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紳士のたしなみ

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紳士のためのエンターテイメント

オペラ「アルマゲドンの夢」世界初演です

新制作、創作委嘱作品オペラ「アルマゲドンの夢」が開幕しました。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

ロンドンを拠点に世界のオーケストラや歌劇場で活躍している日本人作曲家、藤倉大の新作オペラで、藤倉にとっては3作目のオペラになります。藤倉の曲で、私たちが身近に知っているのは映画『蜜蜂と遠雷』の劇中曲。これはピアノコンクールの話しで、原作を書いた恩田陸さんが、「自分のイメージしたような曲に仕上げてくれた」と感嘆していたのを覚えています。

さて、原作は20世紀初頭に書かれた『アルマゲドン(世界最終戦争)の夢』。SF小説の父と言われているH.G.ウエルズのSF短編小説です。藤倉は「大野和士さんから現代に関係する題材がないかと言われ、色んなものを探したところ、この短編が今の状況に似ていると感じた」「合唱団がいろいろな役割をする。今度一緒に演出をしてくれるリディアは合唱団を活かすのが得意。彼女の舞台はワイルドで、インパクトがあり強烈だ」と語っています。

大野は「第一次世界大戦がはじまる前に書かれた作品であるにもかかわらず、大量殺戮、ナチズム、原子力の破壊すらも含めて暗示している。クーパーとベラの普通の生活が脅かされてからめとられていく」と藤倉との対談で話していました。

時空を自在に行き来しながら、忍び寄る全体主義、科学技術のもたらす大量殺戮への不安を鋭く描いた原作を脚色し、我々に脅威を描き出す台本を手掛けるのは、藤倉と長年共同作業をしているハリー・ロス。演出は2018年ザルツブルグ音楽祭『魔笛』で世界の話題をさらったアメリカ人演出家で、世界中から引っ張りだこのリディア・シュタイアー。指揮は大野和士。

2週間という隔離期間を経て海外から入国したスタッフや美術・衣裳のキャストも加わり、9ヵ月ぶりに合唱団も登壇しました。私の見た初日、席に着くと、昨日まで隔離期間中だった藤倉さんが私の斜め前に落ち着かない様子で、ワクワクした感じで座っていました。

さて、この世のものとは思えない美しい合唱のアカペラでスタートし、観客は一気にアルマゲドンの世界に引き込まれていきます。

電車の中の主人公クーパーの見ている幻覚の中には愛する女性ベラとの甘い新婚生活が出てきます。ソーシャルディスタンスを保った触れ合わない演出が、より官能的です。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

見ている悪夢は、まるで冗談のように登場する独裁者によってどんどん深まり、息苦しく閉そく感があり、絶望的です。これは、いま私達が感じている先行きが見えない不安や恐怖と繋がっているようにさせ見えます。あいまいで、複雑で、何を感じ何を受け取るかは、観客にゆだねられています。

世界最終戦争の話しだし、自分は現代音楽は得意ではないと思い込んでいたのが信じられないほど、最初の合唱からのめり込みました。物語は恐ろしいけれど、鏡やスクリーン、映像を駆使した美しい舞台と音楽が心の中に分け入り、いつまでも離れません。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

上演するにあたりあまりにも多くの障壁があるため主催者側は二の足を踏んだそうですが、演出のリディアの「この作品は、パンデミックだからこそ上演すべきだ。世界が崩壊していく物語は、ものすごくタイムリーではないか」と語ったとかいう言葉に賛同したそうです。

大野をはじめ、招聘キャストや美術や衣裳のスタッフ、演出家や作曲家、すべての関係者の覚悟が詰まった舞台となっています。

公演はあと2回。本日2020年11月21日14時からと、23日14時からの回を残すのみとなりました。

オペラ「アルマゲドンの夢」新制作・創作委嘱作品・世界初演 新国立劇場https://www.nntt.jac.go.jp/opera/armageddon/

*2020年11月21日現在の情報です。*写真・記事の無断転載を禁じます。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

http://www.geocities.jp/officewe_homepage/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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