Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのアートデート

Vol.23 蜷川有紀展 『薔薇の神曲』@パークホテル東京25階・31階☆開催期間:2017年6月18日(日)まで☆

【展覧会開催概要】
 ダンテの『神曲』を読んだことはありますか?イタリアの詩人であり哲学者、そして政治家であった ダンテ・アリギエーリが14 年間かけて書いた代表作です。地獄篇、煉獄篇、天国篇の3部から成る長編叙事詩。そのダンテの『神曲』を、700年の時空を超えて、画家・女優の蜷川有紀氏が岩絵具という日本古来の絵の具を使って描いたのが今回の蜷川有紀展 『薔薇の神曲』です。「時空や民族を超えて繋がる意識の“古層”を描きたかった」という蜷川さんのアートは、ダンテの『神曲』を色彩やイメージとして噴出させています。文字の『神曲』は手ごわそうですが、この機会に体で一気にダンテの『神曲』を受け止めてみると良さそうです!
 パークホテル東京の30mの吹き抜けがある大ラウンジ25階と、アーティストルーム31部屋がある31階が、蜷川氏による薔薇一杯のダンテワールドとなっています。中でもシンボリックな作品は、蜷川氏が『神曲 地獄篇』 をテーマに、1年半の歳月をかけて描きあげた高さ3m×幅6mの大作「薔薇のインフェルノ」。そして天国と地獄の中間にある煉獄がプロジェクションマッピングでも階上へ立ち昇り、31階は麗しい天国となっています。
 
まさにホテルの階層を活かした現代の神曲。25階のレストランでお食事をして、31階のアートルームに宿泊するという至極のアートデートも魅力的! 

【薔薇と炎の地獄編】

30mの吹き抜けと、蜷川氏の大作「薔薇のインフェルノ」の協奏
 
無数の薔薇の赤と、地獄の炎の赤が混じり合い、エネルギーがほとばしる画面にダンテの永遠の女神とも言える「薔薇のベアトリ―チェ」、地獄での罪を償う「浄罪山」などが夢の世界のようにひしめきます。『神曲』において、地獄の世界は、漏斗状の大穴をなして地球の中心にまで達し、九つの階層から成るとされています。文字で読むと難解なのですが、蜷川氏の絵では、その階層がポッと現れた泡のような丸の中に描かれていて柔らかな表現。「この巨大かつ混沌とした地獄編をどこから描いたのですか?」との質問に、「中心の渦です。」と即答した蜷川氏。描き始めるときからクリアなインフェルノ(地獄)のビジョンが浮かんでいたのですね!

 「薔薇のインフェルノ」の解説をする蜷川氏


「薔薇のインフェルノ」の前に佇む蜷川氏は、ダンテが『神曲』の旅の先々で出会う女神ベアトリ―チェのよう
 
【地獄の赤とのコントラストが鮮やか!ラピスラズリブルーの煉獄篇】
 煉獄とは、地獄と天国の中間。永遠に罰を受けつづける救いようのない地獄の住人と異なり、亡者は煉獄山の各階梯で生前になした罪を浄めつつ上へ上へと登り、浄め終えるとやがては天国に到達します。蜷川さんが煉獄を表現したのは、ラピスラズリの鮮やかなブルー。至上の美しさを湛えたベアトリ―チェが現れ、「ダンテ、泣いてはいけません。」と、ダンテを厳しく叱り激励する印象的な場面も描かれています。
 
地獄編とのコントラストが鮮烈な煉獄編。 

ダンテを叱咤激励する神々しいベアトリ―チェ。

ピカソの「泣く女」も想起させるミステリアスな美女。こんな絵を家に飾ってみたい。
 
煉獄編小品コーナーは軽やかに楽しめます。「ここでは大きな望みが素早い羽と翼になった」、「苦しんではじめて消える傷だ」、「急げ急げ愛が足りぬと時を失うぞ」など、実際ダンテの『神曲』に出てくるセリフと絵画が合体した作品がユーモラスに語り掛けてきます。このような作品は家に飾ると家族で楽しみ、一緒に考えるきっかけになりそうですね。

「ここでは大きな望みが素早い羽と翼になった」

「苦しんではじめて消える傷だ」。額の「P」がその傷です。

「急げ急げ愛が足りぬと時を失うぞ」
 
【おおらかに天女がほほ笑む天国編!ダンテの『神曲』の全ては「愛」に行きつく!】
 地獄から煉獄山の頂上までの道をウェルギリウスに案内されたダンテは、そのあとベアトリーチェの案内を受けて天国に至ります。『薔薇の神曲』展では、パークホテル東京の31階が天国!
 31階は、同フロアの部屋全てが、それぞれ違ったアーティストが直接描いたりして制作したアートルームになっているという特別なフロア。その1部屋が、蜷川氏が描いた「天女の部屋」。
『薔薇の神曲』展では、「神曲」の「天国編」 と位置付けられます。宿泊可能なお部屋です!
 
