Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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紳士のためのアートデート

Vol.17 歴史に刻まれる展覧会へGO☆『草間彌生 わが永遠の魂』展@国立新美術館開館10周年開催期間:2017年5月22日☆まで

 まさに世界の草間彌生。2014年に世界で最も人気のあるアーティストに選出(『アート・ニュースペーパー』紙)。2016年世界で最も影響力がある100人(『タイム』誌)に日本人としてただ一人選出。2016年に文化勲章受章、そして、2015年のオークションでは彼女の作品が60億円越えで落札されるなど、アートマーケットの女王でもあります。その草間氏の、初期から現在に至る創作活動の全貌を総合的に紹介する展覧会が「草間彌生 わが永遠の魂」展です。『歴史の1ページに刻まれるアートの展覧会に行かない?』とかっこよくデートに誘ってみませんか?


いきなり眼前に現れるメインの展示室。大型の絵画シリーズ「わが永遠の魂」約130点がびっしり!《明日に咲く花》などの立体作品も豪華。写真撮影も可能なエリア!アートデート写真スポット!©YAYOI KUSAMA

展覧会概要❖

 欧米、中南米、アジア、そして日本など世界各地で大規模な個展が次々と開催されている草間彌生ですが、今回の「草間彌生 わが永遠の魂」展は中でも最大規模で最も充実した内容と言えるのではないでしょうか。大きな特徴は、2000年以降の近作を中心とする第I部と、それまでの60年近い草間の歩みを紹介する第II部の二部構成になっているところ。要するに、回顧展と近作が合わさった展覧会なのです。中央の圧巻の「わが永遠の魂」展示室から始まり、その周りを1950年代から時系列に観られる展示スペースが囲み、再び「わが永遠の魂」の部屋に戻ってくるという、ちょっと迷宮のような造り。展覧会監修者の1人で多摩美術大学学長の建畠晢氏が「大胆にして周到でもあるアイデア」と評す企画の中心人物は、国立新美術館副館長の南雄介氏。「わが永遠の魂」は、展覧会の始まりであるとともに、終わりでもあることになると述べています。


『草間彌生 わが永遠の魂』展企画の中心的役割を果たした南雄介氏。国立新美術館館長の青木保氏が「天才学芸員」と紹介した。

❖「わが永遠の魂」

 草間彌生氏が2009年から現在進行形で意欲的に取り組んでいる大型の絵画シリーズ「わが永遠の魂」から厳選した約130点を一挙公開。全作品が日本初公開です。このシリーズのタイトル「わが永遠の魂」をそのまま展覧会タイトルとしていることからも、その重要性は明らか。草間氏がこれまで全てをかけて描いてきた普遍的な生と死、愛そして闘いが、様々な色と形になって一挙噴出した様相。


「わが永遠の魂」シリーズに囲まれて、山のような報道陣に応える草間氏。©YAYOI KUSAMA


終始手を挙げて応える草間氏がチャーミング。クサマ柄ファッションもステキ。©YAYOI KUSAMA


現在その数は500点を超えて増え続ける「わが永遠の魂」シリーズ。スカーフにしたらカッコ良さそうと思ってしまうほどカラフルでスタイリッシュ。©YAYOI KUSAMA

 それにしても、幼い頃から悩まされていた幻覚や幻聴から逃れるために、それらの幻覚・幻聴を絵にし始めたという草間氏の創作のスタートや、自殺願望を抱えていたり、今も病院にて療養中ということを考えた時、この喜びとエネルギーに満ちて見える色彩はどこから生まれるのでしょうか?筆者はそれが不思議でした。
 その疑問に対する答えとしては、監修者の1人建畠晢氏の解説に説得力がありました。「草間がモノクロームのフェルトペンをアクリリックの絵筆に持ち替えた時、自ずと線の欲望の解放が(大いなる可能性を秘めて彼女の内に待機していたに違いない)色彩の欲望の解放を誘発することになった。」(『草間彌生 わが永遠の魂』図録より)。
  なるほど、苦しい闘いの中から生まれた作品ではあっても、彼女の才能と共にもともとあった色彩の欲望が解放されたのは至福なのかもしれないですね!
 世界的に有名なネットペインティングシリーズもモノクロのものが多いですし、長いことモノクロばかり描いていた時期もあったといいます。


「無限の網の目」とも呼ばれるネットペインティングのシリーズ。©YAYOI KUSAMA


こちらもモノクロの世界。《死の海を行く》1981年東京都現代美術館蔵。©YAYOI KUSAMA


無限に広がる光りの世界が夢のような《生命の輝きに満ちて》。光の色が常に変化するが、どの瞬間も美しい光の調和。このようなインスタレーションにも草間氏の超越した色彩感覚が活かされる。©YAYOI KUSAMA


こんなリビングでワインを飲みたい!《黄樹リビングルーム2017》©YAYOI KUSAMA


黄樹柄のワンピースで展覧会開会式のスピーチをする草間氏


『私の芸術を、終生、死んだ後までも愛してください。そして、私はみなさんの永遠なるアイドルだと自分で思いたいと思っています。みなさん、草間彌生に対して拍手喝采をお願いしたいと思います。』とスピーチ。拍手喝采が巻き起こりました。
 「草間の真の偉大さは、いかにも抑圧からの解放の願いが、自己と他者の同時的な救済の祈りへと結びついているところにある。・・・中略・・・。私たちに愛と救済の手を差し伸べようとする、偉大なる無垢の精神。」と建畠晢氏が『草間彌生 わが永遠の魂』図録の中で述べています。
 「私は死ぬまで闘い続けたい」と繰り返す草間氏。
 草間さんの詩を引用すると、「何をおろかにも かくほどに永き道のりを われはくるしみつつ歩きたりしか やがて死がせまりくるというのに—」(展覧会図録「草間彌生 わが永遠の魂」より)。全人生をかけて、自身は苦しくても芸術への希望と生命の賛歌を届け続けてくれる草間氏は、アーティストとして現れた救世主なのかもしれません!
 「皆さんの何か精神的な悩み、そして人生に対する悩み、そういったものがあった時に、私の生きてきた道を見つけてくれたら本当に嬉しいと思っております」(「草間彌生 わが永遠の魂」の記者発表会にて。2016年9月)。


わが永遠の魂シリーズより。《私の愛する人々》2014年 ©YAYOI KUSAMA

それでは、みなさん、good luck! アートと共に楽しいひとときを!

【展覧会開催概要】
タイトル:草間彌生 わが永遠の魂
会期:2017年2月22日~5月22日
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00~18:00(金曜と、4月29日(土)~5月7日(日)は〜20:00)
休館日:火休 ※5月2日(火)は開館
入館料:一般 1600円 / 大学生 1200円 / 高校生 800円

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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