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紳士のたしなみ

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紳士のためのアートデート

Vol.19 山種美術館の美しすぎる館長・山崎妙子さんとのバーチャルアートデート☆『[企画展]花*Flower*華 ―琳派から現代へ―』展@ 山種美術館☆開催期間:2017年6月18日(日)まで☆

 春爛漫の季節に合わせて、山種美術館(広尾)では、花の絵画で会場が満開!『[企画展]花*Flower*華 ―琳派から現代へ―』を開催中です。花の絵画も立派なものばかりで、琳派、横山大観、小林古径、奥村土牛、加山又造、梅原龍三郎といった綺羅星のような画家たちによる豪華版。華やかな花々に囲まれながらも、しっとりと落ち着いたアートデートができそうですね。
 「きれい!」とシンプルに楽しむのも良いですが、日本美術という奥深いジャンルですので、技法や予備知識があると更に楽しめます。今回は、特別に、山種美術館の山崎館長よりアートデートにおすすめの作品5点を、実際に一緒に観ているような感じでご案内いただきます。美しき館長とのステキなアートタイムをお楽しみください。


『[企画展]花*Flower*華 ―琳派から現代へ―』展イチオシの作品を案内してくださる山崎妙子館長
 【1】奥村土牛《醍醐》 山種美術館

 「今年の桜の見ごろは終わりましたが、当館コレクションの中でとても人気のある作品です。京都・醍醐寺三宝院のしだれ桜に取材したもので、背景の土塀、幹の右側の支柱など、極めて理知的に構成されたモティーフとともに、主役である満開の桜が圧倒的な存在感で描かれています。
 1963(昭和38)年、土牛は奈良・薬師寺で営まれた敬愛する師・小林古径の7回忌の法要の帰路、醍醐寺に立ち寄りました。その際、土塀の枝垂れ桜に極美を感じ、数日間通って、目に映る光景を夕暮れまで写生したといいます。さらに、本作品を完成させるまでに各地の桜を見て写生した事についても土牛自身が語っています。いつか制作したいという思いを抱き続け、約10年後の1972年、再び桜の咲く時期を待って、醍醐寺に赴き、本作品を完成させました。胡粉の白色を基調に、何層にも絵具を重ねて表した薄紅色の桜は、春らしい叙情的な雰囲気と清らかな透明感を醸し出しています。」
 

【山崎館長直伝!鑑賞のポイント】

山崎館長と奥村土牛の《醍醐》
 
①奥村土牛は、初代館長・山﨑種二、二代目館長・富治、そして三代目の私と、三代にわたり交流した、当館とゆかりの深い画家。当館のコレクションはこのように画家とのご縁で集められた作品であることが特徴です。
大胆なトリミングによる構図と優しい色彩が見どころであり、本作品の魅力。
透明感のある薄紅色の桜は、一説には、綿臙脂【わたえんじ】が使われているといわれています。綿臙脂は、コチニール(ラックカイガラムシの分泌物)より抽出した色素を綿にしみこませたもので、現代ではほとんど使われなくなった絵具のことです。 

【2】加山又造《華扇 屛風》 山種美術館

 「昭和40年代に入ると、加山はやまと絵や琳派の様式を取り入れ、金銀箔を多用した装飾性豊かな屛風を制作しました。本作品は琳派の扇散らしの屛風を意識したもので、扇面には花や草が描かれています。ヒナゲシ、鉄線、バラなど、多くは現代の園芸で栽培される花の姿かたちによるが、薄や杜若、紅白梅のように、俵屋宗達や尾形光琳を想起させるモティーフも織り込まれているところがおもしろいですね。
 
地は平安時代の料紙装飾、特に《本願寺本三十六人家集》(本願寺)に多用される継ぎ紙を思わせます。左右隻をまたいで表される抽象的な波も、波文様の唐紙を用いた本願寺本の継ぎ紙の意匠からヒントを得たものと考えられます。各所に野毛【のげ(箔を糸状に細く切って画面に撒く)】が散らされていますが、形状からして波や飛沫をイメージしているのではないかと思います。抽象的な文様を具象に見立てる平安時代の装飾の手法を、自身の造形に巧みに取り込んでいます。さまざまに変色した銀箔は、加山が参照した古典の時代的な重層性を象徴するようにも見えます。」

 【山崎館長直伝!鑑賞のポイント】

山崎館長と加山又造《華扇屛風》 
①さまざまな金属(金や銀など)をふんだんに用いた作品。背景のうねる波の表現がダイナミックな迫力。金属を意識的に作品に用いて、装飾や光の表現などに応用している点も見どころです。
扇面散らしという伝統的な様式ですが、描かれた花の中には現代の園芸で栽培されている花もあるところがおもしろい作品です。

