Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのアートデート

Vol.7 東京国立近代美術館(竹橋)の『トーマス・ルフ展』                      開催期間: 2016年11月13日(日)☆まで

  東京国立近代美術館は、東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩3分、隣は皇居の北の丸公園という抜群のロケーションです。

 展覧会概要❖

 トーマス・ルフ(1958年ドイツ生まれ)は,アンドレアス・グルスキーらとともにデュッセルドルフ芸術アカデミーでベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻に学んだ「ベッヒャー派」として知られている、世界が注目する写真家です。日本では、1990年代から美術館やギャラリーなどで紹介されてきましたので、写真がお好きな方の中にはファンの方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、初めて美術館で開催されるトーマス・ルフの本格的回顧展です。

 初期作品である「Interieurs(室内)」やルフが一気に注目を集めた「Porträts(ポートレート)」,宇宙をモチーフとする「cassini(カッシーニ)」や「ma.r.s.」,デジタル画像の解体が主題となっている「nudes」や「jpeg」シリーズなど、近年までの主要シリーズが一挙公開される上に、世界初公開となる新作が展示されます。

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東京国立近代美術館入り口の『トーマス・ルフ展』の看板

【アートデートのポイント】

 作品のモチーフは様々ですが、全体的にクールでスタイリッシュな写真展ですので、「『トーマス・ルフ展』に行かない?」と誘うのは、かっこいい男性という印象を与えそうです。

 そして、図録からは絶対に伝わらないトーマス・ルフの写真の凄さは、そのサイズ。今回も高さ約2メートルの作品が多数展示されていますが、それがもし普通のスナップ写真だったら作品として魅力的かというと???難しいところです。そんなことも考えながら、巨大写真群に囲まれた空間を2人で体感しながら、ルフがそれぞれの時代に提起してきた、そして、し続けている写真の有り方について語ってみるのはいかがでしょうか!

 【「Porträts」(ポートレート)】

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高さ2mを超える巨大なポートレート

 単なる証明写真のようなポートレートが巨大なサイズ(210×165cm)になるとその作用が変わってきます。写真作品に映っているのはルフの友人達。最初は24×18cmというごく普通のサイズで発表されましたが、それを見た友人達は「これは誰それだ」と人物を話題にしてしまいました。次に巨大に引き伸ばした作品を展示すると「これは誰それの巨大な写真だ」というように、見る人々が写真を見ているということに自覚的になったというのです。この巨大なポートレート作品の発表によって、ルフは一躍名を上げることになります。

 【「jpeg」シリーズ】

 デジタル画像の圧縮方式のjpegは、圧縮率を高めすぎるとブロックノイズが発生して画面がモザイク状になってしまうというという特性を考察して制作された作品で、画像の解体が主題です。       

 主にウェブサイトからダウンロードしたjpeg画像をルフが加工しました。

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トーマス・ルフ≪jpeg ny01, 2004≫サイズ256×188cm ©Thomas Ruff/VG Bild-Kunst, Bonn 2016

 遠くから見ると滑らかな写真なのですが、近づくと、矩形ブロックが多数組み合わさってできている画像であることがわかります。その辺は、なんとなく点描画や印象派の絵画にも通じるところがありますね。2001年9月11日のテロにより「世界貿易センター」が崩壊していく衝撃的な場面をとらえたものですが、巨大化され、モザイク化された写真の前に立つと、モチーフ以上に写真の質感に注意が惹きつけられるのが不思議です。

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来日したトーマス・ルフ氏と≪jpeg ny01, 2004≫。やはり巨大な写真。

【世界初公開!最新作「press++」シリーズ】

 初公開の最新作は、日本やアメリカの報道機関から入手した写真原稿の画像面と裏面をスキャンし、画像処理ソフトを使って1つの画面に統合したもの。日本語のメモ書きがしてある作品がひときわ印象的だったので、「これを皮切りに日本関連のモチーフを展開していきますか?」とインタビューしたところ、「是非これから展開していきたいと思う。欧米だけではなく、日本関係の写真作品を残していくことも重要だと考える。でも、欧米の報道写真資料などはネットで買えるが、日本のものは手に入れるのに苦労している。今回は主催の読売新聞社から提供いただきました。みなさん協力してください!」とルフ氏からの呼びかけがありました!

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最新作「press++」シリーズの1枚。読売新聞提供の過去の報道写真を基に作成。これも巨大。

【お食事でも】

 美術館本館2階に三國清三氏がプロデュースしたレストラン「ラー・エ・ミクニ」がありますので、展覧会鑑賞前後にお食事がおススメです。「芸術と料理」をテーマにフレンチとイタリアンを融合した洗練されたお料理。雰囲気もステキなので、きっとロマンチックなアートデートがより盛り上がることでしょう。くれぐれも「割勘」なんて言わないでくださいね!!!

レストランHP: http://www.momat.go.jp/am/visit/restaurant/

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レストラン外観

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レストラン内観

それでは、みなさん、good luck! アートと共に楽しいひとときを! 

❖展覧会開催概要❖

【東京会場】

会期:2016年8月30日(火)〜11月13日(日)

休館日:月曜 ※9月19日、10月10日は開館、9月20日(火)、10月11日(火)は休館。

開館時間:午前10時〜午後5時(毎週金曜日は午後8時まで)

     *入館は閉館の30分前まで

観覧料:一般 1,600円

会場:東京国立近代美術館(千代田区北の丸公園3-1) 

【金沢会場】

会期:2016年12月10日(土)〜2017年3月12日(日)

休館日:月曜 ※1月2日、1月9日は開館し、1月10日(火)は休館。12月29日〜1月1日休館。

開館時間:午前10時-午後6時(毎週金・土曜日は午後8時まで)

     *入館は閉館の30分前まで

観覧料:一般 1,000円

会場:金沢21世紀美術館(金沢市広坂1-2-1)

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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