Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのアートデート

Vol.4 東京ステーションギャラリー(東京)の『12 Rooms 12 Artists UBSアート・コレクションより』展 開催期間: 2016年9月4日(日)まで 

2012年10月、ついに東京駅丸の内駅舎の保存・復原工事が完了し、約100年前の東京駅の姿が再現されたのも、まだ記憶に新しいところかと思います。同時期にリニューアルオープンしたのが東京ステーションギャラリー。JR丸の内北口前という便利なロケーションに、スタイリッシュな入り口を構えています。

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東京駅に組み込まれるようにあるこの東京ステーションギャラリーは、お洒落な八角形の天井が有名な吹き抜けスペースの一角。ギャラリー館内に見られるレンガも創建当時のまま!埋め込まれた木レンガ(もくれんが)が戦時中に焦げた部分がそのまま残っています。

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このように、建物も見所の多い東京ステーションギャラリーにて、今回は滅多に日本では出会えない、12人の現代アーティスト達による名作を選りすぐった『12 Rooms 12 Artists UBSアート・コレクションより』展でのアートデートです。

展覧会概要❖

 民間企業の現代美術コレクションとして世界で最大規模を誇るのがグローバル金融グループUBSアート・コレクション。1960年代以降の美術に焦点を当てる同アート・コレクションは、絵画、版画、写真、ヴィデオアートや彫刻までを含む多様な分野をカバーし、30,000点以上もの作品を蔵しています。

 東京ステーションギャラリーでは、駅舎を活かした独自の空間を12の部屋の集合に見立て、その一部屋ごとにUBSアート・コレクションから厳選した12作家を展示してそれぞれの世界を創っています。日本でまとめて観る機会の少ないルシアン・フロイドとエド・ルーシェイの約30点づつの展示を軸に、絵画、写真、映像など約80点を鑑賞できます。

 今展を担当した成相 肇(なりあいはじめ)学芸員に案内していただいた内容を基に、アートデートの見どころをお伝えします。成相学芸員によると、UBSのコレクションは、現代アートとは言っても奇抜だったりわかりにくいというよりは、すっと入ってきていいなと思えるものが多いとのこと。デートにもうってつけですね。

 ☆アートデートスタート☆

 2部屋目に眼前に現れるクールな作品達が、今展メインの一人エド・ルーシェイのもの。色使いが魅力的ながらも、淡々としたスタンダードオイルのガソリンスタンド。右上の「スタンダード」の看板2つの作品は≪ダブル・スタンダード≫とダジャレ的だったり、左上の作品は≪カビたチーズ色のスタンダードとオリーブ≫というタイトルで、確かに色味がアオカビのチーズっぽくてオリーブが浮いている。。。でも、だからといって特別な意味があったり、何かを表現しようとがんばっていたりするわけでもなさそう。

 成相学芸員は、「エド・ルーシェイは、当時(1960年代)の『作品は何かを表現するもの』という常識を覆し、『何も言っていない』作品を発表したのです」と教えてくれました。でも、その徹底した無表情さがかっこよく、アメリカはもちろん、日本にもコアなファンが多いとか。

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☆ここでアートでデートおすすめの会話例I☆

  あなた 「自分の部屋にこんなかっこいい絵を飾ってみたいな」

  女性  「センスいいね」

  あなた 「こんな絵を部屋に飾って、○○さん(一緒にいる女性)のような  

       ステキな女性とお茶するとか、夢だな~」

【ポイントI】

自分のセンスの良さと女性への好意を同時にアピールできます!

 展示作品ピックアップ❖

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エド・ルーシェイ《スタンダードのスタンド(赤)》1966年©Ed Ruscha. Courtesy Gagosian Gallery . UBS Art Collection

 エド・ルーシェイは、大変ハンサムなことでも有名とか!このクールな画風がより魅力的に思えてきますね。ハリウッド俳優と言っても全く違和感ないようなハンサムぶりで、ポップなアートファンのスター的な存在でもあったそうです。ハンサムぶりをチェックするには、こちらをご参照ください。

http://www.natsume-books.com/natsumeblog/?p=7722 

いかかでしょうか?!

 さて、 同じエド・ルーシェイの作品で、一緒にいる女性が、「この作品好き」と近寄ったのはこちらの絵。

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エド・ルーシェイ《ブラザー、シスター》1987年

☆アートでデートおすすめの会話例II☆

女性 「私、こんな絵をリビングに飾りたいな」

あなた「すごくステキだね。こんな絵を飾った家に一緒に住みたいね」

※ちなみにこの作品は、今展で2番目に高額の作品とのこと。1番高額なのは、後程出てくるルシアン・フロイドの作品です。

【ポイントII】

 共感は好意の最大の表現です!永六輔さんも、『好きな人に「あ、この子好きだな」とか「いい人だな」と思われるには、「おなべをいっしょに食べて同じものをおいしいと思う」、「夕やけを見て、両方が美しいなと思う」というような同じ感動を同じ時点で受け止めるのが一番効果があります。』とおっしゃっています。