【3】速水御舟《桔梗》 山種美術館

 『「空想で絵が描けるようになった」という御舟晩年の作品です。御舟は、秋の花である桔梗を題材としながら秋ではなく三月に、しかもわずか二日間で本作品を完成させました。色紙大の小さな画面に、水墨で桔梗の花を描くが、つぼみは実際より長くデフォルメされています。花や茎、葉には俵屋宗達風のたらし込み(墨の滲【にじ】みを活かして描く技法)を施し、白緑【びゃくろく】の上から水気の多い墨をたらして滲ませた輪染みのような表現は、偶然のようで実は計算されつくしたものでしょう。
 花弁の間の小さな塗り残しの白点も、重なる花弁の立体感を表す効果を出していて、小品ではありますが、随所に御舟の秀でた感性と筆技が光る作品です。「模写は芸術ではない」と模写を嫌った小林古径が、本作品に魅了され、模写したというエピソードも残されています。』
 
 
 【山崎館長直伝!鑑賞のポイント】
茎や葉ではなく、花の部分を墨で描いている点が斬新な作品。
晩年の御舟は、墨の表現を追求し、こうした水墨と彩色を併用した花卉図を多く手がけました。

【4】酒井抱一《菊小禽図》 山種美術館

 「抱一が、60歳代に手がけた作品群として、鎌倉時代の歌人、藤原定家【さだいえ】による月次【つきなみ】花鳥和歌を踏まえた十二ヶ月揃いの花鳥図シリーズがあります。当館では、漢学者の亀田綾瀬【りょうらい】が賛を記した一連の花鳥図のうち、2図を所蔵する。そのうちの一図が本作品、9月の図です。重陽【ちょうよう】にちなむ菊と白い腹面を見せて菊の茎にとまる瑠璃鶲【るりびたき】が描かれています。
 
江戸琳派を代表する絵師・抱一が手掛け、詩情あふれる繊細な花鳥画の優品です。
 
酒井抱一は、当館初代館長・山崎種二が、若い頃にその作品をいつか手に入れたいと憧れた絵師でもあります。」 

【山崎館長直伝!鑑賞のポイント】

山崎館長と酒井抱一《菊小禽図》
①晩年の抱一の代表作の一つ。美しい花に愛らしい鳥の組み合わせで、詩情あふれる花鳥図として仕上げた作品。
もとは12ケ月の季節を描いたシリーズのうちの一幅。細見美術館やファインバーグ・コレクションなどにも同種の作例が見られます。花に象徴させた当日の季節感も感じていただければと思います。

【5】鈴木其一《四季花鳥図》 山種美術館
 
 「四季の草花を、右に春夏、左に秋冬の景色として描いた作品です。日本美術では、このように、春夏秋冬を一つの景色として表現する形式があります。現実の世界ではありえない、ユートピア(理想郷)のような画面を作り上げているのです。
 
屏風の右隻は菜の花、蒲公英、向日葵、朝顔などの春夏の草花、左隻には菊、吾亦紅、薄、女郎花、水仙などの秋冬の草花が描かれています。中央には鶏の親子と雌雄の鴛鴦が向かい合うように配されており、子宝や夫婦和合といった願いが込められた可能性も考えられます。草花の太く柔らかな輪郭線は琳派ならではの表現であるとともに、ボリューム感のある彩色や鳥の緻密な描写には其一の個性もうかがえます。」 

【山崎館長直伝!鑑賞のポイント】
 
①実際にはあり得ない、四季の花々が一斉に咲いている様子を表現。まさに、花のユートピアのよう な情景です。
 
②先にご紹介した酒井抱一の弟子にあたる其一。その実力は、当時も高く評価され、時に師の代作もしていたこともあったようです。 

 みなさま、いかがでしたか?この5点をポイントにして、ぜひ会場で『[企画展]花*Flower*華 ―琳派から現代へ―』展をお楽しみください!さて、鑑賞後はお茶でも。
 山種美術館では、併設のカフェ・椿にて、オリジナルの和菓子をいただくことができます。青山の老舗菓匠「菊家」特製で、展覧会出品作品をイメージした会期中限定の和菓子です。今回の「[企画展]花*Flower*華」の和菓子で、山崎館長のイチオシは、鈴木其一《四季花鳥図》の右隻をイメージして作られた「夏の日」です。 
 
「鮮やかな色合いの練りきりに杏を入れたもので、上品な甘さのこしあんがとても美味な一品です。ご鑑賞後に作品を思い出しながら、ゆったりとしたティータイムをお過ごしいただければと思います。」と館長からのメッセージをいただきました。

鈴木其一《四季花鳥図》をイメージした和菓子「
夏の日」

 それでは、みなさん、good luck! アートと共に楽しいひとときを! 

【展覧会開催概要】
会期: 2017年4月22日(土) ~ 6月18日(日)
会場: 山種美術館
開館時間: 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日: 月曜日
入館料:一般1000円(800円)・大高生800円(700円)・中学生以下無料
   ※( )内は20名以上の団体料金および前売料金。
   ※障がい者手帳、被爆者健康手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)は無料。

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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