宿泊客がいる場合は入って観ることができないので、ここは思い切って宿泊予約を取るのもおすすめです。または、8月5日(土)、6日(日)のパークホテル東京アートフェスティバル期間中は31階のアートルーム全室解放ですので、このタイミングもチャンスです。(※詳細は記事の最後をご参照ください)
 「天女の部屋」に足を踏み入れると、薔薇一杯の情景に天女がほほ笑む、まさに天国!曲線を描いて天空を舞う天女に、心も体もほぐされます。長編ダンテの「神曲」のラストを結ぶ言葉は『愛』。愛に包まれた部屋には、蜷川氏が『薔薇の神曲』で伝えたかった感覚が伸びやかに広がっています。

「すべて大丈夫よ~!」とほほ笑んでくれる天女。 

天女の部屋に天国を描く蜷川氏
 長くて難解そうなダンテの『神曲』のラストは、衝撃的なほどシンプル。地球や惑星が回転しているのを遠巻きに眺めるダンテが、「ダンテ、あれは何で動いていると思いますか?」と問われ、教えられたその答えこそが、「愛です。愛が全てを動かしているのです」。
 蜷川氏に最初にダンテプロジェクトのお話を聞いた時に語ってくれたのがこの言葉です。とても感動しました。構想の根幹にあるのが愛なのですね。ダンテの「神曲」で言及される愛は、キリスト教における愛という意味が強いと思いますが、蜷川氏が思い描いたのは、もっとおおらかな愛。「東洋的な愛」と表現されたその愛は、宗教や民族など関係なく、「みんなおいで!」という愛のようです。もし、蜷川氏の作品が、西洋の絵画で伝統的に使われてきたテンペラで描かれていたら、もっと硬質でここまでおおらかにならなかったかもしれないとも思います。やはり、日本古来の岩絵の具だからこそ出た「みんなおいで!」と包み込む日本版の「愛」!蜷川さんならではの神曲の世界は新しく、温かい。

この世界は何で動いている?「愛で動いている!」  

天女の部屋は、ドアのこのプレートが目印

蜷川有紀展 『薔薇の神曲』 オープニングパーティーでスピーチをする作家の猪瀬直樹氏(左)と蜷川有紀氏(中央)。
 
 
作家の猪瀬氏は、蜷川氏に、「一神教にはタブーがある。」と話したそうです。「一神教的タブーからの自由度が高い東洋、その中の日本から根源的な愛を発信しています。」と蜷川氏。
 是非大切な方とアートデートで訪れてみてください!
 それでは、みなさん、good luck! アートと共に楽しいひとときを! 

【開催概要】
イベント名:蜷川有紀展 「薔薇の神曲」
開催日程:2017年6月18日(日)まで ☆展示作品はご購入可能です。
作家在廊日: 会期中、毎週火、水、金、土、14:00~17:00、および最終日。
ギャラリーツアー:毎週水、土14:00〜14:30 <予約不要・無料>
場所:パークホテル東京 東京都港区東新橋1丁目7−1 汐留メディアタワー25階、31階
http://parkhoteltokyo.com/ 
【アートルームを全部屋解放する「ホテルアートフェス」 開催概要】
正式名称:ホテルアートフェス (英語名:Hotel Art Fes)
日時:2017年8/5(土)および 8/6(日) 15:00-20:00
料金:1日券2,000円(税金込、アートカクテル1杯付き)
※当日ご宿泊のお客様は、入場無料でご見学いただけます(アートカクテルは付きません)
開催場所:パークホテル東京
31F/アーティストフロア(全フロアー)
26F/プライベートルーム3室、他
25F/アートラウンジ(イベントの一部で使用)
予約先URL: http://hotelartfes2017.peatix.com/
予約・お問い合わせ:03-6252-1111(代)サロン予約担当

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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