Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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東京フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会はアンドレア・バッティストーニでスタート

東京フィルの2021シーズン定期演奏会が始まった。首席指揮者アンドレア・バッティストーニの奏でる音楽は、聞きのがしたくない。1987年ヴェローナ生まれの彼は、若くして頭角をあらわした天才だ。彼の音楽は聴衆を元気にしてくれる。生きる気力を復活させたい、そんな気持ちで出かけた。

会場は収容定員の約半数。入り口では消毒と検温。ブラボーはなし。休憩はなしのノンストップ1時間の新様式での演奏会である。

バッティストーニは年末に日本に入り、2週間の待機期間を経て、今回の1月定期演奏会(1月22日、24日)に備えた。

曲は、彼の好きなバレエ作品、ラヴェルの『ダフニスとクロエ』第1組曲と第2組曲。そして生誕100年を迎えたストラヴィンスキーのバレエ組曲『火の鳥』(1919年版)が選ばれた。

撮影=三浦興一/提供=東京フィルハーモニー交響楽団

両方とも、「再生、新しい夜明け、新しい太陽が生命を吹き込み、祝福をもたらす音楽だ」そして「『ダフニスとクロエ』のスコアに描かれた夜明けのシーンは、これまで作曲された最も美しい音楽的な日の出の一つ」であり、『火の鳥』は「英雄と怪物のおとぎ話。善と悪の永遠の戦いを描いて、最後のクライマックスでは悪が破壊され、自由と希望に満ちた新たな世界が始まる」とバッティストーニは語る。

 

1894年露仏同盟が締結されたころ、フランスにはロシアブームが巻き起こっていた。そこに登場したのがロシア出身の天才プロデユーサー、セルゲイ・ディアギレフである。彼は、美術・音楽・ダンスなどで活躍する天才たちを発掘する目利きの天才だった。彼が主宰するバレエ・リュスというバレエ団でその実力を発揮させ、1910年、まだ無名だった作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキーにバレエ・リュスのために『火の鳥』を作曲させパリで初演。脚光を浴びた。『ダフニスとクロエ』はラヴェルの作曲である。

演奏会はまず、『ダフニスとクロエ』から。この物語は、3世紀ごろのギリシャの作家ロンゴスの叙事詩がもとになっている。

第1組曲は、恋人たちが引き離された『夜想曲』から『間奏曲』、海賊たちが踊る『戦いの踊り』で幕を閉じ、第2組曲は、2人が再会を果たす『夜明け』、そして『無言劇』、『全員の踊り』で華やかに締めくくられる。

火の鳥』は、ロシアの民話に基づいている。今回の1919年版バレエ組曲は、もっともポピュラーで、全7曲から構成され魔法の国の夜の『序奏』、火の鳥が登場する『火の鳥とその踊り』、火の鳥が舞う『火の鳥のヴァリアシオン』、王女たちが踊る『王女たちのロンド、』魔王が踊り狂う『カスチェイの凶悪な踊り』、踊り疲れて眠ったときに火の鳥が歌う『子守歌』、最後に『フィナーレ』となる。

撮影=三浦興一/提供=東京フィルハーモニー交響楽団

音が繊細で、粒だっていて、ドラマティックで、情景が眼に浮かぶようだ。心のひだに飛び込んでくるので、気づかないうちに涙があふれ出す。

今、世界でもライヴ演奏を許可している国はわずかしかない。いまもなお、生演奏を聴けるのは、幸せとしか言いようがない。音に包まれる貴重な瞬間を全身で味わうことができた。

2021シーズン、全8回の定期演奏会のテーマは「新しい景色をみたい」である。

「夢や希望を感じる楽曲を存分に楽しむことで、芸術を日常に取り戻してほしい」との思いをこめたそうだ。2月は名誉音楽監督のチョン・ミョンフンのマーラーの『復活』、3月は特別客演指揮者ミハイル・プレトニョフでスメタナ/連作交響詩『わが祖国』(全曲)の予定だったが来日できず公演中止が決定した。次の5月からの演奏会に期待したい。聴けるチャンスに行って音の宝物を存分に味あわなければ。

影=三浦興一/提供=東京フィルハーモニー交響楽団

健康を損なわないように細心の注意をはらいながら、心が枯れてしまわないよう潤いを与え続けたい

*2021年2月4日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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