Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのアートデート

白井屋ホテルのディナーは対話型の劇場✨コース料理と会話が混じり合い、夜な夜な新しいストーリーを紡ぎ出す!(前編からの続き)

前編で、白井屋ホテルに生息する様々なアート達に挨拶した私達は、ホテル1階の「the RESTAURANT」に向かいます。
「フロリレージュ」のオーナーシェフ川手寛康さんが監修するメインダイニングです。
地元群馬出身の片山ひろシェフが、「フロリレージュ」をはじめとする
国内外の名店での2年間にも及ぶ研修を経て腕を振るってくれる場所!

最上階まで吹き抜けている螺旋階段から垣間見える「the RESTAURANT」のオープンキッチン。藤本 壮介さんの建築に抱かれた一画です。

席につくと、「今日はよろしくお願いします!」とスーパー感じよく挨拶声をかけてくださったのが、ソムリエの児島由光さん。都内のコンテンポラリーレストランとはまた一味違ったフレンドリーさを感じます。「今夜はいろいろ話しかけてもいいのね♪」と内心ニンマリ♪

全て、群馬県地産地消の素材が活かされた郷土料理「上州キュイジーヌ」。どんなストーリーが飛び出すのかめ

「最初の一品は、敢えてお酒とペアにせずお召し上がりください」とちょっと意味深な一言。

この球体から何が出てくるのかな?

真っ白な球体から出てきたのは、コンソメスープ!なんともシンプルな一品です。

スープには、「18世紀のパリ。ある料理人が一杯のブイヨンを売り始めました。 慈悲深い味わいのそれを、人々は 『レストラン』と呼びました。 これがレストランの始まりと言われています。 レストランの語源は『回復させる』 私たちは食事を通して、身も心も満たされる感動を創りたい。 そんな思いから、一杯のコンソメから始めさせていただきます。」とのメッセージが添えられていた!

シンプルなこのスープ、実は思いやりに満ちた一品です。確かに、群馬の街をガシガシ歩いて旅してきた体には、定番の冷たい食前酒ではなく、温かいスープの方がやさしい。ふわっと回復して、シェフが織り成す今宵限りの一品一品に向き合う準備ができるのです。

目も醒めるような白い石庭に、マスコやあずきの萌芽が見られる「めぶく」

この石庭の一品が、先月山梨で訪れた建築作品《和心》の石庭の記憶をよみがえらせる!アートイマジネーション連鎖反応です。

新素材研究所(杉本博司+榊田倫之)の設計による建築作品《和心》の石庭
「めぶく」にペアリングされた微発泡酒。爽やかな前奏曲。

3品目は、「山女魚」。。。のはずなのですが、姿は見えず。。。愛・地球博の公式マスコットキャラクター「モリゾー」のようにグリーンづくし。

「山女魚」はハーブの中に居ます。隣のソースは、低温で粉のようになったライムソース。
「山女魚」のペアリングの白ワイン。

山女魚」は結構生臭いので、ペアリグむずかしそ~と思い一口。。。スッキリ♪さすがです~♪
ソムリエの児島さんが、このワインは、とてもしっかりとした良い土壌でできたぶどうから作られています。僕もびっくりしたんですよ~。と合いの手。
そうか~。またまた、先月、生まれて始めて訪れた山梨のビンヤード(ブドウ農園)で踏みしめた土壌の感覚が蘇ってきましたよ。良いブドウは、固い地層を何層もつらぬく長~い根っこが何種類ものミネラルを吸ってできるのですよね!

山梨で訪れた小牧ヴィンヤードの風景がパーッと頭に広がった!

4品目の「OKIRIKOMI」とは?「「おきりこみ」って知ってますか?」と児島さん。「うどんですよね?」とおもむろにダンナ登場。意外と食材や料理に詳しくて、たまに驚く(笑)。今回も当たり~。
おきりこみとは、群馬郷土料理ので、野菜と肉の煮込みうどんとのことですが。。。

「OKIRIKOMI」

どこがうどんなの~?
うどんは、この輝く生ハムのしたに、ぬめっと隠れている一枚。ピューレのソースと、ゴボウの泡ソースを合わせていただきます。
「OKIRIKOMI」とローマ字で表現したそのココロがわかってきました。

「OKIRIKOMI」のペアリングは、濃厚で甘いマデラ 酒

更に意表をつかれたのが、マデラ 酒!
トロっとするほど濃厚でデザートワインのように甘いのですが、この生ハムやうどんにピッタリ~。児島さんすごいです。
そうこうする間も、キッチン周りに座ってお食事を楽しむ他のお客さんとも様々な会話を展開する児島さん。たまに聞こえてきたりして!
向こうのカップルは、男性が熱心に女性を口説いているよう(に聞こえる)。隣の女性は1人客で、ノンアルコールのペアリングを楽しんでいる。
このそれぞれのプチドラマが、厨房のクッキングと同時進行で展開されているのが面白い。そんな風に面白がっている私達も、実は変な質問をするずっこけカップルみたいな感じで観られているのかもしれない。。。(苦笑)

余白に1点「きのこトリュフ」。墨絵ですね。
白井屋ザ・ベーカリー/SHIROIYA the BAKERYの白パンがやさしい箸休めに!ワインにも合います。
群馬の最高級ニジマス「ギンヒカリ」ですよ~!ってどこ? これも、白いロールの中に入っています。こういう風に、主役がわかりづらくて抽象的な点もアートですね。 オレンジで目立っているのは「そうめんカボチャ」。
ギンヒカリには、秘密兵器のペアリングが出てきましたよ。そう、日本酒です。日本酒は、どんなに生臭い魚とも共生できる。そして今回は、2種類のブレンドという斬新さもありました。
こちらは野菜のみの一品!にんじんががんばっています。
ロゼワインもエレガントに登場。野菜に合うのですね!
ついに赤城牛登場!藁燻製です!
赤城牛には、15年ものの赤ワインがペア!濃厚~。
なんと、赤城牛のソースはコーヒーソース!初めてのマリアージュでエキゾチックな気分
シャインマスカットのデザートには、お洒落に貴腐ワイン。色が似ている甘いもの同士、相性いいね!
今宵のアートディナー劇場で、お料理と私たち、シェフと私たち、(たまに聞こえてくる会話で)お客さんと私たちを繋いでくれた役者さんでもあった児島さん。ラストのデザート・タタンとドランブイのペアリングとともに。

児島さんは、フロリレージュでもソムリエをなさっていたのですね。 私たちも4~5年前に一度行ったのでもしかしたらその場で出会っていたのかもとまた盛り上がる。
そこに、お仕事もひと段落ついてきた片山シェフも会話に加わってくれました。
「お料理も、今こうやってお話ししている時間もアートですよね〜」と語りかけると、「でも私が習った料理学校では、「料理人はアーティストではない」と教わったのですよ」と シェフ。
「え〜っ!!!」と私。 「料理人は料理と言う品を販売しているので、アーティストではない。でもアーティストに最も近いところにいなければいけない。ということでした 」とシェフ。
「何てきわどい立ち位置!難しいですよね〜」とまた盛り上がりつつ、
「でもフロリレージュでは、料理人は表現者だよねてことになっていました」とシェフ。
よかった〜! 「そうですよね〜!」「ね〜!」 とみなで言い合いながら、ハッピーなフィナーレとなりました。

素敵な劇場型アートディナーをありがとう☀

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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