Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのお出かけエンタテインメント

「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」展 東京都現代美術館

アカデミー賞衣裳デザイン賞を受賞して一気にその名を広く知られるようになった石岡瑛子は、アートディレクターでありデザイナーであり、世界を舞台に様々なジャンルの仕事で活躍した。2012年に亡くなった彼女の、世界初の大回顧展が開催されている。

その迫力、インパクトはすごい。全力で人生を駆け抜けた彼女のパワーが伝わってくる。

石岡瑛子 映画『ドラキュラ』(フランシス・F・コッポラ監督、1992年)衣装デザイン  ©David Seidner / International Center of Photography

資生堂に入社後、グラフィックデザイナーとして働き始め、独立後にパルコ、角川書店の広告を手掛けたのち、拠点をニューヨークにうつす。あの頃、パルコや角川書店が先端的でトンガっていると感じたのは、彼女が時代をデザインしたのか。それとも時代そのものをつくったのか。彼女は、「デザイン」を伝えるための「言語」と捉え、想いをそこにこめた。

広告に続いて、衣裳、舞台・映画美術などに仕事を拡げ、オペラ、演劇、サーカスのシルク・ドゥ・ソレイユ、ミュージック・ビデオ、オリンピックのコスチュームデザイナーといった分野でも異彩を放つ。

 

世界中のトップアーティストたちと創り上げていった世界を見ていこう。

マイルス・デイヴィスのアルバムジャケットでは、グラミー賞を受賞。展示会場では、マイルスの音楽がかけられている。

石岡瑛子 アルバム・パッケージ『TUTU』(マイルス・デイヴィス作、1986年)アートディレクション ©The Irving Penn Foundation

ナチス協力者として非難されていたドイツの映画監督・写真家のレニ・リーフェンシュタールを日本に紹介しようとした仕事。

プロダクションデザインを担当した映画『ミシマ–ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ』。金色の部屋に金色の金閣寺のセットが組まれている。

フランシス・フォード・コッポラは、日本版『地獄の黙示録』の彼女のポスターを見てオファーしてきた。そして『ドラキュラ』の衣裳デザインの依頼に結び付く。

今回私は何としても、アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞した映画『ドラキュラ』の裾を長く引きずる真赤なマントをリアルで見たいと思って出かけたが、期待にたがわない強い印象を残した。

さらに、インド出身の気鋭の映画作家、ターセム・シンの映画が素晴らしい。その映像の一端が見られるが、クラクラするほど美しい画面が繰り広げられている。

石岡瑛子 映画『落下の王国』(ターセム・シン監督、2006年)衣装デザイン ©2006 Googly Films, LLC. All Rights Reserved.

また、自宅のテレビで見た北京オリンピックの開会式は、チャン・イーモウがチーフディレクターだから完成度が高いのだと思っていたが、コスチュームの果たす役割もかなり大きかった。大画面で見ると、さらにそのすごさが伝わってくる。そのコスチュームディレクターとしても仕事をしている。

石岡瑛子 『北京夏季オリンピック開会式』(チャン・イーモウ演出、2008年)衣装デザイン  ©2008 / Comité International Olympique (CIO) / HUET, John

さらに、オペラ『ニーベルングの指環』のオランダ国立オペラの衣裳デザイン、映画『白雪姫と鏡の女王』と続いていく。最後に、高校生の頃に作った絵本で幕を閉じる。自分の思い描いた人生を生きた彼女は、いまもなお走り続けているような気がする。

壁一面の大スクリーンで圧倒され、そこに石岡瑛子のが流れ、また世界中のスタッフたちとのコミュニケーションツールとして使用したデザインの完成形の図面も展示されている。いまそこにあった才能が、消えてしまったとは思えないほどの臨場感でだ。

「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」展示風景、東京都現代美術館、2020年 Photo: Kenji Morita

「時代を超えるもの」「自分にしかできないもの」「革命的なもの」をデザインの根幹に据え、可能性に挑戦し続けた彼女の作品は、まさに彼女の口癖である「サバイブ(生き残る)」そのものであった。

 

「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」東京都現代美術館 2020年11月14日(土)~2021年2月14日(日)休館日:月曜日 開館時間:10時~18時(展示室入場時間は閉館の30分前まで)

*2021年1月23日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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