(TBSラジオで行われていた「全国こども電話相談室」にて、小学校6年生の女の子の質問に対する永六輔先生の回答より。出典: 全国こども電話相談室) 

展示作品ピックアップ❖

  『12 Rooms 12 Artists UBSアート・コレクションより』展にて存在感抜群の彫刻作品は、アンソニー・カロの≪オダリスク≫。

 優美な女性の精巧な具象彫刻かと思いきや、顔がない!顔がないことで台座からはみ出した足や、体の線の美しい形そのものを表現することに成功した抽象彫刻。

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アンソニー・カロ《オダリスク》1985年©Anthony Caro. Image courtesy of Barford Sculptures Limited UBS Art Collection

 そして、今展最大の目玉とも言えるルシアン・フロイドの部屋にやってきました。精神分析学者フロイトの孫で英国を代表する画家、ルシアン・フロイドの部屋です。

 油彩画「裸の少女の頭部」は、今回の展覧会ポスターなどにも大きく掲載されている注目の作品。実物を観ると、顔の細かな陰影を出すために何度も何度も筆を走らせていることがわかります。通常のアーティストはスルーしてしまうような陰影も執拗に描きこむため、モデルを長時間座らせることでも有名だったというフロイド。2年がかりで完成させたポートレートもあるというから、モデルも大変だったと思うのですが、大人気作家でハンサムだったフロイドの元には、モデル志願者が殺到したと成相学芸員。あのファッションモデルのケイト・モスもフロイドのモデル経験者。2005年には、彼女のヌード肖像画が390万ポンド(約7億7千万)で落札されて話題にもなりました。そしてなんと、認知された子供も、認知されなかった子供も、たくさんいたというから驚きです。「彼は二度結婚し、認知した子供だけでも十四人にのぼる」(本『ルシアン・フロイドとの朝食』より)。どれだけモテたのでしょう。。。 大変豊かだったため、養育費は皆に支払うことができたようです。

展示作品ピックアップ❖

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ルシアン・フロイド《裸の少女の頭部》1999年©Lucian Freud Archive/Bridgeman Images UBS Art Collection

 フロイドは、2008年のオークションで、彼の肖像画が存命画家の作品として当時最高値の約35億円を記録したことでも知られています。今回の展覧会もダントツに作品が高額のアーティストで、通常は保険額が高すぎて日本でこれだけまとめて作品を展示するのはまず不可能だそうです。

是非この機会に観ておくことをおすすめします。

 ミュージアムグッズをプレゼントしてみては?❖

 ルシアン・フロイドつながりで、本がイチオシ。

『ルシアン・フロイドとの朝食』 定価 5,940円(本体5,500円) 2016年1月8日発行。

 なかなか立派な本ですが、魅力的なタイトルですね。あまりに多くの親密な事柄の詳細が公衆の目に触れることをフロイドは恐れていたため、存命中は、大金を払ったりとあらゆる手段で公認の伝記の出版を差し止めたそうです。そういうわけで、執筆が開始されたのはルシアンの死後。これは読まずにはいられませんね。彼女と共有する知的でアートな一冊としてプレゼントしてはいかがでしょうか!モテるヒントも読み取れるかもしれませんよ!

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東京ステーションギャラリーのミュージアムグッズ売り場に置かれています。赤い図録もお洒落。

 展覧会ラストを飾るのは、イタリア生まれのサンドロ・キアによるゴージャスな作品《いかだの三少年》。大海原に、抽象的で美しい色合いの波線が繰り返されます。波に揺れて遠くにいけそうな!

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展示作品ピックアップ❖

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サンドロ・キア《いかだの三少年》1983年©Sandro Chia. Courtesy of the artist UBS Art Collection

「いい絵の前で、解説は要りませんね」と成相学芸員の一言。アートデートでクールに言い放ってみても良いかもしれません!

 それでは、みなさん、good luck! アートと共に楽しいひとときを!

 【展覧会基本情報】

展覧会タイトル:12 Rooms 12 Artists

出品作家(生年(没年)、出身国):

 荒木経惟(1940, 日本)アンソニー・カロ(1924-2013, 英国)陳界仁 チェン・ジエレン (1960, 台湾)サンドロ・キア(1946, イタリア)ルシアン・フロイド(1922-2011, 英国)デイヴィッド・ホックニー(1937, 英国)アイザック・ジュリアン(1960, 英国)リヴァーニ・ノイエンシュヴァンダー(1967, ブラジル)小沢剛(1965, 日本)ミンモ・パラディーノ(1948, イタリア)スーザン・ローゼンバーグ(1945, アメリカ)エド・ルーシェイ(1937, アメリカ)  

会場: 東京ステーションギャラリー

会期:2016年7月2日(土)-9月4日(日)

入館料:一般1000円 高校・大学生800円 中学生以下無料

TEL: 03-3212-2485

URL: http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

 

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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