Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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紳士のためのお出かけエンタテインメント

12月6日~19日まで、現在の国立劇場最後の「文楽鑑賞教室」

私は、卒論で「伝統芸能」を書いたのでなじみがあるのですが、「文楽」に行ったことはありますか?

1966年に開場した現在の国立劇場は建て替えとなるため、その思いもあって、今回54回目となる「文楽鑑賞教室」を訪ねました。1969年から続く「文楽鑑賞教室」は、中学生・高校生に親しんでもらおうと解説を付け、文楽を代表する演目を取り上げてきました。その鑑賞教室、子供たちだけではなくて社会人のために夜から開いたり、外国人のために外国人のナビゲーターをつけて英語で解説をしたりしています。私がうかがった日は、多くの学生さんがいらしていました。

メニューは、「解説 文楽の魅力」と「絵本太功記 夕顔棚の段/尼ヶ崎の段」。

まずは解説です。「人形浄瑠璃文楽」というのが正式名称で、江戸時代にできたということ。太夫が浄瑠璃を語るのですが、浄瑠璃というのは、本来は「語り物」の総称で、常磐津(ときわず)、清元(きよもと)、義太夫節(ぎだゆうぶし)の3つがあり、その中で最もパワフルで繊細で、情を伝える義太夫節のことを、浄瑠璃と呼んでいること。

提供:国立劇場 撮影:小林万里

さらにその義太夫節は、文楽が大阪発祥のためイントネーションが大阪弁であることや、いまでは使わない単語、生活スタイルの変化で、言葉だけを聞いても分かりにくいということ。文楽というのは、その義太夫節と三味線と人形遣いで物語は進行するわけですが、義太夫はそれぞれの登場人物を語り分けます。その実演もして見せてくれました。町娘、姫、おばあさん、武士、各々声のトーンからスピードまで違い、同じ言葉を話しているとはとても思えません。

また、最近では、舞台の上のほうに字幕がつき、語っている言葉をそのまま文字にして観客に見せています。これらも、観客に向けたサービスなのでしょう。

提供:国立劇場 撮影:小林万里

続いて「絵本太功記」の「夕顔棚の段」と「尼ヶ崎の段」。

絵本太功記は、太閤秀吉の一代記が元になっていますが、ここでは明智光秀(作中は武智光秀)が、中心人物です。主君を討つのは武士としてどうしても許せない母。しかし、光秀、大義のために討たざるを得なかった。明智(作中は武智)一族が次々と犠牲になっていく苦悩と悲哀が描かれています。

有名なのがこの「尼ヶ崎の段」です。討死覚悟で出陣する光秀の息子が、祖母に、母に、許嫁に一目会いたいと戻ってくる場面は涙を誘います。「今一度顔が見たいけれど、もう眼が見えない。父上、母様、初菊殿。名残惜しや」といって手をとるところなど、演じているのは人形なのに、人肌が伝わってくるようでした。

提供:国立劇場 撮影:小林万里

こうした台本(床本)までも無料で配布されるプログラムと鑑賞のしおりについています。かいせつ、ものがたり、人間関係図、台本には注釈がつき、とても親切です。

日本の伝統芸能である「人形浄瑠璃文楽」の世界、これからたっぷり楽しんでまいりましょう。

 

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演「第54回文楽鑑賞教室HPはコチラhttps://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2022/41211.html

*2022年12月11日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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