Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのお出かけエンタテインメント

お蕎麦は、世界を席巻できるのか!

江戸の3大そばというと「更科」「藪」「砂場」。それぞれ特徴がありますが、私はどれも好き。

藪はおつゆの味が濃く、少ししかつけずに食べるのが粋な食べ方とされているので、チョンチョン、ツルツルっと江戸っ子のようにいただきます。砂場は、とても上品な盛り付けですので、食が細い私でも2人前は頼みます。そして真っ白いお蕎麦の更科。更科の起源は230年前にさかのぼる創業寛政元年。江戸時代に長野県からやってきて、あっという間に江戸全体に広がりました。

 

その「総本家 更科堀井本店」(東京・麻布十番)が230周年を記念して、式典を開催しました。「江戸東京きらりプロジェクト」で、「伝統」と「革新」の魅力あふれる東京ブランドを世界に発信しようという東京都から小池知事。ご近所にお住まいでよく、お店に足を運ばれる元国連の明石氏、服部学園の服部理事長はじめ、たくさんのお客様であふれました。

 

鏡開きの後は、230周年記念メニューを頂きました。

 

メニュー開発はテレビでもおなじみのイケメン近茶流嗣家、柳原尚之さんと総本家更科堀井本店の料理長と一緒にされたそうです。

まずは、「煮寛冷やおろし」。これは、江戸時代寛永20年刊の料理書『料理物語』に書いてあるそばつゆを再現。江戸時代は味噌を水で溶いて煮詰めてこしていたそうですが、このお料理何とも絶品です。

続いて江戸料理盛り合わせ。

「鮎蓼すし」は、万葉集でも詠われています。今も鮎に欠かせないタデ酢はご存知だと思いますが、その元になっている香辛料の蓼を江戸時代はよく使っていたそうで、その辛みを活かした一品。

「竹虎、雪虎」は、厚揚げを虎の柄のように焼目をつけ、そこにねぎをのせたのが竹虎で、大根おろしをのせたのが雪虎。

「アサリ剝き身切干し」江戸時代は、アサリやシジミ売りが棒手振りで売り歩いていましたが、剥き身で売っていたそうです。

「丁半汁」は博打の丁半を豆腐に見立てています。

「しんじょうの湊揚げ」江戸で養殖技術が開発され特産となった浅草海苔をしんじょうとあわせて揚げました。

「玉子焼き」は、言わずと知れた更科堀井の一番人気のつまみです。

 

そして、「伊勢海老の天婦羅そば」

『東京名物志』で「名代」として紹介された更科一門の名物ですが、大きな伊勢海老が入った豪華なおそば。のど越しの良い真っ白なお蕎麦は、噛むほどに、ほんのりとした甘みがあり、そばつゆも私にはちょうど良いかげんのお味。箸がとまらず、珍しく最後まで食べ切りました。

 

甘味は、「更科の夜明け」。これは更科粉と人参を使用し、日の出を表現し、味わったことがない上品な舌触りです。

どの品も、味わい豊かで、しかも、「今」風です。

 

食べ終えたころに、トークショーがありましたす。江戸っ子と蕎麦の歴史研究をしている岩崎信也さんをコーディネーターに、どうして続けてこられたのかをテーマに話されました。

更科堀井8代目、代表取締役会長の堀井良造さんは「これまでに一度潰れたこともあり、順風満帆だったわけではありません。親父がつぶしてくれて今がある、と思っています」。

かんだやぶそば4代目堀田康彦さんは「蕎麦屋の子供に生まれ、引き受けたものをもっとよくするのが私の役割です。伝統とは革新の連続で、『のれんは磨くものだ」というのが基本です」と含蓄のあるお言葉。

 

私が頂いたメニューは、10月から(日程は未定)予約制で230周年記念としてお店で提供するそうですので、お楽しみに。

今年は、日本橋高島屋にも出店し、11月にはニューヨークにも進出する計画です。

9代目堀井社長にお話を伺うと、「2018年に新たな店を出店すると決め、逆算して6年前から新卒採用を始めました。彼らに店を任せることを考えて、日本橋高島屋の新館に出店します。メニュー開発も彼らがやっています」と語っていました。今まで、麻布十番と立川の2店だったのを、人を育てるために新たな出店をし、組織を活性化させるという考えに基づいての店舗拡大です。

それにしても、蕎麦文化、奥が深いですね。『そばもん』という漫画は読んだことがあるものの、もっともっと知りた~い。食べた~い(笑)。

さて、NYでお蕎麦は受けるでしょうか。乞うご期待!

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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