Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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紳士のためのアートデート

Vol.24 『ジャコメッティ展』☆「見えるものを見えるままに」?!でも細く引き伸ばされている彫刻。@国立新美術館(六本木) 開催期間:2017年9月4日(月)まで☆

【展覧会開催概要】
 20世紀のヨーロッパにおける最も重要な彫刻家のひとりアルベルト・ジャコメッティ(1901-1966年)の大回顧展を六本木で観られる貴重な機会です。日本で開催されるジャコメッティ展としては11年ぶり。初期から晩年まで、彫刻約50点、絵画約5点、素描と版画約80点が出品されています。細長く引き伸ばされた人物の彫刻は、どこかで目にしたことがあり、通常の人の像とは似ても似つかないそのユニークな形状が記憶に刻まれている方も多いのではないでしょうか。 ジャコメッティの彫刻を目にすると、「実際の人をなぜこのようにデフォルメしているのだろう」という疑問が湧いてくるのですが。。。 意外なことに、ジャコメッティは、幼いころから「見えるものを見えるままに」表すことにとことんこだわってきたのです。その追及の結果生まれた細長く引き伸ばされた彫刻。その代表作が一堂に会する今回のジャコメッティ展にて、その本質に迫ってみるのも面白そうです!

 

【ジャコメッティの抱く女性の理想像はマリリン・モンロー!】
 数多くの細長く引き伸ばされた人物の彫刻作品を生み出したジャコメッティですが、なんと彼の抱く女性の理想像はあの豊満なマリリン・モンローとのこと!(「ジャコメッティ展」図録28ページ。マルクス・ミュラー氏論文より)。彼自身「私だって、マリリン・モンローのような姿を女性像に与えたいと思う、しかし私が作るといつもそれは細く、長く長くなっていってしまう・・・」と述べています(「ジャコメッティ展」図録28ページ。)。今回来日している女性像の代表作《ヴェネツィアの女》も、もれなく細く長く出来上がっています。

《ヴェネツィアの女I》
 なぜなのでしょうか?それは、展覧会全編を通して感じられるのですが、ジャコメッティの対象を見る行為は、『「視覚の領域にとどまらず」、「全感覚が投入されていて」、「経験のすべてを包含する行為」』だからなのです。(「ジャコメッティ展」図録154ページ)。「見えるものを見えるままに」表すということへのジャコメッティの答えは、とことん写実を極める事ではなく、「主観的に知覚されたものを通じて実在を探求する」(「ジャコメッティ展」図録154ページ)ことだったのです。「日常に根差した人間の姿を極限まで単純化」して表現された本質は、男性の像《歩く男I》にも体現されています。
 
《歩く男I》
【動物も細く長い!】
 もっぱら人間をモデルにしていたジャコメッティですが、1951年にいくつか動物の石膏像を制作しています。このうち猫と犬だけがブロンズで鋳造され今日まで残っています。そしてまたしても細長く引き伸ばされている2匹。ジャコメッティ流の「見えるものを見えるままに」は、これらの猫と犬に関しても「主観的アプローチ」をとったこと、また「対象を見るということが視覚の領域だけにとどまらず、経験のすべてを包含する行為」であったことがわかります。
 《猫》に関しては、胴体と4本の脚はほとんど骨組みのままで、肉付けしてあるのは頭部のみです。ジャコメッティの言葉からその理由のヒントが得られます。「(中略)ぼくはあの猫をありのままに正確に記憶してしまった。あとはそれを作るだけでよかった。だが、似たものであるように見せかけることができているのは頭部だけだ。ぼくはいつも猫が正面からぼくのベッドに向かって来るのばかり見ていたからね。」(「ジャコメッティ展」図録130ページ)。
 確かに、正面から見ると、猫の顔がリアルに大きく向かってきます。
 
《猫》

  そして、今回の展覧会でオーラを放っていた作品の1つが《犬》。寂しさがあふれ出てくるような鼻先と細い脚。。。でも抜群に優雅な曲線を描いて歩いています。この犬は、先ほどの猫のように特定のモデルがいたわけではなかったようですが、ジャコメッティが自身を重ね合わせていたようです。ジャコメッティ曰く「(中略)ある日、ぼくは、雨のなか、ヴァンヴ通りを歩いていた。建物の壁に沿って、頭を下げて、おそらく少し悲しみを感じて。ちょうどそのとき、ぼくは自分を犬のように感じた。それであの彫刻を作った。」(「ジャコメッティ展」図録130ページ)。まさに、自分の体験そのものを通じて対象をとらえ、本質を抽象的に表現したのがこの《犬》。ジャコメッティと親しい交友のあった作家のジャン・ジュネは、美しい曲線を描く前足を持つこの《犬》を目にして、「孤独というものの、至高な壮麗化」と称えたそうです。

アルベルト・ジャコメッティ《犬》1951年ブロンズマルグリット&エメ・マーグ財団美術館、
サン=ポール・ド・ヴァンス、Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

  それでは、みなさん、good luck! アートと共に楽しいひとときを!

【開催概要】
タイトル:ジャコメッティ展 Alberto Giacometti: Collection Fondation Marguerite et Aimé Maeght
会期:平成29(2017)年6月14日(水)〜9月4日(月)(72日間)
会場:国立新美術館 企画展示室 1E
開館時間:10:00〜18:00 毎週金曜日、土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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