Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのお出かけエンタテインメント

映画『ダンサー イン Paris』2023年9月15日(金)~公開

バレリーナのボディは、ため息が出るほど美しく、一つひとつの動きが絵のようです。この映画は、世界三大バレエ団の一つ、パリ・オペラ座バレエのエトワール(最高峰)を目指すバレリーナエリーズが主人公。エリーズを演じるのはパリ・オペラ座現役のバレリーナ、マリオン・バルボーです。彼女自身、エトワールのすぐ下の位で、多くの演目で主役を踊っています。演技は初めてというこの映画で、セザール賞の有望新人女優賞にノミネートされています。

作品は冒頭、バレエ『ラ・バヤデール』の舞台からスタートします。聖なる炎が舞台中央で燃え盛り、主人公の舞姫(バヤデール)ニキヤ役のエリーズは華麗に舞います。ニキヤは恋人に裏切られる役どころ。エリーゼは、現実の自分と重なり心の動揺から着地に失敗して足首を痛めてしまいます。「踊れなくなるかもしれない」と医師から宣告され絶望感で一杯になるエリーズ。幼少期から、亡くなった母親と共にエトワールになることを夢見て生きてきた彼女は、目標が見えなくなってしまいます。

そんなとき、友達に誘われて、ブルターニュにあるアーティストたちの練習場に料理の手伝いで行くことになりました。ここが、なんとも素敵な場所です。ロケーションも空気感も、そしてそれを取り巻く人々も・・・。

そこにコンテンポラリーのダンスカンパニーがやってきました。エリーズが足が動かず、もう踊れないかもしれないという不安にかられている時、ダンスカンパニーの主宰者から「レッスンに参加するなら大歓迎」と誘われます。彼は実際にトニー賞にノミネートされたコンテンポラリー界の奇才、ホフェッシュ・シェクターその人です。本人役での出演となりました。代表作である「ポリティカル・マザー ザ・コレオグラファーズ・ カット」を振り付ける過程が、ドキュメンタリーのように描かれます。ダンサーの心の内にある感情を一つずつ丁寧に表出化させる手法は、クラシック・バレエとは全く違います。エリーゼに「不完全でいい」と新たな道を示してくれました。

監督は、『スパニッシュ・アパートメント』『猫が行方不明』『おかえり、ブルゴーニュへ』のセドリック・クラピッシュ。ダンスを愛し、パリ・オペラ座の公演の撮影も担当しています。元芸術監督のオーレリ・デユポンがパリ・オペラ座のトップエトワールだったときに撮影した『オーレリ・デユポン輝ける一瞬に』というドキュメンタリー作品も撮っています。オーレリ・デュポンが芸術監督の時、ホフェッシュ・シェクターのコンテンポラリー作品をオペラ座のレパートリーとして組み込みました。

地面をつかむコンテンポラリーと、空へ空へと舞い上がるバレエ。ダンスは、観客を見たこともない世界に連れて行ってくれます。

 

9月15日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開

写真はすべて© 2022 / CE QUI ME MEUT MOTION PICTURE – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINEMA Photo : EMMANUELLE JACOBSON-ROQUES*2023年9月16日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

https://cross-over.sakura.ne.jp/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

おすすめのたしなみ