Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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紳士のためのお出かけエンタテインメント

「ブラボー上映」が開催された『椿姫』 2月14日まで(東劇は21日まで)上映中です

ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されているオペラを映画館で楽しむ「ライブビューイング」の楽しさは、もちろん本編で世界最高峰の舞台に触れられることもありますが、幕間のインタビューや稽古風景などが見られる所にもあります。今回の『椿姫』は、オペラの最も有名な演目。パリの社交界を魅了する高級娼婦が真実の恋に巡り合う物語。

(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera.jpg

新演出を、トニー賞受賞の演出家マイケル・マイヤー、装置デザインのクリスティーン・ジョーンズ、衣装デザインのS・ヒルファーティというそうそうたるメンバーが固め、さらに2018年から音楽監督に就任したヤニック・ネゼ=セガンが就任後初めて指揮をするという期待の作品でもありました。

ネゼ=セガンの作り上げる音楽は、情感豊かで、フレッシュで、いきいきとしていて、不朽の名作に新たな命が吹き込まれたようです。定番の作品ともなると解釈も固まってしまいそうですが、音楽がストーリーを語り、まったく新しい音楽を聴いているかのよう。ライブビューイングでは、オーケストラや演者と一つひとつ創り上げていく様子が垣間見られます。

そこに古典を刷新する才能で注目されるマイケル・メイヤーの演出ですから、登場人物の心情が現代の我々に細やかに伝わってきます。マイケル・メイヤーの前回のライブビューイング『マーニー』は、自らオペラ化のアイデアを作曲家ニコ・ミューリーに持って行って、初演が実現したというもの。「オペラはスケールが大きい」と今期2作目の演出、嬉しそうです。

(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera.jpg

 ヴィオレッタ役に「歌うメリル・ストリープ」と言われる、女優としての演技も定評があるディアナ・ダムラウ。ネゼ=セガンと丁寧にヴィオレッタのその時の感情や表現方法を詰めていく作業には感嘆の言葉しかありません。何百回、何千回と歌っているであろうこの曲をゼロから作り上げていくその真摯さ。緩急、強弱を自在に使いこなす超絶技巧の声の表現力で観客を涙に誘います。

彼女を恋する青年アルフレードは、100年に一度の歌声と言われるベルカント・テノール、ファン・ディエゴ・フローレス、そして父親役のハワイ出身のクイン・ケルシー。クイン・ケルシーは『アイーダ』でも父親役で登場していました。

(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera.jpg

 四季の移ろいで変化する舞台と衣裳もドラマチックです。私もこんなロマンティックな部屋で暮らしたい。

またカーテンコールでは、普段は舞台に上がることのないオーケストラ全員が舞台に上がり、指揮者のオーケストラに対する強い思いが感じられました。

(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera.jpg

 

公開前の1月31日に開催された拍手喝采、ドレスアップ歓迎の「ブラボー上映会」も大盛況のうちに終わりました。

 

 

ヴェルディ『椿姫』2019年2月8日(金)~14日(木)<東劇のみ2月21日(木)まで>

HPはコチラ

 

*2019年2月10日現在の情報です。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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