Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのアートデート

Vol.16 『FACE展 2017 損保ジャパン日本興亜美術賞展』@損保ジャパン日本興亜美術館 開催期間:2017年2月25日(土)~3月30日(木)

展覧会概要❖

 損保ジャパン日本興亜美術財団による、『FACE展 』は今回で5回目。新進作家の動向を反映する公募コンクールです。「年齢・所属を問わず、真に力がある作品」を公募しているところが特色。902名の新進作家たちの応募から入選作品71点(内受賞作品9点)が展示されています。
審査員長の本江邦夫氏(多摩美術大学教授)の、「今年のFACEは、どれもとてもいい」との言葉通り、一通り見回しただけでも力作がいたるところで輝きを放っているのを感じます。
 中でもグランプリを受賞した青木恵美子氏の《INFINITY Red》はスバ抜けていたとの評。真っ赤に燃え立ち生命が躍る《INFINITY Red》は是非実物を観てみて!薄く立的な花びらが無数に立ち上がっているようにも見え、美しくもパワフル。青木氏と、受賞者・入選者の方々を何名か会場で取材させていただきましたのでレポートします。
 実は、アートデートにピッタリのポイントがあります。新宿の損保ジャパン日本興亜本社ビル42階にある美術館ですので、高層ビルから都会の景色が大きく広がっていて爽快。こちらで景色を眺めながら2人でくつろいでみてはいかがでしょうか!


『FACE展 2017』表彰式にて。受賞者、審査員、損保ジャパン日本興亜美術館のみなさん。

❖グランプリは、青木恵美子氏の《INFINITY Red》


青木恵美子氏と《INFINITY Red》

  この鮮烈なRedもさることながら、薄くカールしてまるで本物の花びらか葉っぱにように見える筆跡も今まで見たことがない絵画。青木氏によると、「作品から生命が宇宙に無限に広がるイメージを作品にした」とのこと。


このカールした筆跡は、すべて一筆で描いたとのこと。一筆へのこだわり。

 赤い花ビラを立体的に敷き詰めたように感じた筆者は、「なぜ生命を赤い花で表現したのですか?」と聞くと、「これは特に花ではなく、葉でもいいし、一筆がこのような形になるように制作しました。生命の赤を使い、自分への挑戦でもあった」と青木氏。確かに、平面という絵画の限界を超え、見えないものを体感で表現するという果敢な挑戦を感じます。審査員長の本江邦夫氏は「グランプリ作品は頭一つ抜けている。新しいことをやってみようという意欲と、絵画に向き合う真摯さが伝わる」と述べました。 

❖優秀賞
 優秀賞は、大石奈穂氏、石橋暢之氏、杉田悠介氏が受賞。白い空間の取り方がユニークだった杉田悠介氏にインタビュー。


杉田悠介氏と《山》
 スキー場の情景と人々を描いたもので、「白い部分を絵の空間にすること」を目指して描いたそうです。確かに、この大きな白い空間は異彩を放ち、スッと引き込まれる感覚。近づくと、木々の間にカラフルな点々が多数散らばっていることに気づき、この点々は、スキー場の人々とのこと。銀白に、蛍光色のスキーウェアが鮮やかに浮き上がる光景が目に浮かびます。


蛍光色のスキーウェアが真っ白い雪の上に!

 ❖審査員特別賞
 片野莉乃氏、新直子氏、傍島幹司氏、浜口麻里奈氏が審査員特別賞を受賞。ひときわオシャレに感じた片野莉乃氏の《swimmer》が気になりました。片野氏への審査員賞を授与した本江邦夫氏は、「日本画だけど、物質感がある。コンコンと音が聞こえそうなメタリックな感じとか。石畳の色合いや、真上から見た構図も良い。」とコメント。「受賞作品が最高の作品になってしまうのではなく、これ以上の作品を描き続けてください。」とのアドバイスもありました。


片野莉乃氏の《swimmer》と共に。片野氏と審査員の本江氏。
 

 堀元彰氏(東京オペラシティアートギャラリー チーフ・キュレーター)、坂元暁美氏(上野の森美術館学芸員)、 野口玲一氏(三菱一号館美術館学芸グループ長)ら各審査員も審査員賞を出しています。読売新聞社賞は、宮岡俊夫氏が受賞。 

❖入選作品からピックアップ

 戸泉恵徳氏の《コワレルハート》。たくさんのピンク色の戦士達で構成される絵画は、一度見たら忘れないインパクトを残します。もともとプラモデルが好きだったという戸泉氏は、零戦やイージス艦モチーフの作品を描いてきて、ここ数年は戦士達で構成される作品を制作しているとのこと。ピンクのハート型なので、季節柄バレンタインが関係あるかと思いきや「壊れるハートは死のイメージ」と語る戸泉氏。生臭い本物の戦闘を経験していないからこそ、敢えて無機質なプラスチックピンクの戦士で表現しているのだそうです! 


戸泉恵徳氏と《コワレルハート》
 

 平丸陽子氏の《若い月》。目の粗いジュート(コーヒー袋によく使われる)に暖色がざっくりと乗っている温かい作品。よく見ると、シルバーの粉末がたっぷり入っている部分があります。このシルバーの輝きが月なのでしょうか?!裏側からも彩色しているとのことで、色の深みがでているところなど、伊藤若冲の手法を彷彿とさせます。「生まれたばかりの若い月を想像したら、赤みを帯びているのではないかなと思いました。若き新星もイメージしています」と語る平丸さん。まさにこれからの平丸さんご自身ですね。 


平丸陽子氏と《若い月》
 

 菅澤薫氏の《神様の通り道》。近年、洗濯物と人、そしてその情念を絵画に表している菅澤氏の作風は目を惹きます。ぎっしりと詰めて干してある洗濯物からは何か渦巻く力が流れてきそうですし、ぼーっと眺めているように見える少女も、髪の毛が洗濯物に絡まっている様子が静かな凄みを醸し出しています。なぜ《神様の通り道》なのかと思い、聞いてみると「鳥居の形に洗濯物がかかっているのです」と菅澤さん。何か、更に深まる世界感を感じ、これからが楽しみです。 


菅澤薫氏と《神様の通り道》

  倉田和夫氏のパン。『FACE展2015』のオーディエンス賞を受賞したことでも印象に残っているのでは?2017年も入選!この香り立つリアルなパンには人を引き寄せる魅力がありますね。フワッと和み、会話が弾む一品。


倉田和夫 《BREAD・93》

 それでは、みなさん、good luck! アートと共に楽しいひとときを! 

【展覧会開催概要】
会期    2017年2月25日(土)〜2017年3月30日(木)
会場    東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
住所   東京都新宿区西新宿1丁目26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42F
時間   10:00〜18:00(最終入場時間 17:30)休館日 月曜日 
※ただし20日は開館、翌21日も開館
観覧料          一般 600円(500円)大学生 400円(300円)高校生以下:無料
      ※( )内は20名以上の団体料金
TEL    03-5777-8600 (ハローダイヤル:美術館利用案内)

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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