Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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紳士のためのお出かけエンタテインメント

今までで最高の『ボレロ』でした。東京フィル午後のコンサート2023年11月6日

東京フィルが定期的に開催している、午後のコンサート。本日は、ペアを組んで4回目となる円光寺雅彦マエストロと、人気の清塚信也さん。この組み合わせは、いつも早々と満席になります。

さて、円光寺マエストロは、「お父さんにしたい指揮者ナンバーワン」と自称し、清塚さんを「プロの司会者」と紹介します。そして、笑いがあふれる軽妙なトークが繰り広げられます。清塚さんは「なんでもOKストラ!!」と命名したと言い、クラシックを楽しく聴けるように、敷居を低く「なんでもありですよ」と会場に語りかけました。

写真提供:東京フィルハーモニー交響楽団

曲は、グリンカの歌劇『ルスランとリュドミュラ』序曲ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番より第2楽章は素晴らしくロマンティックで美しいメロディー。そして、ベートーヴェンのピアノ協奏協第5番「皇帝」より第3楽章と人気曲が続きます。

清塚さんはロシアに留学していた時、チャイコフスキーでもなく、ラフマニノフでもなくグリンカを多く学んだのだとか。日本ではあまり聴く機会がありませんが、19世紀ロシア国民学派の父と呼ばれています。

休憩前のアンコールは、羽生結弦選手のために清塚さんがサン=サーンスの曲をもとにかいた「ロンド・カプリチオーソ」。超絶技巧に圧倒されます。

写真提供:東京フィルハーモニー交響楽団

そしてチャイコフスキーの『くるみ割り人形』より金平糖の踊りと、次のラヴェル『ボレロ』で、清塚さんはチェレスタを弾きました。チェレスタは、ご存じ不思議な音色がします。見た目はピアノですが、中には鉄琴のようなものが入っているそうです。

写真提供:東京フィルハーモニー交響楽団

質問コーナーでは、「演奏会の楽しみは」と聞かれ、円光寺マエストロが「演奏会で上手になる。それが楽しみ」と語っていましたが、これにはとても共感しました。実はアナウンサーの世界でも、本番を経験することでどんどん上手になっていくのです。練習を積み重ねたのでは得られないものがそこで習得されるようです。

スペイン舞曲の一種である『ボレロ』は、ずっと続く小太鼓のリズムに、同じテーマを弾く楽器がどんどん増えていきます。演奏に加わる順番で演奏家と楽器を紹介し、より演奏や楽器への関心が高まりました。そして最後のアンコールでは、当時は、その時の演奏会でもう一度聞きたい曲をアンコール曲にしていたということから、『ボレロ』の山場を再度演奏してくれました。

音が一体になって、会場と一つになって、素晴らしい集中力と情熱で演奏された『ボレロ』は、私が今までで聴いた中で最高の『ボレロ』でした。温かい人柄の円光寺マエストロが振る『ボレロ』の生の音を全身に浴び、エネルギーがチャージできました。次回の円光寺マエストロは来年4月に登場します。

 

*2023年11月9日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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