『紅白梅図屏風』 を背景にした杉本博司氏と内田篤呉氏(MOA美術館・箱根美術館館長)
『紅白梅図屏風』の前で晴れやかにリニューアルオープンのご挨拶をなさった杉本氏。新しい展示ケースのこだわりは、框(かまち)に樹齢数百年の行者杉を使ったこと。作品は畳の上に展示されるようになっています。 

❖足利義政が見た光り、千利休が見た光りで日本文化の至宝を観る。
 杉本博司氏が光りを大切にする美術家であるということを感じていましたが、MOA美術館にて彼が追及した光りは「前近代の光り」。現在に伝えられる至宝達がもともと鑑賞されていた最高の光りを実現するというものでした。そして、その前近代の光りを人工的に再現するために、見えないところには最先端の技術が施してあるところが興味深い。光りだけではなく、素材も前近代にこだわり、屋久杉や黒漆喰や畳を活用した展示空間を創り上げたとのことです。
 
足利義政が見たのと同じ光りかもしれない。最高の環境で輝く至宝。展示ケースの向い側は反射を防ぐための黒漆喰となっている。


国宝の野々村仁清作「色絵藤花文茶壺」は、黒漆喰の部屋に1点のみで展示。杉本氏曰く「闇に抱かれて輝いている」。

❖同時開催の見逃せない展覧会!杉本博司が熱海の海を撮影した「海景-ATAMI」展
  杉本博司氏の名を世界的に知らしめた代表作「海景」シリーズの中で、熱海の海を撮影した作品を熱海のMOA美術館で展示するという理想的なセッティング。
  
伝統文化の香り高い展示室からうってかわって現代アートへの入り口が迎えてくれる。

  
モノクロで撮影した熱海の海と太陽は、神聖な空気を湛えている。

 
ついさっき美術館の外で見た熱海の海を思い浮かべながら鑑賞できるのが嬉しい。
ご自身の代表作「海景」シリーズの中の1枚を背にレセプションで挨拶の言葉を述べられた杉本氏。
 

❖杉本博司「月下紅白梅図」と尾形光琳の『紅白梅図屏風』を一度に観られるチャンス 
 嬉しいサプライズは、いぶし銀のオーラに息をのんだ「月下紅白梅図」。2015年に開催した「尾形光琳300年忌記念特別展 光琳アート 光琳と現代美術」のために、杉本博司氏が「紅白梅図屏風」を撮影して制作したという貴重な作品が再来。両方を一同に観られるのは今展覧会中のみとのこと。
 
月光に照らされる『紅白梅図屏風』を、実際目の当たりにしているような感覚に恍惚とした瞬間でした!
 
杉本博司「月下紅白梅図」

 ❖デートにぴったり!レストランやカフェが充実。

 
フレンチレストランや、オーガニックコーヒーが飲めるカフェ、お蕎麦屋さんなど豊富なセレクションが魅力。

海景をみながらオーガニックコーヒーを飲めるラウンジ!自然とロマンチックな会話になりそう。 

それでは、みなさん、good luck! アートと共に楽しいひとときを! 

【展覧会開催概要】
タイトル:「リニューアル記念 特別名品展+杉本博司『海景ーATAMI』」
場所:MOA美術館
会期:2月5日(日)~3月14日(火)
休館:会期中無休。
時間:9:30~16:30 *入館は16時まで。
料金:一般1600(1300)円、65歳以上1400円、大学・高校生1000(700)円、中学生以下無料。
 *( )内は10名以上の団体料金。
住所:静岡県熱海市桃山町26-2
交通:JR線熱海駅8番乗り場より伊豆東海バスMOA美術館行にて終点下車。熱海駅よりタクシー5分。

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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