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METライブビューイング、『ポーギ―とベス』で再開です

1公演を35万人の観客が楽しみ、70カ国で上映されている、オペラを映画館で楽しむMETライブビューイングがいよいよ6月26日(金)再開されました。

再開後の最初の演目はガーシュウィンの『ポーギ―とベス』。アメリカオペラの傑作です。

(c)Ken Howard/Metropolitan Opera

ジャズのスタンダード・ナンバーとして知られる「サマータイム」を筆頭に「愛してるポーギ―」「そうとは限らない」など、聴きなじみのある曲が数多く登場します。ガーシュインがほぼすべてのキャストをアフリカ系のアメリカ人に設定して描いた唯一のオペラが30年ぶりにMETの舞台に上がりました。コロナウィルスがニューヨークに蔓延する前の2月1日に収録されたものです。

 物語は1920年代のアメリカ南部の港町チャールストン。サイコロ賭博で仲間を殺したクラウンは逃亡し、情婦ベスを以前から彼女に憧れていた脚の不自由なポーギ―がかくまいます。2人は次第に愛し合うようになりますが、クラウンはベスに未練があり戻ってきたところでポーギ―と争いになり、ポーギーはクラウンを殺してしまうのでした・・・。

 第一幕でポーギーが歌う「おれにはないものだらけ」は、自分は何にも持っていないけど、太陽も月も星空も、女性も歌もあると陽気で楽しそうです。周りの住人は、彼は彼女が来てから変わったと。いつも幸せそうだと語ります。

ピクニック先の島でクラウンに出会ってしまい引き留められた時にベスが歌うのは、ポーギ―に想いをはせ、「帰らせて、彼は私を必要としている」と、切なさがつのります。

 

(c)Tristram Kenton/Metropolitan Opera

ガーシュウィンがフォークオペラと呼んだように、オペラですが、ミュージカルのようで、ジャズやゴスペル、民族音楽など様々な要素が盛り込まれていて、何とも魅力的です。

ポーギ―に貫録のバスバリトン、エリック・オーェンズ、ベスに華やかなソプラノ、エンジェル・ブルー。今回METデビューした麻薬密売人役のフレデリック・バレンタインが、とてもイキイキと動きまわります。

新演出はジェイムス・ロビンソン。振付のCAブラウンは、「黒人を演じるのではなく、体現する。私たちの血が覚えている身振りを動きのもとにして自信をもって動いてもらった」と語っています。そして踊りはダンサーだけでなく、歌手たちにも振り付けたのだとか。ライブビューイングの中では、練習風景の映像も流れます。

(c)Ken Howard/Metropolitan Opera

自由に音楽に乗って動き、踊り、エネルギーがほとばしるこの演出版は大ヒットしてチケットは完売続きだったとか。

 

METでは「黒人歌手の軌跡」の展覧会を開催し、1世紀以上に渡るMETでのアフリカ系アメリカ人の活躍を紹介しました。ガーシュウィンは、そもそもMETから依頼を受けていたのですが、依頼した総裁が亡くなってしまったことから、初演がブロードウェイになったといういきさつがあります。

ジョージ・フロイドさんが白人警察官に殺されるという事件が起きたあと、METは6月2日にSNSで「正義と平等を支持する人と共にある」とメッセージを出しました。ピーター・ゲルブ総裁のリーダーシップは並外れています。素晴らしい!

 

METライブビューイング『ポーギーとベス』上映期間2020年6月26日(金)~7月2日(木)*東劇のみ7月9日(木)まで 上映時間3時間39分

詳細はコチラ 

*2020年ん6月29日現在の情報です。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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