Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのアートデート

スペシャルインタビュー☆ギャラリー界の貴公子 椿原弘也さん

 様々な分野でご活躍の紳士のみなさんがいらっしゃると思いますが、今回は、アートをお仕事にして36年の紳士、京橋の「ギャラリー椿」オーナー椿原弘也さんをご紹介します。アートを販売する画商やギャラリストというと、海千山千でちょっと油断できないかもというようなイメージも多少あるのですが、気品溢れる椿原さんからは、そのようなイメージは感じられません。ギャラリー界の貴公子と呼ばれているのにも頷けます。そのような椿原さんに、ギャラリーを始めたきっかけから、現在、これからについて語っていただきました。


「ギャラリー椿」オーナー椿原弘也さんのロイヤルスマイル!

 【ギャラリーを始めたきっかけ】
 お父様が新宿で「椿近代画廊」を経営していたので、なんとなく長男の自分が継ぐのかなくらいの気持ちでいた椿原さんの大学時代は、70年安保の真っただ中で、大学の休講も多かったためヨット部に熱中。お父様が病気になったのを機に画廊の仕事が現実的になり、大阪で当時最大手だった梅田画廊で修行をすることに。住み込みで5年間働いたとのこと。珍しい経験かと思いきや、当時は修行がてら住み込みで働くというのも結構多かったようです。
 
70年代当時の日本のアート市場はというと、意外にも絵画ブームで、証券マンが金融商品として扱っていたので、絵画が飛ぶように売れ、百貨店の画廊の販売企画にもオープン前から行列ができてすぐに売り切れたとのこと。金融商品の運用に関しては現代でも保守的に思える日本で、70年代にアートの金融商品が流行ったとは面白いですね。ところが、やはりそのようなバブリーな時期は長続きせず、オイルショックで一気に大暴落!当時のお金で3億円相当の作品が気づいたら3千万円になってしまったそうです。その時椿原さんが思ったのは、「自分が決めた値段で、コントロールできる範囲で若手の作家の作品を販売して、育てていきたい」ということ。その思いは、現在の「ギャラリー椿」のあり方にもつながっています。 

【大ピンチ=大チャンス】 
 大阪での修行が終わって東京に戻った椿原さんは、お父様の画廊で10年働いたところで、ある日方針の違いからお父様と大喧嘩した勢いでそのまま家を出てしまいました。当時37歳。既に2人のお子様がいらっしゃって、奥様が3人目の赤ちゃんを身ごもっていたのですが、何も持たずに突然飛び出してしまったというのですから、激しいですね。椿原さんは、「私よりも妻の方が不安が大きかったのではないかな」と振り返ります。
 
でも、そのように思い切って出てしまったからこそ独立できたということで、大ピンチではあったけど、大チャンスでもあったと考えているそうです。それにしても、半年ほど風呂敷画商(場所を持たず、作品を持って売り歩く)をしたというのですから驚きです。とにかく家族を養わなければならないということで、半年で700点から800点もの作品を1人で販売したというのですから、すごいバイタリティーと強運?ですね!それでなんと、家を出て半年にして銀座にギャラリーを開くことができたそうです。
 
それにしても、販売する作品はどちらから手に入れたのでしょう?ここでまたびっくりするのが、お父様の画廊を出るときに一緒に出てくれた若い1人のアーティストが描いた作品のみを販売したということなのです。せっせと新作を描き続けてくれて、その間椿原さんが彼の子供の世話をしていたそうです。それで銀座に半年でギャラリーを開けたというのですから、なんかミラクルなお話ですね。椿原さん、「持ってる」!

 【新しいギャラリー、アジアパシフィック画廊協会、全国美術商連合会の活動】 
 銀座で開いた椿原さんご自身のギャラリーでは、「無名のアーティストを紹介して、細く、長く、安定して続ける」ことを心がけてきました。大阪の修行時代からは50年、独立して35年になる現在は、定期的に展覧会を企画するアーティスト50人を抱えるギャラリーに。昨年は、椿原さんの70歳のお祝いに90人ものアーティスト達がみなで展覧会を企画して、1人1作品を椿原さんのために制作したというエピソードからも、椿原さんの人望が厚いことがわかります。
 
ギャラリー経営のお仕事に加えて、アジアパシフィック画廊協会や全国美術商連合会の役員としての活動も精力的にこなす椿原さん。アジアパシフィック画廊協会では、韓国、北京、台湾、香港、シンガポールなどでの国際アートフェアを通して知り合った人脈で日中韓など8か国が協力してアジアマーケットの時代を築くべく情報交換や会合、コラボレーションイベントを継続しています。また、役員を務める全国美術商連合会では、アートに、より多くの予算が取れるようにと「文化庁を文化省にする」ための活動や、諸外国の事例を挙げてアートに有利な相続税や寄付控除システムの提案などを行っているとのこと。
 
全ての試みが、シナジー効果でアート業界の発展につながる希望が感じられる椿原さんのご活躍にこれからも注目していきたいです!


ギャラリー椿さんの人気アーティストである山本麻友香さんの作品と椿原さん。ネクタイとシャツのコーディネートが作品に見事にマッチ!
着こなしもお洒落なアート紳士です。

【「ギャラリー椿」にて開催中の展覧会】
「服部知佳 PARALLEL WORLD」展が、2017年4月22日[土]まで開催中!
 
服部知佳さんは、2004年に多摩美術大学を卒業後すぐに「ギャラリー椿」での展覧会をスタートして、それからほぼ2年に一度個展を開催。「生きているもの」を描いていて、今回は海の生き物が多く登場しています。中でも服部さんが気に入っているのが、クラゲ。頭や体という区別がなく、生そのものである様子が好きで、頻繁に描くそうです。
 
服部さんの絵は、特に蛍光塗料を使用しているわけではないのに、ほんのり発光しているオーラがあって惹きこまれます。何層にも色を重ねてグラデーションを作っていくことでこのほんのりとした発光を表現するとのこと。水族館で見るクラゲを思い出しますね。その他、紫とオレンジのお洒落なホヤなど、ラブリーな作品が並びます。「男子専科」という雑誌名に、どんな紳士が読んでいるのだろうと想像を膨らませたという服部さん。紳士のみなさん、是非「服部知佳 PARALLEL WORLD」展を訪ねてみてくださいね!


広々として爽やかな、「ギャラリー椿」。京橋にある路面店です。


ほんのり青く光るクラゲ。


水玉模様のクラゲ。


お洒落なホヤ。


シャイな服部さんは、横顔のみ撮影。「男子専科」の紳士達に観てもらえたら嬉しいとのこと!

 【展覧会概要】
タイトル:「服部 知佳 PARALLEL WORLD」展
期間:2017年4月8日[土]-4月22日[土]
場所:ギャラリー椿
   
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
電話番号 : 03-3281-7808 
HP:  http://www.gallery-tsubaki.net/tsubaki.html

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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