Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのお出かけエンタテインメント

今年で4回目を迎える「最高を超える山田錦プロジェクト2022」

旭酒造は、2019年から「最高を超える山田錦プロジェクト」を開催しています。これは、旭酒造と契約する酒米「山田錦」を生産する全国の農家に、今までの米を超えてもらおうというコンテストで、「全国の農家を元気にしたい」(櫻井会長)という思いでスタートしました。

エントリーのあった農家から審査員が準グランプリと、グランプリを選びます。純グランプリは60俵1000万円で買い上げ、グランプリは1俵5万円、60俵3000万円という市場価格の約25倍で買い上げられます。今年の4回目は90件のエントリーがあり、2回の審査会の結果が1月17日に発表されました。

2021年度の第3回目からお米の審査基準が変更されました。それまでは国が定めた酒米審査である、米中心部にある心白(しんぱく)が大きいほうがよいというものでしたが、小さくて位置も中心にあるものがよいと変えました。
「心白が大きいとどうしてもわれやすく、磨くためには小さいもののほうがよい」(櫻井社長)という考えに至ったということでした。

米の審査は目で見て、触り、削って、さらにモニターを使って詳細に確認した結果、準グランプリは滋賀県の「下八木営農組合」、グランプリは、熊本県の「水穂やまだ」が受賞しました。

水やり、土づくりといった不断の努力が実っての受賞です。最終まで残って惜しくも賞に漏れた生産者は、受賞した米を見て「次につなげます」と力強く語っていました。

旭酒造の櫻井会長も「素晴らしいお米に出会えたことに感謝します。こういうお米を大切にお預かりして酒を造れるのは本当に幸せです」と、さらに「元気になってもらおうと始めたコンテストですが、我々のほうが元気をもらっています」と語っていました。

過去に賞を受賞した農家の方も、「獺祭で賞を受賞したという誇りと、プレッシャーは大変なものがある」とお話しされていましたが、その自身に満ち溢れた顔は印象的です。

農家に「最高を超えるプロジェクト」に関わってもらうこのコンテストですが、旭酒造としても同様に、その酒米で「最高を超える酒」を造ろうと挑戦しています。

この優勝米だけを使った獺祭を「Beyond the Beyond」というブランドで、今まで2回、サザビーズに出品しています。

2022年香港では、2019年度の優勝米を使ったものを出品し、2022年ニューヨークでは2021年度の優勝米を使った「獺祭 最高を超える山田錦2021年度優勝米DASSAI Beyond the Beyond 2022」23本のうち、通し番号1番を出品。115万円(8125ドル)で落札されました。
「透き通った味わいや華やかさ、細部まで繊細に感じるきれいな甘みとふくらみ。新しい審査基準のグランプリ米で酒を造り、私たちの求める美味しさを一つ先に進めることができました。日本酒だからこそ、獺祭だからこその味で世界に挑み、昨日と同じではない未来を創る事は、大きな挑戦であり喜びです」(櫻井社長)と語っています。

この日は、その貴重な「Beyond the Beyond」を味わったことがある、また販売したことがある世界の5人のトップソムリエも登壇し、その味わいや逸話などを披露しました。

実際の顧客の反応がわかるのは、製造者にとっても生産者にとってもどれほど励みになるでしょう。味はもちろんのこと日本酒づくりのストーリーは、とても魅力的なものです。世界に誇れる日本の文化がさらに広がり、存在価値が高まりますように。最後に私の好きだった銘柄の写真をご覧ください(笑)。

*2023年1月18日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

https://cross-over.sakura.ne.jp/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

おすすめのたしなみ